鴨着く島

大隅の風土と歴史を紹介していきます

沖縄県民投票の結果

2019-02-25 08:29:51 | 日本の時事風景

昨日(2月24日)行われた「辺野古海岸を埋め立てて新たな米軍基地を造ること」への賛否を問う県民投票の結果は、ほぼ予想通りだった。

反対が43万票余りで、これは沖縄県全体の有権者の約38パーセントに当たり、条例に基づく「25パーセント以上が有意な県民意志である」とする割合をはるかに超えている。

しかも賛成がたったの約10パーセントであるから、この点でも県民の意志は反対だということが確定した。

面白いのは、辺野古基地建設に反対して立候補して当選した玉城知事が当時の選挙で獲得した39万票を1割も上回ったことだ。

投票率が違うので一概に比較はできないが、反対票の中にかなりの数の自民党支持者がいたことを示唆している。

事実、5日ほど前に新聞に掲載されたところによると、自民党党員及び支持者の中でも3割は辺野古基地新設に反対しているから、おそらくその票が上積みされたのだろう。

この上積み票を投票した自民党員・支持者は「もう沖縄に新たな基地は作って欲しくない」と思っているのだろう、と忖度できる。自民党・公明党政府の締め付けにもかかわらず反対したのだ。これが真の沖縄県民の意志なのだろう。

今回の投票率は52パーセント余りだったが、投票に行かなかった人も賛否については同じような割合であろう仮定すると、38パーセントの約2倍の75パーセント、つまり県民(有権者)の4分の3が辺野古基地新設に反対しているということになる。

県の施策なら即時に取りやめとなる圧倒的な数字だが、国は「危険な普天間基地の除去の代替基地であり、日米合意に基づいて粛々と工事を進めていく」として、結果としてはどこ吹く風を決め込んでいる。

今回の圧倒的な反対という民意にもかかわらず、辺野古基地の建設は進んでいくのだろうが、こうなったら沖縄は一段格上の「在沖縄米軍の存在を許している日米安保の存在について」の賛否を問う県民投票に踏み込んだらどうだろか。

そもそも論になるが、沖縄に多数の米軍が駐留しているのは、戦後の「対共産国家対策」、具体的にはアメリカが中国共産党政府の誕生とソ連との連携による東アジアの共産革命危機(ドミノ理論)に対処するための戦略上のキーストーン(要石)として沖縄を捉えたからだ。

昭和天皇が「沖縄に米軍が長期にわたって駐留して欲しい」旨のことを口外されたことがあるようだが、これもこの共産革命危機の具体的な姿である「朝鮮動乱」を目の当たりにされたからで、何も永久に在日米軍がいて欲しいと考えられたわけではない。そこをごっちゃにしてはならない。

今はもう共産革命の危機はほぼ消え去った。アジアから旧植民地主義の残滓も拭い去られた。日米安保に拠る米軍の存在意義は相も変らぬ「抑止力」という観念以外は無いに等しい。

安倍首相が昨日の「天皇陛下在位30周年記念式典」で声高らかに、「戦後日本は平和国家として歩んできた」と言っても、いつまでも「米軍の傘の下での平和国家・平和な協調外交」なら子供だましだ。アベマリアならぬ安倍マリオネットだ。世界の良識ある国々はお見通しのはず。

日米安保が無くなったら「中国が侵略し、北朝鮮はミサイルで脅し、ロシアは北方領土を返すどころか基地を造るだろう」とあたかも日本は丸裸にされ、いいようにさせられてしまうと懸念する向きが日米安保主義者には多いが、こんな米国(米軍)依存症患者は一番安全だと思うなら米国に移住すればよい。

話は逆で、日米安保を解消すれば、ロシアとの平和条約も沖縄の在日米軍(に関わる地位協定という名の不平等協定)による重圧も一気に解決するだろう。そして同時に永世中立国を宣言することだ。こういう国がもう一国はあってよい。世界がそれを待っている。


イグノーベル賞なら

2019-02-20 09:39:07 | 日本の時事風景

トランプ大統領が去年のノーベル平和賞候補への推薦を安倍首相に依頼し、安倍首相が推薦状を送ったらしいことが明るみに出た。

冗談もほどほどにしてくれ。

初の黒人(ハーフ)大統領で、就任早々にヨーロッパを歴訪した際、プラハで核廃絶を格調高く宣言したオバマ氏のやって来た、あるいはやりかけて来た政策(核軍縮・オバマケア・パリ協定調印など)をことごとく葬り去り、「小さなロケットマン」が率いる小さな国北朝鮮の核放棄を迫るための話し合いの端緒を付けただけで、結局は何にも進展していないのに、ノーベル平和賞も何もないだろう。

これに加担した安倍首相も首相だ。

もし二人がそろってノーベル平和賞を受賞できるとすれば、太平洋戦争の恩讐を越えて、国連憲章に違反している二国間軍事同盟(日米安保)を廃棄して、真に正常な二国間の間柄にした時だろう。

安倍首相がさらに一歩進めて日本を「永世中立国(ただし専守防衛の自衛隊は保有する)」にしたら、単独でノーベル平和賞を受賞するだろう。露・中・韓以外の世界の多くの国に推薦依頼を送ったら、喜んで推薦状を書いてくれるに違いない。世界はそれを待っている。

一方、トランプ大統領に値するのは、せいぜい「イグ・ノーベル賞」だ、残念ながら。


日韓政治問題

2019-02-16 14:45:14 | 日本の時事風景

韓国との間で最近になってギクシャクが異常に目立つようになった。

まずお馴染みの「従軍慰安婦問題」。

これが、つい最近、韓国の国会議長が、「太平洋戦争の戦犯である昭和天皇の息子(今上陛下)が慰安婦の手を取って謝罪をすれば完全に解決する」とアメリカでのインタービューで口にしたそうで、一気に政治問題化した。

その前が、海上自衛隊の対潜哨戒機に対する「レーザー照射問題」。

韓国海軍は北朝鮮の船が難破しかかっているので救助に向かっていたそうだが、救助活動に対して邪魔をしてきたから通常のレーダーを向けただけだ、という。ところが通常のレーダーではないことが日本政府側から証拠をもって突きつけられると、知らぬ存ぜぬという立場に変えた。

北朝鮮の難破船というのが怪しく、どうやら「瀬取り」への協力ではなかったかと疑われるている。

そして韓国最高裁が命じる判決を出した「大戦期の徴用工への支払い問題」。

何を今さらという気がする――と考えるのは日本人だけらしい。

レーザー照射問題以外は、1965年6月に結ばれた「日韓基本条約」に基づいて日本からの賠償金をもとに韓国政府自体が解決すべき問題ばかりだ(戦時の請求権は放棄されている)。その時の金は何に使われたのだろう。

そもそも韓国が戦時の日本の行為に対していまだに怨恨を抱いているのは、まずは民族的心情によるものがあるのだろうが、何よりも「南北分断」の状態が彼らをいらだたせるのだろう。

日本は敗戦後にポツダム宣言によって、外地の植民地・合併国などすべてを失ったが、それらは明治に国際的な舞台に登場して欧米流の法治国家の一員となった際に認められた領土に帰ったに過ぎない。(もっとも、1972年までの沖縄は分離されていた。北方領土はロシアに今も不法占拠されてはいるが、可能性としては北海道までソ連が侵略したかもしれない。)

ところが、朝鮮半島は趣を異にする。1910年に日韓併合が行われるまで、朝鮮半島は曲がりなりにも李氏朝鮮(1392年に建国)以来、500年余りにわたって半島全域が統一されていたのである。

4代目の世宗(セジョン)大王は現在の朝鮮文字「諺文(オンモン)」を作り普及させたことで著名な王だが、そのおかげで「小中華」と言われる中国王朝のミニチュア国家でありながら、「中国語(漢文)」が標準語にならずに済んでいる。

これは朝鮮人の偉いところと私などは尊敬している。もし日本が中国と国境を接する国であったなら、どうなっていたか。和語は廃れて中国語に置き換わっていたのではないか。そのくらい日本人は順応性に長けているからだ。(漢字から、かな・カタカナを作り出した空海?が出なかったら、また遣唐使の派遣を中止させた菅原道真が出なかったらそうなっていたかもしれない。)

小中華と呼ばれながらも、自国の言語をかたくなに守った朝鮮人は自負の塊の性格なのだと思う。

そうであれば、日本が1910年に併合し、わずか35年でその支配を終えた挙句、かっての李氏朝鮮に代わる政治体制をどうするかを考える時間がないままに、中国共産党政府(1949年10月1日成立)の後押しを受けた金日成率いる北朝鮮軍(パルチザン)によって国内は大混乱に陥り(朝鮮動乱)、ついに国連軍(連合国側の多国籍軍)の出動となり、1953年7月に休戦協定が結ばれて今日に到っている、この自尊心をえぐるような事態には堪忍袋の緒が切れかかっているに違いない。

朝鮮動乱の際に北朝鮮から逃れてきた一族の一人というムンジェイン大統領は、休戦協定から一歩進んで平和条約に持って行きたいのだろう。そうなると朝鮮動乱の際に結ばれた「米韓安保」による米軍駐留は無くなるということになる。

アメリカとしては米軍撤退にやぶさかではないだろうが、しかし、半島全体が北朝鮮化しては元も子もないので、それは現実的ではない。

どう落としどころを付けるか見ものだが、とにかく分断国家であったベトナムが1976年に南北統一し、東西ドイツがソ連邦崩壊後の1991年に統一を果たし、大きな国の分断国家として残るのは朝鮮だけとなった。

隣国として、また、かっては同じ釜の飯を食うこともあった隣人として、その平和裏に統一した姿を見たいものだ。


春の先駆け

2019-02-08 13:36:49 | おおすみの風景

今年の1月は初旬が比較的寒かったものの、その後はやはり暖冬に属している。その証拠に我が家から見える高隅連山の冠雪も、この時期になるとニュースによく出る真っ白になった桜島の姿も、見ることがまだできていない。

桜島の冠雪が冬の時期に一度も見られないという事態は、鹿屋に住んで16回目の冬で初めてだと思う。桜島が真っ白になったら必ず高隅連山も雪化粧をするものだが、今年は残念ながら御目にかからない。

平野部でも霜の降り方が去年とはまるで違い、厳しい霜というのが今年は全くない。毎朝6時半から7時の間に犬の散歩をするのだが、手が凍えて痛いほどの日は2回ばかりあっただけで済んでいる。

庭では梅が10日まえからほころび始め、同時くらいに乙女椿が咲き出し、今は満開に近くなった(満開を迎える前からぼとぼとと花が地面に落ちているので満開がいつなのかははっきりしないが…)。

沈丁花もその後を追って咲き始め、今は7分咲きというところ。

今週末からの寒気をやり過ごせば、あとは春が駆け足でやって来るだろう。

ただし、スギ花粉症を持っている身には憂鬱な日々も待っている、致し方あるまい。春よ来い!


日ロ平和条約交渉

2019-02-01 11:49:39 | 日本の時事風景

昨年の11月15日のブログに書いたが、ロシアのプーチンは本気で「条件なしの平和条約」を結ぼうとは考えていた。日本と純粋に対等な関係になる条約の必要性は待ったなしとの判断からだろう。

しかし、日本が結んでいる「日米安全保障条約」および「日米地位協定」が大きなネックになっている。

ロシア側の言い分は、――平和条約を結び、その結果として1956年の日ソ共同宣言に基づいて北方領土を逐次返還していく際に、軍事的には米軍のほぼ言いなりになっている日米安保があるため、返還した島々に米軍基地が進出するのであれば返したことがかえってロシアにとってのあだになる。だから返すことにつながる平和条約の締結はむつかしい――というものだ。

これは当然のことだ。米国はソ連時代の冷戦構造から新生ロシアとは融和を保っていたが、プーチンがウクライナを併合したためまた仮想敵国視しはじめた。

ところがトランプ大統領は「アメリカファースト」を掲げ、国内問題を最大の関心事としていて、ウクライナやシリア問題に軍事的な圧力をかけることはしていない。

日米安保に関しても「日本が攻撃されたらアメリカが助けに行くが、アメリカが攻撃されても日本が助けに来ない。こんな偏った軍事同盟があるものか!」と息巻いたが、これがアメリカの本音だろう。

じゃあ、日本も自衛隊を強化して米軍を援助しましょうとなったら最後、とことんまで付き合わされることになる。上記のように日本は米軍の言いなりになるしかないのだから。

そもそも、日米安全保障条約という「二国間の軍事同盟」というのは国連憲章上も「暫定的でなくてはならず、地域紛争は国連安保理において集団的に解決する」のであるから、国連憲章違反なのだ。

1960年の改定安保承認の立役者は安倍首相の大叔父・岸信介だったが、あの時代はまだ米国はソ連との冷戦時代であり、また新生中国共産党政府は俗にいう「竹のカーテン」で仕切られて国際自由社会は非常に不安視していた時代だった。

だが、1989年にベルリンの壁崩壊に象徴される東西冷戦構造は終焉した。世界は新たな枠組みに入り、共産中国も解放路線を突っ走り、自由社会の一角に入り込んだ。

あれから30年たって今や中国人が日本への最大の旅行者になって訪れるようになった。こんなことが想像できただろうか? 

このような激動の開放時代に何を今もっていまだに冷戦時代の遺物・日米安保など結んで、「アメリカの核の傘と軍事力におんぶにだっこ」をしている(いや、されている)のか、そして、まだ、安保がなくなったら中国や北朝鮮(などの一党独裁国家)が攻めてくると思っているのか。 この外交音痴は世界の七不思議だ。

七不思議ならまだ救われるが、世界の物笑いになっているのが実情だろう。日米安保がなくなれば、世界の国々が喜んでさらに友好の手を差し伸べてくるだろう。世界はそれを待っている。

「アメリカファースト」を標榜するトランプ大統領のうちに、安保を廃止しよう。トランプは反対しないだろう、そしてツイッターでこうつぶやくかもしれない、

――日本が安保を廃棄すると言ってきた。あ、そう。米軍がいなくなってどうなるか知らないが、まあ、日本はうまくやるだろう。アメリカの軍事的負担がぐっと減って、その分国内に金を回せるから助かるよ。サンキュー、そしてグッドラック日本。