鴨着く島

大隅の風土と歴史を紹介していきます

女性天皇へのハードルは低い

2024-04-29 10:33:49 | 日本の時事風景

先頃、共同通信社が皇室に関する世論調査を行った(3000人規模で回答率は約67%)が、皇室があった方が良い人の割合は88%、そのうち「女性天皇」については実に90パーセントが「賛成、またはどちらかと言えば賛成」だったそうである。

女性天皇への人気は高く、とくに今度大学を卒業され、日本赤十字社に就職された愛子さまを念頭に置いてアンケートに賛成と答えた人は多いだろう。

保守層は男系男性天皇を絶対に譲らないのだが、アンケートの回答にもあったように日本にはかつて女性天皇が実際に存在した。

魏志倭人伝に載る倭国の女王卑弥呼は別にして、また捉え方にもよるが神功皇后も除外して記紀の記載によると、第33代の推古天皇以下、第117代の後桜町天皇まで代にして10代、人数にして8名の女帝がいた。

このうち最後の後桜町天皇とその前の第109代明正天皇は徳川政権時代だが、あとの8代6名の女帝は飛鳥時代と奈良時代に集中している。

第33代の推古天皇は母が蘇我氏の出身で、西暦593年から628年まで35年間の在位期間と格別に長く、その後は皇極・斉明(皇極の重祚)・持統・元明・元正・孝謙・称徳(孝謙の重祚)と7代(5名)が続く。

推古天皇の2代あとに立った第35代皇極天皇以下、飛鳥奈良時代の女帝最後の第48代称徳天皇は770年に亡くなっているから、西暦593年から770年までの177年間は、16代の天皇のうち8代が女性天皇であり、その統治期間の合計は約半分の87年にもなっている。

以上のように飛鳥奈良時代の女帝群は、代数もその在位期間もほぼ半分を占めており、当時の男性天皇と互角と言ってよい。

とは言ってもどの女性天皇も父が天皇か天皇位に就ける皇族であり、わが夫天皇の死により次代の男子つまり皇太子が幼かったり、早死にしたりしたために中継ぎで即位しており、基本的には男系男子の天皇が立つのを前提としていた。

したがって男系男子が絶えないまでも先細りになってきた場合、女性天皇が即位することは理に適っていると言える。

ただ、女性天皇が一般男子と結婚した場合にその皇子が皇太子となり、やがて皇位を継ぐとなるとハードルは一気に高くなる。

戦後廃止された旧宮家(男系男子家)を復活させ、その中からしかるべき男子を女性天皇の配偶者としたら女性天皇への道のハードルとともに、その間に皇子として生まれた次代の男性天皇へのハードルも低くなると思われる。

いずれにしても、若い世代が天皇制度を受け入れる姿勢が強いという今度のアンケート結果には好感が持てた。

 


「もしトラ」か「またバイ」か

2024-04-26 14:55:34 | 日本の時事風景

前財務大臣で自民党副総裁の麻生太郎議員が、アメリカニューヨークの「トランプタワー」に共和党大統領候補のトランプ氏を訪ねたという。

故安倍元首相が大本命だった民主党のヒラリー・クリントン候補がドナルド・トランプ候補に敗れるという大誤算に慌てふためき「トランプタワー詣で」をして急場をしのいだのだったが、今回は早々と顔を繫いでみせた。

自民党筋では「全くの個人資格の訪問で、党としては関与していない」とボケをかましているが、現職の副総裁が行ったとあれば、党としての関わりがないわけないだろう。

「もしトラ」という流行語が生まれるほど、トランプ候補のエネルギー度はすさまじい。

連邦議会襲撃事件への関与やいくつもの訴訟を抱えているにもかかわらず、国民的人気は高く、大統領選に最後まで立っていられるのか危惧が出されているけれども、本人は至って平気を装っている。

そんな所も人気の秘密なのかも知れないが、何しろ一度たりとも行政経験がないにもかかわらず、オバマ後の民主党政権スライドを打ち破って大統領に就任してしまったのだ。

その点ではウクライナのゼレンスキ―大統領も似ているが、もしトランプが大統領になったらゼレンスキーーにとっては相当やばい相手だ。「ウクライナ戦争は直ちに終わらせる」と言ってはばからないからだ。

現在ロシアの占領下にあるウクライナ東部4州をそのままロシア領にさせて、手打ちとするようなことを洩らしているのだが、ゼレンスキ―政権が受け入れることはないだろう。

その点昨日だったか、現在のバイデン大統領はついにウクライナへの軍事的追加支援を決めた。ゼレンスキ―大統領の喜びいかばかりだろうか。

しかしアメリカ国内では今やウクライナ支援に加えてイスラエル支援が国民の分断を生んでいる。

バイデン大統領にしろトランプ候補にしろ、対ロシアでは反専制国家主義で一致しているようだが、ことイスラエルに関する限り、両者には大きな開きがある。トランプのイスラエル寄りは明白で、大統領就任中にテルアビブにあった米国駐イスラエル大使館をエルサレムに移転させている。

だから「もしトラ」だったら、アメリカのイスラエル寄りに反発するアラブ諸国がどう出るか予断を許さない。

一方で「またバイ」つまりバイデン氏が大統領に再選された場合でも、やはり根底にわだかまる宗教的な対立に翻弄されるに違いない。

それ(宗教)はそれ、これ(政治)はこれ――と明確に分けられないのが辛いところだ。

中国との間では貿易(経済)は貿易(経済)、政治は政治とはっきり分けて付き合っているのが日本だが、台湾問題がにわかに浮上して来ており、台湾とのそれとこれは一筋縄ではいかない気がする。

 

 


モミジの花とバラの花

2024-04-24 21:07:01 | おおすみの風景

今年の異変というか、こんなにモミジの花が咲いたことがあったのか――と驚いている。

10数年経ったモミジの木に今年は花がたくさん咲いている。赤く見えるのが花で、これが熟すと鳥の羽の形に似た花が、中に黒っぽい種をしのばせてひらひらと風に乗って飛ぶのだが、これまで我が家のモミジから飛んだのを見たことがない。

今年はこれだけ咲いているのだから、たぶん数か月後に枝から離れて舞い落ちて行くのが見られるだろう。

午前中に花壇へ百日草とホウセンカの苗を植え付け、午後はこれまで大きな鉢に植えたままだった藤をひっくり返して抜き、根の部分を半分に切ってから3分の1ほどの大きさの鉢に植え替えた。これを盆栽仕立てにできればいいと考えている。

午後2時過ぎに家内と4月27日からオープンの「春のばら祭り」会場のかのやばら園に出かけた。

昨日までのぐずついた天気がようやく回復し、暑からず寒からずの良い天候になったのでオープン前にどのくらいバラが咲いているのかを確かめようと思ったのだ。

駐車場に止まっている車は当たり前だがまだまばらで、嵐の前の静けさという雰囲気だった。

だが、園内に入ると、そこここにバラが咲いていた。

これぞバラというべきピンクの花はさすがに洗練されている。

中で興味を惹いたのがうす紫色のバラだ。

カラーガーデンという1区画にはまさに色とりどりのバラが咲いているが、この紫系のはただ一種だけだった。これは貴重である。

 

【かのやばら園 春のばら祭り】

期間  4月27日(土)~6月2日(日)期間中は無休

入園料 630円(開花が少ない場合は半額になる)

    ※小中高校生は110円

時間  9:00~18:00

駐車場 十分にあり、ほぼ心配ない

 


今日も雨模様

2024-04-23 14:51:08 | おおすみの風景

4月に入って曇り空か雨模様の日がとても多いように感じる。

一昨日も昨日も曇り空が続き、今朝は起きてみると小雨が降っていた。

鹿屋地方では米の早期米の田植えがほぼ終わり、畑作物では今まさにサツマイモの苗植えの真っ最中だ。

どちらも苗の活着には高温と水分が必要だが、こう雨が多いと田んぼの米の方はともあれ、サツマイモの生育にはもっと晴れの太陽が必要なのではと思う。

ただうまくしたもので、サツマイモの苗が植え付けられた当初は水分、つまり畑の土が湿っていた方が苗のためには良い。カラカラだと苗が干からびてしまうからだ。

それでも限度というものがあり、こう雨が続くと土の中の苗の茎が腐れてしまう可能性が高くなる。

昼頃の天気予報を見ると、沖縄から奄美を通り、南九州まで温暖前線が長く連なっている。このあともしかしたら間もなく沖縄から奄美諸島にかけて「梅雨入り」になるかもしれない。

我が家の菜園では春まきの野菜群の芽出しと定植が急ピッチだ。直播の春菊やリーフレタス、ツルなしインゲン、オクラ、スイートコーンなどは芽を出しているし、花の類も百日草やマリーゴールド、鳳仙花などがもう植え付けに適した大きさに育っている。

いま現在、花盛りなのは秋蒔きのキンギョソウとクレマチスだ。

キンギョソウは色とりどりで、濃い赤、薄い赤、白、ピンク、黄色など、白以外はほのかにグラデ―ションがあり、見ていて飽きない。

切り花として部屋に飾ると、日持ちがして良いものである。

また、ベランダに這わせているクレマチスがこの不順な天候にもかかわらず、これぞ満開という姿を惜しげもなく披露している。

一株だが、花の数は葉に隠れているものを含めて30近くあり、賑やかこの上ない。

5年前に鉢物仕立てのを買ったのだが、3年目から地に下ろして育てている。

花期がもう少し長いと言うことないのだが、贅沢は言うまい、いま一生懸命咲いているクレマチスに感謝!


怒りの鎮め方

2024-04-22 19:39:59 | 日記

新聞の囲み記事に面白い研究があった。

「怒りは紙に書いて捨てよ」というものだ。

名古屋大学の心理学(認知科学)の研究では、怒りの感情が起きた時、その怒りの感情を引き起こした状況と怒りの気持ちを客観的に紙に書き、丸めてゴミ箱にポイ捨てさせると、怒る前の気持ちと同程度にまで高ぶった気持ちが下がるという。

ただし、紙に書いて裏返しにしただけではさほど怒りの感情は収まらなかったというから、「丸めてポイ」が有効だったことになる。

これは実は昔から同様のことが行われていたこととつながっている。

例えば人から苦情の手紙などを貰った時、その苦情がまったく身に覚えがないか相手が誤解している時など、「なんでこんなことを書いて寄越すのか!」とばかり、くしゃくしゃに丸めてゴミ箱に放り込んだりすることがある。俗に言う鬱憤を晴らすというやつである。

またかなりの数のラブレターをもらっていたが、実は相手には他に本命がいてそっちの方がうまく行き、自分の方はすっかり忘れ去られたような時、怒り心頭となって数多のラブレターをビリビリに引き裂きゴミ箱の中に叩きつける――ようなやり方で、怒りを収め、気持ちの整理が付く場合などである。

ただしこの二例ではただもらった紙(手紙)をくしゃくしゃにするだけで、その紙に怒りの感情がなぜ起きたかについての「客観的な記述」をすることはない。

一例目では苦情の内容についてその評価を客観的に書き込む、つまりどこが相手の誤解なのかを冷静に指摘したうえで、丸めてポイすれば怒りの感情は(相手への憐みの感情に置き換わり)スーッとするだろう。

また二例目では怒りのヒートアップはかなりのものに違いなく、感情の爆発はなかなか抑えがたいものがあるだろうが、相手のラブレターを破り捨てる前に「さようなら、縁が無かった、ああ自由になった、さばさばした」とでも太字の黒マジックで相手の名前を消すように書き散らせば怒りの感情は相当収まるのではないか。

こういったトラウマを解消するやり方として、そのトラウマが起きた状況についてあたかも「テレビジョンの向こうの世界」で起こったかのごとく、距離を置いてみると怒りの感情や悲しみの感情が軽減される場合が多いはずである。

親子関係のトラウマも恋愛のもつれのトラウマも、そして近年多発している災害に関してのトラウマも、何時かは軽減されて行く。

一般的には「時が解決する」と言われるが、その「時」の中身は経験の積み重ねによってある程度「客観的に見ることができる」度合いが高まるということだ。

身近な人の死は多かれ少なかれトラウマを誘発するが、身近な人の死を数多く体験すれば、やがてトラウマは限りなく小さくなるだろう。

ただやはり戦争に起因するトラウマだけは経験したくないし、誰にも経験して欲しくない。

戦争を始めた者への怒りはどう鎮めたらよいのか、怒りの連鎖はどう断ち切れるのだろうか。