よもやま解体新書

山下和也の制作、見聞記. 北へ西へ南へ。

O氏と寒山拾得

2012-11-16 20:06:43 | Weblog
今回の作品のモデルになっているのは故・大野一雄さんです。実は私が寒山拾得を描き始めたのは、このO氏の影響が少なからずありません。私は実際はO氏にお会いしたことはありませんが、17歳の時、氏の姿を映像で目撃して大変ショックを受けたのです。
それは全身白塗りで髪を振り乱した老人が、身体の底から声にならない叫びをあげているようであったり、優しく憂いをおびた姿であったり、とにかくあらゆるものが沈黙の内に溢れているような感覚を覚えたのです。超越した何かに触れて、それがなにであるか、その時の私には全く知り得ないものでしたが、心にその残像が棲みついてしまったのです。ある時、墨でドローイングしていたらO氏のイメージと江戸時代の曽我しょう白のイメージが重なるようなイメージを何枚と描きました。なぜ、そのようなイメージを描いたのかの説明はつきにくいのですが、私の中で両者が一致したのです。それは最初、全くビジュアルな面のみの結びつきだったのですが、後からO氏が曽我しょう白にシンパシーを感じておられる事を知りました。実際、作品に奇想の系譜の画家たちをプロジェクターで目まぐるしく投影した中で踊る舞台や、しょう白の描いた鬼女の屏風の前で踊られる事もされています。

私にとっての寒山拾得

2012-11-16 19:57:23 | Weblog
今となってはどちらを先に目撃したのか、いや、ほぼ同時期に目撃したのだと思います。曾我ショウハクの寒山拾得(興聖寺蔵)の絵と大野一雄先生の印象は、私にはまるで同一人物かのように結びついて離れないのです。
私にとっては、どちらもお会いする機会がなく、イメージの依り代として存在する人物です。寒山拾得については禅思想や絵画、詩というメディア、大野一雄先生は写真と映像というメディアによって今に伝えられ、共に私にインスピレーションを与える存在なのです。
私は禅宗文化や思想に興味をもっています。禅宗は日本に水墨画をもたらした日本絵画史上重要な文化です。日本における水墨画の原点を探るとき、東山御物に見られるモウリョウ画に直面します。禅宗は江戸時代にも白隠によって再興します。江戸時代の禅をテーマとした絵画は、東山文化の美意識とはまったく異なりますが、どちらも大変魅力的です。
大変高いハードルですが、胸をかりるつもりで、私なりにコツコツ挑みたい内容ではあります。

歴代天皇の書

2012-11-16 19:52:33 | Weblog
個展会場で、書家の島本さんにお会いしました。墨や筆、紙や裏打ちの話など聞いてみてとても興味深い話が聞けました。実は同日の朝、京都国立博物館の天皇の書の展覧会でお見かけしていた事に気が付きました。あぁ、そういえば...という感じで。島本さんはあと3回通います!と興奮しておりましたが、確かに僕もいい表具が沢山出ていて何度か通いたいなぁと、違う視点で同感しておりました(笑)正直言って、私などは書家の方が感じられる程の深い理解には及びませんが、解らないなりにも本物の雰囲気のもつ凄さや気品などにふれるよい機会なのでお奨めしたい展覧会です。いろいろな視点で観ることが出来て一度だけでは勿体ない内容ですよ。