月と歩いた。

月の満ち欠けのように、毎日ぼちぼちと歩く私。
明日はもう少し、先へ。

あたたかい再会

2013-06-19 | 想い
この間、昔の生徒からフェイスブックの友達リクエストがあった。
何人か他の生徒ともつながりができているが、この子には特別な思い入れがあり、とても嬉しくあたたかな気持ちになった。

あだっちゃんたちと同じ学年だから、今年23歳だと思う。
今は東京で働いているとのこと。社会人3年目です、と書いてあった。

彼は、あだっちゃんのように中2から2年間びっしり見た生徒ではなくて、中3の途中で「駆け込み」で来た。
どこにも行く高校がなくて、焦って駆け込んでくる、あれだ。
そんなに悪いグループにはいなかったけれど、チャラチャラしていてテキトーで、ボヤーっとしていたら中3になっていた、というタイプ。
塾では一生懸命やっていた。「高校行きたい」と言って、必死にやっていた。
でも、なかなか成績が上がらなくて苦労した。

友達同士の中では、チャラいグループにいるわりには、人の顔色を伺っているタイプで。
背は低いけど、女の子みたいなきれいな顔をしていて、時折やんちゃで、時折素直。
ムカつく行動もとるけれど、心根は優しいんだろうな、と思わせられることもよくあった。

印象的だったのは、ある日、「明日、お母さんに会いに行くねん」と言っていたこと。
塾には片親の子が多かったので、普通に「そう。どこにいるの?」と聞いたら、西宮のネイルだかエステだか、そういう美容関係のお店で働いていて、そこに行くとのことだった。
「そこで店長やってるねんで~」と、彼が誇らしげに教えてくれたのがいじらしかった。

卒業後、一度だけメールをくれた。
この学年の生徒だけは、最後に手紙を渡したのでメルアドを書いていたのだ。それを見て送ってくれた。
私の手紙を久しぶりに見つけて読んで感動した、というような内容だった。
ありがとう、高校生活楽しんでねと返信して、それでまた途切れた。

あれから5年か6年は経ったのだろうか。

久しぶりにコンタクトをとれて、懐かしいなぁとお風呂に入りながら噛み締めていて、「あ」と思い当たった。
彼は今、渋谷の某百貨店の某ブランドで美容部員の仕事をしていると書いていたことを思い出したからだ。

中学生のとき、会いに行くんだと嬉しそうだったお母さんも、確かそういう美容関係のお仕事・・・。
「お店で一番偉い人やねん」と誇らしげだった顔も思い出して、やっぱりお母さんの影響なんだろうなぁ、同じような仕事を目指したんだろうなぁと思ったのだ。
そうしたら、なんだか彼の気持ちがいじらしくて、たまらなくなってしまった。
あの頃に私の気持ちもタイムスリップした感じ。

お風呂から出て、もう一度彼のフェイスブックを見て、過去の記事を辿ってみてみた。
一人暮らししているのか、自分で作ったご飯などもアップされている。
友達と遊んだり、仕事の後にビールを飲んだり。
充実した毎日がうかがえて、心からホッとした。

私へのメッセージもちゃんと敬語を使っている。
「東京へ来られたら、ぜひ寄ってください」と。
「仕事で行くことがあるから、その時は先に連絡するね」と返信したら、「かしこまりました!」と返って来た。

昔は「かしこまりました」どころか、まともな日本語もようしゃべらんかったのに・・・。
(それは自分でも認識していたようで、「相変わらず誤字脱字だらけで国語は苦手です」と書いてあった)
たぶん、お店で働いているから、五大接客用語とか言わされているんだろうなぁ。
それで無意識に出てくるのだろう。
そういう素直さも、彼らしかった。

ずっと気になっていた生徒の一人。
苦労してないか、困ったことはないか、さびしくはないか、思い出すたびに心配していた。
見た目と違って、とても繊細だったから・・・。
でも、ちゃんと大人になって、好きな仕事に就いて(これが重要!)、一生懸命働いて充実した毎日を送っていた!
よかったなぁと、今は思い出すたびに、じんわりとあたたかい気持ちになる。