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同性婚と「同姓不婚」

2023-02-16 14:26:58 | 日本の時事風景
2月14日の新聞に「同性婚導入64パーセントが賛成」という記事が一面に踊っていた。

「へえ」というのが即座の感想であった。

意外だったのである。

同時にLGBT(性的少数者)への法的措置が必要だとの認識もほぼ同じパーセントであった。

自分としてはLGBTへの理解はある程度あるつもりだが、同性婚については「なぜ戸籍にまで記載する必要があるのか」「戸籍とは無関係の事実婚でいいではないか」と考えているタイプである。

妻も同じ考えらしく、首をひねっていた。

同じ新聞の3面には年代別の支持(賛成)率が載っており、それによると若い世代(30歳以下)ほど支持率は高く、男女平均で80パーセントを超えている。特に女性は90パーセントと断トツだ。

で、その他の年代別を見ると、4、50代で60パーセント、そして、それ以上の世代では50パーセントである。

どの世代も女性の方が男性より2、30パーセント高いのだが、60代以上の男性の支持率が46.6パーセントと不支持の41.2%よりも高かったのにはもう一つの「へえ」を発してしまった。こっちの方が最初の「へえ」よりも強い「へえ」であった。

およそ同性婚は某女性衆議院議員の言葉を待つまでもなく「同性婚は生産性がない」つまり「子どもは100パーセント生まれない」のだが、我々の世代ならずとも結婚したら子供を産み育てるのは当たり前(想定内)の意識であった。

この当たり前が「性の多様性を重んじる」ことによって当たり前ではなくなりつつあるのだろうか?

そもそもそのような主張をする人たちも異性の両親がいて生まれてきたわけである。同性婚を認めるということは自分を生み育ててくれた異性の両親を否定することになりはしないか。

安倍政権で喧伝された「一億総活躍社会」の中の「男女平等」には「賃金の同一」「キャリア上の同一」が大きく取り上げられたが、これによって特に女性が「女性という姓による差別が諸悪の根源」というような思考にとらわれ、結果として「女性は子産み子育てを押し付けられるから、男性と同等の仕事も賃金も得られない」と思い込んでしまった。

そうなると、次のようなことが起きるだろう(実際に起きている可能性は高い)。

男性と同等の仕事や賃金を得るためには子どもを生んでいては無理だから、男性とは結婚しない。そこで同姓である女性と結婚すれば安心だし子どもは生まれないし、子育て中心の家事(炊事・洗濯)からは解放されるし、二人で自由に旅行も趣味も何でもできる――。

男女を問わず「疑似夫と疑似妻」のカップルが永遠に生きるのであればそれでも良いかもしれないが、いつかは二人とも死ぬ時が来る。子どもはいないから財産を構築しても引き継ぐ者はいないことになる。国や公共団体にでも寄付することになるのか。

それとも他人から子どもを貰い、財産をその子に引き継がせるのか?

財産の相続をめぐって、現在以上に騒動が起きなければよいが・・・。

今さら持ち出すこともないかもしれないが、憲法では男女の平等については「本質的平等」と言っている。「実質的平等」ではないことに気付かなければならない。

この本質的平等とは「男女間にはその性現象を客観的に保有しているという事実上の区別はあるが、人格としては平等であり差別はない」ということなのである。

もう一つこれは科学的な説明になるが、「人間(生物学的には人類)は哺乳類に属し、女親(雌)によって生存の営みの最初期が担保されている生物だ」ということを忘れてはならない。

「こういう生物的な営みこそが女を苦しめている元凶だ」というのであれば、もう人間(哺乳類)を辞めるしかないだろう。


(追 記)
「同性婚」という言葉を聞いてすぐに反応したのが、タイトルに掲げた「同姓不婚」という言葉であった。

「同姓不婚」というのは、現在の韓国は今でもそうだと聞くが、同じ「姓」同士の縁組は避けられるということで、例えば「金正恩」という男と「金蘭妃」という女の「金」同士の結婚は無いのが原則である。

この「同姓不婚」の歴史は古く、魏志倭人伝でおなじみの「魏書東夷伝」に見える朝鮮半島にあった「濊(わい)」という国について記された中に登場している。3世紀の話だから1800年前のことである。(※濊は今日の北朝鮮全域に掛る大国であった。)

日本でも6世紀末から7世紀初頭の倭国時代を描いた隋書には次のような記事がある。

婚嫁不取同姓。男女相悦者、即為婚。婦人夫家、必先跨火、乃與夫相見。>
嫁と婚するに、同姓を取らず。男女にして相悦べば、即ち婚を為す。婦の夫の家に入らんや、必ず先ず火を跨ぎ、夫と相まみゆ。)

その頃の倭国人の間でどれほど「姓」が普及していたかは不明だが、上記の「濊(わい)」同様、同姓同士の婚姻は避けられたようである。

同性と同姓は似て非なるものだが、参考までに略記してみた。

なお「姓」はのちに「かばね」と呼ばれるが、「女偏に生きる(生まれる)」というのが本義である。哺乳類である人間は原初、母系によって育まれたことを証明する漢字である。

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