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か ら け ん


ずっと走り続けてきました。一休みしてまわりを見ます。
そしてまた走ります。

冶金(やきん)

2012年11月15日 | 技術

ナチスドイツはさほど原理原則に興味はなかった。目の前の戦に勝つには実用速用の武器が重宝された。これは大学にも微妙な影を落とし、たとえば工学部なら機械科が一番であり最高の頭脳の集まるところとなった。冶金は肩身の狭い世界で落ちこぼれの目で見られた。とくに製造冶金の分野においては質も量もイギリスにはるかに劣った。これにアメリカが参戦したのだから戦の趨勢はだれの目にも明らかだった。

そのアメリカである。今でもその研究の伝統は脈々と生きている。自らの思うところを研究する。出来上がるまではとやかく言わない。すると突然人の発想を根底からひっくり返す革命的兵器や戦略ができる。

日本とまるで逆だ。アメリカ製はどうでもいいところなんて実にいい加減にできている。日本製はよせばいいのに関係ないところまで工芸品を作っている。ただでさえ人手と材料と時間が足りないのに。

じっちゃんが研究所で使っていた物理天秤はアメリカから明治時代に輸入したものだ。大正に入って日本がコピーしたが明治の輸入品の方が精度が高かったという。

先週木曜日頃、ゼロ戦32型を見に行った。20年ぐらい前博多湾から引き上げた時立ち会ったがまだ何とかすれば動きそうだった。もう駄目だ。飛行機として死んでいるのを展示するのはかわいそうだ。

金属の悪さよ。いまでもWWⅡの米軍機はいくらでも飛んでいるが日本機はほとんどない。超超ジュラルミンがどうしたというのか。日本機はケタだけではなく表面にも強度を持たせているあわれな構造だ。何年も耐久性のある構造ではない。さらにいえば20ミリを積む必要は全くなかった。こんな張りぼてを落とすのに米軍機ですら12.7ミリだ。

グラマンの武装をはずした練習機を見たことがある。金属そのものがいいから桁は広い間隔で入っている。コクピットの居住性は最高だ。グラマンを運搬するときは空母に乗せてカバーもかけずに運んだ。

日本機がそんなことをすればほとんど動かなくなる。電装が悪かったというがハイテンションを一本にまとめた設計の方がわるいのだ。ディスの防水性。アルミフィンのおそまつさ。排気粘性を考えない幼稚な排気管。このやっと浮かんでいる日本機と同時代の米軍機を見てから批評した方がいい。まさに冶金工業力の違いが分かる。

ナイフで穴が開く飛行機のどこが超超ジュラルミンだ。襖か障子程度の防御力に米軍の12.7ミリはそんなもの木っ端みじんにする破壊力を見せた。

冶金こそ戦争のカギを握る工業力だ。一朝一夕に向上しないからこそ金をそそいで研究すべきだった。

Posted at 2012/01

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