月と歩いた。

月の満ち欠けのように、毎日ぼちぼちと歩く私。
明日はもう少し、先へ。

おいしいワインのお店をハシゴ

2013-06-25 | 美味しいもの
金曜日は、ライター友達のアンデルさんと食事に出かけた。
今回は「ワインにしましょう」ということで、お初天神にある「ブラッスリー・ランコン」へ。
“フレンチ居酒屋”というスタイルが気に入っていて、私はもう4回目。
ワインの種類が多く、シニアソムリエの方がいて、こちらの希望通りのワインをセレクトしてくれる。
お料理も南フランス風(?←イメージね)の家庭料理という感じで、これまた私好み。
キッシュやホロホロ鳥のフリカッセ、牛ホホ肉のワイン煮込み、鶏レバーペースト、アルザス風ピザ、ニース風サラダなど、どれもしっかり丁寧に作られていて、ワインに合う。
何を食べても美味しい。

自分で選ぶといつも同じものになってしまうので、メニューセレクトはアンデルさんにお任せ。
すると、海老とアボカドのサラダ、キッシュ、ムール貝の香草焼き、枝付きレーズン、となった。
やはりキッシュは外せないが、他は自分では選ばないものばかりなので、新たな味を開拓できてよかった。


特にムール貝が美味しかった。



しっかり香草の味がして、酒のアテという感じ。
“フレンチ居酒屋”ならでは。
こういうところが気に入っている。

エルディンガー(ドイツビール)から始めて、ワインを2杯。


落ち着いてゆっくり話せたのでよかった。

今回はワインのお店を2軒ハシゴしようと決めていたので、2軒目はアンデルさんおすすめの「グロリエット」へ。
「キュニエット」のオーナーの2号店とのこと。
私はどちらも行ったことがない。

2階もあるようだが、1階はこじんまりとしていて、灯りを落としたバーの雰囲気。
美味しいものがありそうな予感・・・。
ボードに書かれた料理のメニューを見ると、どれも魅力的だ。
しかし、まあ2軒目だし、1品ずつ選ぼうということで、私は水ナスとトマトのサラダを、アンデルさんは羊のソーセージを選んだ。
水ナスとトマトのサラダはジェノベーゼソースで和えてあって、さっぱりしていて美味しい。

喉が渇いていたので、まずは冷たい白ワインを。
サラダとよく合う。

羊のソーセージもどんなものだろうかと不安だったが、お肉がジューシーで旨味たっぷり。


今度は赤ワインに合わせてみた。


こちらのオーナーはワインに情熱を注いでいて、置いているワインはすべてヴァン・ナチュール。
いわゆる自然派ワイン、ビオワインというやつだ。
有機農法で作った葡萄で、一切添加物を加えず、天然酵母で造る。もちろん、防腐剤なども極力使わない。

ワインについて尋ねると熱心にオーナーが語ってくれた。
ああ、そうか。
日本酒だけでなく、ワインの世界でもやはり「できるだけ自然な形で造ろう」という動きもあるんだと知った。
私は、日本酒は戦後の三倍増醸清酒や、大手メーカーの大量生産、利潤追求型の醸造、米の農薬など、たくさんの問題を抱えているが、ワインは純粋に伝統を守りながら造られていると思い込んでいた。
やはり時代の流れの中で、「自然な形」は失われていっていたんだなぁ。
そして、それを取り戻そうという農家や造り手がいて、そういうワインを応援したいというのがオーナーの考えのようだった。

アンデルさんとおしゃべりもできなくなるくらい、オーナーは熱くワインについて語り続けてくれ、非常に勉強になった。
中でも心を動かされた言葉がある。

「飲食店のような第三次産業は、本当はなくてもいいんです。ないと生きていくのに困るというものではない。だからこそ、三次産業は、一次産業、二次産業を助ける義務があると思ってやっているんです。」

そんな信念があって、ビオワインを応援しているのだという。
真面目に、いいものを造ろうとしている人たち、農家・造り手の役に立ちたいと思ってやっているのだという。
実際、フランスで何年もワイン造りに携わって勉強してきた人だ。
そこでビオワインに出会って、決定的な味の違いを感じたのだと話していた。

単なるワイン好きでも、ワインに熱い人でもなかった。
オーナーは、広い視野で世界をとらえて“自分の仕事”をしている人だった。
そのことに何よりも感動してしまった。

私はこういう考え方がとても好きだし共感する。
私も伝統的な調味料(醤油、味噌、みりん、砂糖、塩、酒など)は、それこそ一人暮らしをしていた頃から大手メーカーのものを使用せず、きちんと造られたものだけを使ってきた。
そう人に言うと、よく「味にこだわってるなぁ」とか「添加物が気になるの?」とか言われたが、それは二の次で、私はただ真面目に、ちゃんとした日本の食文化と伝統を守り続けている人を応援したいだけなのだ。
もちろん、それらは美味しいし、安心・安全だ。
でも、それ以上に、買う人がいなければ廃れてしまうから、守り続けるために高いお金を出してでも買い続けている。
高い、と言ったって、数百円のことだし。

酒造りもそうだけど、どんなに長い歴史と伝統があろうと、何でもなくすのは簡単。
それが、一度なくしたものを取り戻すのは難しい。不可能な場合もある。
「守り続けよう」とする人がいるなら、それを応援する人でありたいと思うのだ。もちろん、できる範囲だけれど。

そんな信念を、自分の仕事として実践しているオーナーは、本当に素晴らしかった。

ちなみに、赤ワインはどれも嗅いだことのない香りがした。
ものすごく土っぽいのだ。
正直、普段飲んでいるワインのほうが、華やかでいい香りだなぁと思ったが、これが自然な香りなのかもしれない。

2軒目なので2杯くらいにしておくつもりだったのだが、結局、ここでも4杯。
そんなに高い店でもないのに、2軒目としてはびっくりするような金額で目が覚めた。ああ・・・

でも、いいお店だったな。
また来よう。

喉が渇いてしまったので、帰ってビールを飲んで寝た。
楽しい食事会だった。