月と歩いた。

月の満ち欠けのように、毎日ぼちぼちと歩く私。
明日はもう少し、先へ。

1クール目の山は越えた

2016-05-29 | 癌について
1週間経って、ようやく痛みの山を越えた。
痛みがなくなり、体が軽くなってくると、急激に活力を取り戻した。
私の中の細胞たちが敵(抗がん剤)を打ち破り、勝利の雄叫びをあげているのが目に浮かぶようだ。
大げさでなく、本当にそんな感じ。

この土日はかなり体力を使ったが、全く疲れる気配もない。
土曜は夫が気分転換に外へ行こうと誘ってくれたので、高槻まで行って買い物を楽しんだ。
途中で調子にのってタリーズコーヒーで冷たい飲み物を飲んだら、一気に体が冷えて困ったけれど。
帰って体温を測ったら34.9℃でびっくり!急いで体を温めた。

私は普段、女性にしては高めの体温で36.8℃くらいあるのだが、抗がん剤治療が始まってから、時々35℃台に下がる。
それでこの頃は体を温めることに力を入れている。
靴下が嫌いで常に裸足で過ごしてきたけれど、床床さんに勧められて、4枚靴下を履く「冷えとり」も始めた。
といっても、なかなか1日中徹底してやるのは無理なので、できる範囲で、という、ゆる~い感じのやり方だが。
あとは、基本的すぎるが、冷たいものを飲まないこと。
あまり「健康に気をつけてます女子」的なことが好きじゃないので、少し抵抗はあったが、そうも言っていられない。
やれることをやっていかないとなぁと思っている。

日曜は久しぶりのお客様!
としくんが日本出張で帰国していて、顔を見に来てくれたのだ。
いつものようにいろいろ作っておもてなしとはいかなかったので、串カツパーティーにした。
いろんな串を作っておいて、卓上フライヤーで揚げながら食べる。
美味しい、美味しいと、とても喜んでくれた。
あとは、夫の燻製盛り合わせ。
日本酒もいろいろ用意しておいた。

準備も食べている間も、私は少しも疲れなくて。
むしろ、久しぶりのお客様に興奮し、とても元気だった。
今年に入ってからというもの、毎週のように検査が続き、入院も既に三回。そして手術。抗がん剤治療。
仕事もほとんどできず、お酒も飲めない日が続き、私の日常はがらりと変わった。
そんな中、懐かしい旧友の訪問は、元気だった頃の日常を呼び覚ましてくれ、私は心から楽しいひとときを過ごせたのだった。
本当にありがたかった。

同じ45歳でありながら、アメリカでさらなるステージへ駒を進め、新しいことにチャレンジしようとしている友を見て、改めて尊敬の念を抱き、また、私もまだまだやれるんじゃないかと勇気づけられた。

しかし、その一方で、自分の暮らす世界が昨年までとは全く変わってしまったことにも気づかされた。
「自分の話題」がないのだ。
これまで私の日常は外へ外へと開いており、毎日のように出会いとときめきがが生まれ、世界は日々更新し続けていた。
それなのに、この5ヶ月間ずっと停滞したままだ。
いつも、自分が今やっていること、夢中なこと、感動したこと、苦悩や失敗、チャレンジしたいことなど、「話題」がたくさんあったのに、何一つ出てこなかった。
今の私の話題は、病気のことだけ。
当たり前のことだし、今は仕方がないことだけど、意欲を燃やす友を前にして、自分の日常がすっかり変わってしまったことに改めて気づいたのだった。

苦悩も自己嫌悪も失敗もない代わりに、出会いも感動もときめきもチャレンジもない、更新しない日常とは、なんとつまらないことか!
とりあえず3ヶ月の辛抱。
あと2回の治療に耐えて、今度こそあっちの世界へと帰還しようと誓った。

としくんが帰った後、片付けなどをしたが、それでも全く疲れることはなく、体力は十分戻ってることを確認。
乾杯ビールも二口だけ飲んだし、日本酒も味見程度に少しだけ飲んだが大丈夫だった。
ひとまず、1クール目の山は越えた!