月と歩いた。

月の満ち欠けのように、毎日ぼちぼちと歩く私。
明日はもう少し、先へ。

この山を越えたら

2016-05-27 | 癌について
スミダノハナビというらしい。

隅田川から見上げる花火をイメージしたのだろうか。

うっすらとピンクの小さな花が、まるで花火のように咲いている。
そんな紫陽花。

昨日、かどやが仕事の帰りに寄ってくれて、この紫陽花とパンをくれた。
会社の花壇で10年育てている、大好きな紫陽花だという。
体じゅうを襲う痛みで立っているのもやっとだったので、玄関先で少し話しただけだったか、気持ちは明るくなった。
かどやは、この山を越えたら、きっと大きな人間になれるよと、言葉をくれた。

花瓶に活けた可愛らしい紫陽花を見ながら、今年の夏は、元気になったら、久しぶりに花火を見に行きたいと思った。

それでも誕生日はやって来る

2016-05-26 | 癌について
4日目。
今のところ一番辛い。
朝から激しく胃痛と頭痛。そして、体が重い。足が痛い。

今日は寝て過ごそうかとも考えたが、このまま寝たきりになってはいけないと、布団をあげて着替えて化粧をした。

4日も家をあけていたので部屋が汚い。
とにかくゆっくりでもいいから、休み休みでもいいからと、時間をかけて掃除した。
洗濯を干すとき、ベランダで緑を見ながら腹式呼吸したら、少しだけ体が軽くなった。
結果的にリビングや水回りがきれいになり、ホッと息をつく。
動いているほうが体もなんだか楽な気がする。

パソコンに向かっていると頭痛がするので、今日は仕事はやめにした。
(このブログもずっとスマホで書いている)
テレビを見たり、刺繍をしたり。
手先の痺れが来ていないのが助かる。

今日は私の誕生日。
まったくやれやれな誕生日だけど、それでも朝からひっきりなしに届くお祝いメールやプレゼントに心がとける。
どれほど大変な日であれ、こんなにたくさんの人に「おめでとう」を言われたら、やっぱり誕生日は特別だと思えた。
力をもらえた。

夜、夫がデパ地下でいろんなお惣菜を買ってきてくれた。
そんな誕生日パーティーも初めてだけど、バラとケーキもあって、ささやかなプレゼントもあって、十分すぎるほど贅沢。
ケーキにはロウソクも立ててくれた。

ハッピーバースデー♪
なんとかこの痛みを乗り越えよう。
永久に続くわけじゃない。

しかし、45歳の誕生日は強烈すぎて、忘れられないだろうな。

退院後の食事

2016-05-26 | 癌について
食欲はほどほど。
吐き気はないものの、何か食べると胃腸が痛む。
うまく機能していないのか。

病院のよいところは、勝手にご飯が出てくるところだったなぁと思う。
退院してから初めての痛みに耐え、少し寝ていたが、気持ちを切り替えた。
まだ頑張れば動ける!
動けるうちに動いておこう!

今年もたくさん植えていたバジルを摘んで、ジェノベーゼソースを大量生産。
松の実、にんにく、パセリ、塩、胡椒、粉チーズ、オリーブオイルと一緒にフードプロセッサーで数十秒。
バジルはアメリカではガン予防の植物に認定されているというし、オリーブオイルも体に良い。
しんどいときにはパスタを茹でて和えるだけで美味しい1品になるし、トマトや茄子と和えるのもよし。

料理していたら、さっきまで寝ていたのが嘘のように体が動き始めて、鰯を蒲焼きにして、ほうれん草のお浸しとチンゲン菜のスープも作った。
豆腐を添えて、体に良さそうな夕食ができた!

やっぱり体作りは食事から。
バジルの爽やかな香りが、気持ちまで明るくしてくれた。

抗がん剤治療3日目~退院

2016-05-25 | 癌について
来た!
じわじわと来た。

今朝、無事に退院してタクシーで帰宅。
相変わらず吐き気やむかつきはないが、なんとなく顔がほてる。

そして、昼ごはんを食べ終わった頃からじわじわと痛みが襲ってきたのだ。

投与後、2、3日目から筋肉痛、関節痛が起こると聞いていて、どんなもんかと想像していたが、これは何とも表現がしづらい。
まだ座っていたらそんなに痛みは感じないが、立ち上がると筋肉痛の時みたい。
でも筋肉が痛いわけではなく、足におもりを付けられているみたいだ。
肩もそんな感じで重い。
体中に倦怠感。

しかし、どうしてもやりとりしないといけないメールと、送っていた原稿の追加修正があったので、とにかくそれだけはやった。

あー、これが初めての副作用。
この痛みがMAXならいいのだけど。
ちなみに1週間以内には緩和されることがほとんどだという。
あと、入浴中のマッサージで楽になるとも。今夜やってみよう。

そろそろウィッグの注文もしないと。
ツケマの練習も。
こんな調子で、たまっている原稿が書けるのか?
ぼちぼち、休み休み書いていくつもりなのでなんとかなるか!

頑張り過ぎないように、がんばる。

抗がん剤治療2日目

2016-05-24 | 癌について
今日は特に治療はなく、ただベッドの上でのんびりしていた。

本を読んで、刺繍をして過ごす。
子供の頃に大好きだった「若草物語」の三女、ベスのようだと思う。
「キャンディキャンディ」ならアニーか。
私は子供の頃から、自分はベスやアニーのように引っ込み思案で、こちょこちょと家のことをやるのが好きだったことを自覚していた。
自覚していたからこそ、そんな自分にコンプレックスを抱き、変わりたかったんだと思う。
なぜなら、私たち少女が憧れるのは、決してベスではなく、男まさりの次女、ジョーだったし、おてんばなキャンディだったからだ。
そういうキャラクターに人気が集まるたびに、自分のキャラを否定されているような気になった。
その頃に抜け出せなかったのは、たぶんこの運動神経の悪さも要因だ。
かけっこも木登りもキャンディのようにはできやしない。
つまり、ドッチボールもキックベースもとんでもなく下手な私は、どうしたっておてんば娘にはなれっこなかった。

そして、いつの間にか、大人になり、男まさりの女の子でもおてんば娘でもなく、限りなくオッサンに近づくのだった。
ベスやアニーのような少女趣味を中途半端に宿したまま。

だからこうして、久しぶりに刺繍などやっていると楽しくて仕方がない。
本来の自分を取り戻す、というのか。
ただ、子供の頃から、母のように手芸を本気でやろうと思ったことはなかったなぁと思い返す。
それならまだ料理のほうが職業にしたいと思う。
なぜなんだろうと考えていて、今日見舞いに来た母と話していてわかった。
やはり「絵心」だ。
図案の通りに編んだり刺繍したりはできるけれど、絵心かないのでオリジナリティが出せない。
その点、母は子供の頃から美術的センスに優れ、大人になって久しぶりに会った同級生からは「絶対美術の道へ進んでると思ってた!」と言われるほど、秀でたものがあったというのだ。

なるほど。
母はずっと手芸に関してはセミプロのような感じで、作品を作っては売り続けているが(個展も何回かやった)、とにかく型にはまらない。
図案もなしに布を見ただけで閃いて、次々に形を作っていく。
あれができるのは絵心があるからなんだなぁと思う。
私には無理な話で、だから一度も本気でやらなかったんだろうなぁ。こんなに作るのは好きなのに。

昨日、私が刺繍をやっているのを見て、今日母は刺繍の本を持ってきてくれた。見ているだけで楽しかった。
いろいろ作りたくなった。
これからはまたこんなことも生活に取り入れていこう。

というわけで、今日も体調はすこぶる良く、吐き気も痛みもなし。
3食完食!
明日の午前中には退院だ。