今年の秋はぐずついたお天気が多く、爽やかな秋晴れが例年に比べ、少なかったように思います。
ところが晩秋となり、やっと秋らしい澄んだ青空が、連日続くようになってきました。
退院後初めて夫に付き添い、T大病院に出かけた日も、小春日和で、まさに抜けるような青い空。
良い幸先を予感させてくれるかのようでした。
未だに熱の上がり下がりが激しく、下のコントロールもほとんで利かない旦那さまです。
私の介添えがあるといはいえ、この状態で病院に無事にたどり着けるのかしら?
診察日の数日前から、私は不安でなりませんでした。
T大病院のあるキャンパスの建物 法学部?
娘達も心配する一方、時期的に仕事がとても多忙で、会社を休める状況ではないようです。
長女は、「タクシー代は私が払うから、往復、車を利用してね」と、言ってくれます。
私はどのような交通手段を取るべきか、しばらく思案にくれました。
結局、行きは通常通り、電車と最寄駅までの往復はタクシーを利用にすることにしました。
帰りは、夫の体調次第で決めることに。
多少冒険的な事ではありましたが、熱がなくお腹の張りも軽い時は、割と元気な旦那さま。
顔色も、悪くありません。
妹とこの様子が話題になる度に、Yさんの強靭な精神力に感心。
「私達には真似のできないこと」と、いつも言い合っています
退院後も、食事が余り取れず、高熱の上げ下げが一カ月にも及べば、体力が消耗し、床から離れる気力も失せてしまうのが普通ではないでしょうか。
この不思議な状況は、この度の検査結果と主治医のお話しから、とても納得できたことなのですが。
そのお話は、あとで述べることに致しますね。
病院に出かける当日、その心準備で気が張っていたのでしょうか。
旦那さまの顔つきはしっかりしていて、割と元気そう。
私はその様子を見て、Yさんに言いました。
「昨夜話した通りに、通常のルートでいつも通りの交通機関を利用して出かけない?
運動不足解消にもなるから。
いつもよりかなり時間がかかると思うから、早目に出て、ゆっくり向かえば、大丈夫ではないかしら。。
多少不安でも、思い切った行動を取ることで、自分の体力に自信が付いて、元気も湧いてくると思うの・・・・・・・」、と。
夫も、「それでいい」と言ってくれました。
大層気がかりではありましたが、幾分緊張した面持ちで家を出た私達。
万一の場合に備え、キャり―カ―トには、リハビリパンツ以外に着替えの衣服一式も詰めました。
しかし幸いにも、その後は何の支障もなく、爽やかなお天気にも助けられ、無事病院に辿り着くことができた私達です。
三四郎池 臆病な私は、降りるのはここまでが限界(笑)
生理検査室での採血後、さぁ~いよいよ主治医のK先生との面談です。
夫は退院後も高熱が続き、便の通りも悪く、とても快方に向かっているようには私には見えません。
ですから、厳しいお話しが予想され、胸が今にも高鳴りそう。
緊張した心持で、夫の順番を1時間近く待ったでしょうか。
少々待ちくたびれてきたころ、ポケットベルが鳴り、診察室へ。
二週間ぶりにお目にかかったK先生。
病室に見えた時より、多少印象が変わり、威風堂々としたお姿として我が目には映りました。
入院中、大変お世話になったお礼を申し上げ、「先生のその後いかがですか」の質問にお応えした私達。
自宅療養中の、あまり芳しくない状況をお話ししました
そしていよいよ、先生の診断によるご説明です。
それは、夫のこれまでの状況からして、信じ難いほど嬉しい内容でした。
熱があるようですが、バイ菌感染、肺炎の懸念も一切ありません。
腫瘍マーカーも、ほとんど正常値です。
栄養状態も、非常にいいですね~
からだ全体の栄養バランスもとても良好で、申し分ない状態です。
白血球も正常です。
肝臓にも全く異常が見られません。
放射線治療の効果が非常によく出ている様子が、血液検査の結果から分かります
この良好な状態を維持し、もう少し体力が回復したなら、手術に入りましょう。
恐らく、このお話しを伺った時の私の顔は、安堵と喜びに溢れ、さぞ輝いていたに違いありません。
医師の言葉を一言、一言確認するかのように頷く旦那さまの表情も、とても明るく私の目には映りました。
その後、さらに先生のお話しが続き、熱の原因を突き止めるために、臨時受付でCTを撮ることに。
発熱の原因は、放射線治療の副作用で必ず起きる大腸炎の個所に膿が溜まっているのかもしれない、とのことでした。
ところが、撮ったCTの画像によると大腸には全く問題なし。
その下の直腸が放射線直腸炎で浮腫を起こしている事が判明しました。。
そのため、通り道がとても細くなり、食べた物が、大腸に溜まる一方だったようです。
それ故の夫の不快感だったのでしょう。
しかし、その割には熱が下がると、旦那さまが普段と変わりない様子に戻ったりし、不思議でならなかった私ですが・・・・・
その理由は、副作用で、炎症が起きて当たり前の大腸に全く異常がなかったからのようです。
細々とした食生活ながら、それが幸いし、私が気を遣った食事の栄養が十分に体に吸収されていたのですね~
私の努力の甲斐も多少あったのかしら。
栄養状態がすこぶる良好!と食生活の質の高さを、肝臓治療担当の先生と同様に褒めていただき、主婦として、こんなに嬉しいことはありませんでした。
私は、夫の日々の体の不調と発熱の原因が分からず、不安でなりませんでしたが。
先生のお話しを伺い、体に鬱積していた澱のようなものが、洗い流されたような気持ちに。
心の重荷が一気に軽くなりました。
CT検査の前に放射線治療の担当医にもお会いしました。
いつも通り、副作用の症状をチェックするアンケートに記入するのですが、放射線治療は、確かに副作用が軽いです。
ほとんどの項目がなしで、夫がチェックを入れたのは下痢と食欲不振くらい。。
吐き気、皮膚疾患もなく、その他の症状も該当せず。
夫が書きん込むのを私は傍らで見ながら、心の片隅で誓っていました。
「万一、自分が癌を患ったなら、たとえ連日の通いで大変でも、放射線治療を希望しよう」と。
とは言っても、症状次第で、こればかりは自分で決められることでもなさそうですね~
個人差もあるでしょう。
思いがけない喜ばしい報告を、心に抱き締めるようにして病院を後にした私達。
その感想を夫に話す度に、私は安堵感溢れる思いで言いました。
「本当によかったわね~おめでとう!」と、幾度も。
寡黙なYさんが、その度に頷いて、ほっとした表情になるのを見て、なおさら喜びを噛みしめた私ですが、さすがに疲れた様子の旦那さま。
遠方ながら、長女の言葉に甘えて、帰りはタクシーで家路に就いた私達です。
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