気候は、、初冬の趣で、風邪の冷たさが身に染みるこの頃。
とはいえ、例年の年末より凌ぎやすく、外出が多い今の私は、大変助かっています。
そのお出かけのお陰で、 景色の色の微妙な変化をも、いつになく敏感に捉えられ、季節の移ろいを楽しむこともできる私です。
特に夫が入院する病院の界隈は、大学のキャンパス。
そのため樹木も多く、伝統を感じさせる重厚な建物と一体となった自然の風情が、私の目と心を潤わせてくれています。
私の年齢で、遠方のこの病院に足しげく通うのは大変な事ですが。
ましてやお出かけ嫌いの私です。
でもこの苦労をねぎらわせてくれる二つのことは、夫の少しでも元気になった顔を見たいといった気持と、家族が青春を謳歌したキャンパスに身を置ける嬉しさでしょうか。
昨日は、夫を見舞った後、次女が或るスポーツクラブで活躍していたグランドの前に立ち、写真に収めました。
このグランドは、病院の目の前にあります。
授業は駒場が中心でしたから、その場所と、我が家から遠方の本郷を行き来していた娘達(長女はテニスクラブでした)の行動力を今更ながら感心したりもします。
それから早、信じられない様な歳月が瞬く間に流れ、娘達も四十路を超えました。
一方私達は年を重ね、宿命の如く、頻繁に病にも見舞われる年齢に差し掛かっています
もう一度、最上の喜びだった娘達の大学入学式の頃に戻れるものなら戻りたい。
その頃よりは、遥かに成長したと思える今の私です。
もっともっと、いい母親として振る舞え、事あるごとに適切な助言もしてやれたでしょうに。
でも、今更後悔しても始まらないこと。
その時は未熟ながらも母親として,一生懸命生きていたのだ、と、そんな若かりし頃の自分を愛おしく感じたりもします。
さて、今日もまた夫の病気治療の話しに移ります。
私が病院に出かける時間は、一通りの家事とデスクワークを終了した午後からが多いのですが、一昨日は8時半過ぎに家を出ました。
10時半から、また人工肛門の取り付け方の指導を受けるためです。
私が何とかその時間に間に合い、ほっとした表情をしていると、旦那さまに言われました。
「何も時間厳守するようなことではないよ。慌てることなどないじゃないか」と。
確かにそうかもしれませんが、一応時間が指定されれば、お世話になっている身です。
それを守るのが礼儀というものでしょう。
夫の言う通り、実際に取り付け指導が始まったのは、11時半を回っていました。
約束の時間帯は、他の患者さんの処置に関わっておられたためです。
T大病院前から望むスカイツリー
そしていよいよ、またその指導を受けることに。
先日より、年配のベテランの看護師さんです。
「前回一通り見られたでしょうから、今日は奥様の手で、実際に取り付けを行ってみて下さい」と。
又露わな腸が目の前に・・・・・・・
目をそむけたい心境には、全く変わりありません。
戸惑い、しり込み、躊躇、そんな複雑な気持ちが私を支配しています。
でも私がやるしかない、と覚悟を決めました。
恐る恐る、腫れものを触る心境で、看護士さんのてきぱきした指示に従い、人工肛門の取り外しと取り付けを何とか自分の手で、無事終了することができました。
当初、夫は寝たままでした。
しかしそれでは、、私が強くかがみこむ姿勢となり、頚椎に悪い影響を与えてしまいます。
ですからベッドの頭を挙げてもらったり、私は椅子に腰かけてその作業に取り組んだり、といろいろ工夫をさせていただきました。
我が家のベッドは可動式ではむろんありませんから、このような事はできませんが、退院するころには、旦那さまも随分元気になっていることでしょう。
それに合わせて、また合理的な良い方法を見付けださなくてはいけませんね~
T大病院の壁面にはめ込まれた装飾的意匠
この教えを受けている間に、看護士さんにもう一度お尋ねしたことがあります。
私が秘かに願っていることについて。
「もし永久的な人工肛門を取り付けることになれば、腸の出方はもっと小さくなりますか?
主治医のK先生はそのようにおっしゃられたのですが・・・・・・」と。
ところが、その看護師さんの答は、誠につれないもので、そのショックが未だに癒えないでいます。
「然して大きさは変わりませんよ」と。
がぁ~ん、とまた打ちのめされたような心境に。
この取り付けの作業を見て以来、睡眠が浅くなり、夜、幾度も目覚め、なかなか寝付けなくなってしまいました。
でも私以上に、旦那さまの気持ちは、もっと複雑でしょう。
その旦那さま、ここ一週間ほどの間に、体調は日ごとによくなり、酸素吸入器は数日前に取り外されました。
水分も、数日前から摂取できるようになり、やっと二日前から流動食が、口に入れられるようにもなりました。
日増しに気分もよくなってきているようです。
私は、旦那さまに言いました。
「いつも冷静で感情的な言葉を吐いた事がないあなたが、最悪、とか最低、なんていう言葉を度々使用したのですもの。
その時の辛さは、余程のものだったのでしょうね~
良くなって、良かったわぁ~
穏やかなあなたの表情を観て、私も、本当に安心」と。
寡黙な旦那さまも頷き、心から喜んでいるように私の目には映りました。
もうすぐ述べ三カ月に及ぶ入院生活と、在宅での闘病生活でしたが、峠をやっと超えた感がしています。
昨日、パパを見舞ってくれた長女からも、思わぬ吉報が。
このことについては、また次回にお話しさせて頂きます。
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