月と歩いた。

月の満ち欠けのように、毎日ぼちぼちと歩く私。
明日はもう少し、先へ。

ここにつながっていた。

2013-06-21 | 仕事
Yさんから「日本酒の冊子を作るのに力を貸してほしい」と言われたのは4月の終わり頃。
今日、ようやくその打ち合わせができた。

冊子を作りたいと持ちかけてきたのは、酒類を中心とした卸売り・小売、そして自ら酒蔵をもってお酒も造っている会社。
精米機の子会社も持っている。
ホームページを見ると、思っていた以上に大きな会社だ。
ただ、冊子についての詳しいことは何もわからないまま、Yさんと一緒にその会社を訪れた。

社長・専務・制作担当2名がお出迎え。
6人での打合せとなった。

打ち合わせの途中で、私はもう胸がいっぱいになっていた。
なんというか、もっと自社のPR誌のような販促ツールを作りたいのだろうと思っていたのだ。
それが全く違って、「日本酒業界を盛り上げたい」「もっと日本酒の良さを広めたい」という熱い思いがあってのことだった。
さらに、その会社は米の卸売りや精米機の取引などで、日本全国の500蔵と関係があるという。
冊子のターゲットはその取引先がメインで、飲食店や一般人は「興味があれば読んでもらっても・・・」という感じだった。
いわば、業界向けの冊子だ。

ボリュームも思っていたものと全く違う。
まだ原案の段階なので、これから大きく変わるかもしれないが、社長としては40ページほどのものを希望しているという。
それを毎月発行!
できれば何年も続けていきたい、とのこと。

コンテンツ案もいくつか出ていて、なんと「酒蔵探訪」がある。
未定だが、毎月4蔵くらい掲載したいという。(多すぎるのでたぶん2蔵になると思うが)

そして、こう言うのだ。
「酒蔵なんてどこを見ても写真撮っても同じだと思います。だから、そこの人の想いを載せたいんです。どんな気持ちで、どんな考えでお酒を造っているのか・・・」

・・・社長っ!!

ああ、もう嬉しすぎて、めまいがした。
わくわくしすぎて、ドーパミンがあふれてきた。

だって、ずっと私がやりたかったことやん!!
単に日本酒に関わるだけでなく、そういうものを書きたかったんやん!!

「これが読んでもらえるのか、蔵のためになるのかはわかりませんけど、とにかくやってみたいんです」と社長。
自分たちの販促ツールとしてではなく、日本酒業界のために作りたいのだという。
そのために結構な額の予算もとってくれていたし、資料には「出版事業」と書かれてあったので、会社としては一つの事業として取り組むようだった。

1時間半の打合せを終えて本社を出たが、まだ興奮が止まなかった。
イメージは、社内報だ。
昔やっていた、日本全国300店のチェーン店をつなぐ社内報。
売っているものもサービスも同じ。横のつながりもない。だからこそ、同じ境遇で働いている人の「想い」を知ることに意味があった。
酒蔵も同じで、造っている商品もやり方も大差はない。横のつながりもほとんどない。
だからこそ、同じ境遇で働いている人の想いを届けたい。
そこからもっといいお酒が生まれてくるかもしれないし、働く人のやりがいにつながっていくかもしれない。

自分が文章でつなぐ役割をできたら、こんなに嬉しいことはない。
それも、大好きなお酒のことで、日本酒業界の役にも立てるかもしれないのだ。ほんのわずかであれ。

また一歩、近づいた。
自分のやりたい仕事に近づけた。

いつも嬉しいと興奮して、「わーーーー!」って感じになって、踊りまくったりするが、今日はもっとしみじみしている。
しみじみと興奮している。
Yさんや、Yさんを紹介してくれたKさんのことなども考えて、感謝の気持ちでいっぱいになって、なんだか涙が出てくる。
全部つながっているんだなぁ。
またそんなことを思う。
無駄なことなんて1つもない。全部つながっている。
その時、その時を誠実に、一生懸命、まっすぐに過ごしていれば、ちゃんと導かれる。
私はやっぱり運がいい。

そして、書くことを、あきらめなくてよかった。