物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

私にとっての20世紀

2009-03-14 12:42:20 | 本と雑誌

加藤周一の「私にとっての20世紀」を昨日から読み出した。まだ第1章と最後のメッセージという第6章だかを読んだに過ぎないのだが、それでも透徹したものの見方に強い印象を受ける。

なぜ、「戦争に反対するか」を明確に語っている。それは戦争は人間を非条理に押しやるからということであろうか。一人ひとりの人間の性格は善とも悪ともなる。それは状況次第だという。

加藤周一は昨年の12月5日に亡くなった。「九条をまもる会」の発起人の一人である。彼はなぜ若者が選挙で投票に行って戦争に反対する候補者に投票しないのかという。まさにその通りである。現在の状況において沈黙は現状維持の意思表示だという。そして現状は放っておいていい状況ではないとも。

一つひとつの現象なり、法案なりはそれほど怖くはないようにみえるが、それが一挙に危険なものに転化する。それが戦前の日本だったという。彼は1936年の2.26事件がその分岐点になっているという。その後軍部の統制派は内閣に陸軍大臣を入れるという法律を通してそれから軍部の政府支配が始まったという。歴史的には全くその通りなのであろう。

第1章ではユーゴのことが書いてあってEUのNATO軍によるコソボの空爆の是非について解説している。この是非はヨーロッパでも大きな議論を引き起こしたという。このことはドイツ語のクラスで以前R氏から聞いたことがあったが、それを再度確認したことになった。