なんと誇らしかったことだろう。その時のブルーバードはダットサンブルーバードでニッサンではないとかマニアはいろいろうるさい。まるで、ゼロ戦は本当は零(レイ)戦なのだとか強調してマニアぶって本質を見逃すことと似ている。
本質はこうである。その時のブルーバードは日本のブルーバードだったのだ。一方のトヨタのなかには健全なライバル意識を持つものはいても、ねたみひがみの類は一切なかった。
ハイウェイ走行試験をするためにひそかにアメリカに運ばれた一台のブルーバードがいた。日本にはまだ高速道路がなかったのだ。パクリだサルまねだとの非難を背に受けて、ハンドルを握る手は悔しさで汗ばんだ。
日産が、いや日本人がサルまねしかできないのならほんものを凌駕する日は永遠に来ないはずだ。だから、ここで何としてもワーゲンに勝たねばならぬのだ。まねた部分があったとしてもそれを超えた部分は創造だ。
ふぐ提灯みたいな変なクルマがハイウェイを疾駆しているので興味を持ったワーゲンが並走してきた。
Hey, What the hell is this car?
ブルーバードは床が抜けるほどアクセルを踏んでいるのにワーゲンは幅寄せをして話しかける余裕があった。日産のエンジニアは叫んだ。
This is made in Japan !
ワーゲンは訝る。15年前に完膚なきまでに叩きのめしたはずだ。まさか日本がクルマを?
Oh, no. NO, never can you Jap.
ワーゲンは走り去った。ブルーバードはなかなか追いつけない。下りで差をちぢめるが登りで離される。何度かそれを繰り返すと、ワーゲンはしつこいジャップにうんざりしてきたのだろう。後方に消えた。
ブルーバードは勘違いをしていたのかもしれない。でも、それでもいいではないか。あわてて最寄りのパーキングエリアの公衆電話に駆け込み言った。
社長、ワーゲンに勝ちましたっ!!
本質はこうである。その時のブルーバードは日本のブルーバードだったのだ。一方のトヨタのなかには健全なライバル意識を持つものはいても、ねたみひがみの類は一切なかった。
ハイウェイ走行試験をするためにひそかにアメリカに運ばれた一台のブルーバードがいた。日本にはまだ高速道路がなかったのだ。パクリだサルまねだとの非難を背に受けて、ハンドルを握る手は悔しさで汗ばんだ。
日産が、いや日本人がサルまねしかできないのならほんものを凌駕する日は永遠に来ないはずだ。だから、ここで何としてもワーゲンに勝たねばならぬのだ。まねた部分があったとしてもそれを超えた部分は創造だ。
ふぐ提灯みたいな変なクルマがハイウェイを疾駆しているので興味を持ったワーゲンが並走してきた。
Hey, What the hell is this car?
ブルーバードは床が抜けるほどアクセルを踏んでいるのにワーゲンは幅寄せをして話しかける余裕があった。日産のエンジニアは叫んだ。
This is made in Japan !
ワーゲンは訝る。15年前に完膚なきまでに叩きのめしたはずだ。まさか日本がクルマを?
Oh, no. NO, never can you Jap.
ワーゲンは走り去った。ブルーバードはなかなか追いつけない。下りで差をちぢめるが登りで離される。何度かそれを繰り返すと、ワーゲンはしつこいジャップにうんざりしてきたのだろう。後方に消えた。
ブルーバードは勘違いをしていたのかもしれない。でも、それでもいいではないか。あわてて最寄りのパーキングエリアの公衆電話に駆け込み言った。
社長、ワーゲンに勝ちましたっ!!