鴨着く島

大隅の風土と歴史を紹介していきます

銭湯での出来事

2018-10-22 15:14:35 | おおすみの風景

鹿屋市には公衆浴場として「太平温泉」「ゆたか温泉」「坂元温泉」(以上は旧鹿屋市)、「吾平温泉センター」(別名:うがやの湯。旧吾平町)、それにほとんど利用したことはないが旧串良町にも温泉がある。また、旧輝北町には輝北温泉センターというのがあるが、これは霧島温泉の泉源からタンクローリーで運んでくるそうで、なかなか大変な苦労をして町民に温泉を提供しているようである。

今日は午前中に外で庭園灯の上塗り作業をしたあと、家庭菜園の隅に生ごみを投げ込む大きな穴を掘ったりして少し汗をかいたので、鹿屋市役所の裏手にあるゆたか温泉に入りに行った。

ミニバイクで出かけたが、途中でガソリンスタンドやバイク屋でオイル交換をしてもらったら温泉に着いたのはちょうど12時だった。

この時間帯に入浴しようというのはほとんどおらず、ガラガラだったが、広い脱衣所のロッカーを開けて100円を投入してから脱衣にかかろうとした時、少し離れたロッカーの前でおじさん(70代半ば以上に見えた)が湯上りらしい火照った裸でうろうろしながら何か言っている。

「どげんしたと?」(自分は鹿児島県人ではないのだが、最初の第一声はイントネーションはともあれ鹿児島弁で言うことがある)

「鍵がお、見つからんと」

近づいて見たら、おじさんの右腕のリストにらせん状のバンドが見えた。

「おじさん、右腕に、はまっちょっど」

「ああ、いやあ、こいじゃった。あはは」

テレを隠しもしないおじさんの笑顔を見て、こっちも可笑しくなった。

「ははは、メガネなんかもこうしっせ忘るっと」

おじさんは単車に乗る時にサングラスをするそうだが、降りた際にそれをおでこの上の方にずり上げたまま「どけ、行ったか」と探すことがよくあるそうだ。

おじさんとのやりとりをしているうちに脱衣をすませ、さあ入ろうと浴場のドア付近まで行くと、ドアの右手に備え付けの体重計(家庭用のではなく足の部分から立ち上がったポールの上にデジタル表示される業務用のやつ)に乗って計っていたこれもさっきのおじさんと同年配か少し上くらいのおじさんが、

「ないよ、これ!計れんがよ!」

と周囲を見回して(と言っても自分とあのおじさんしかいないが)叫んでいた。

近くに寄ってみると、たしかに体重表示のはずの数字がめちゃくちゃに動き回っている。

「おじさん、ONを押してすぐ乗ったらいかんヨ。一度降りて、もう一回ONを押し、ちょっと待ってみてゼロキロになったら乗ってみて」

とアドヴァイス。

その通りしたら、ゼロキロを表示したので、

「あはは、こいじゃねと、やっせんなア」(こうならないと、いけないんだなあ)

と早速上がって体重を確かめた。

両人とも吾輩より10年ばかりの先輩に見えた。10年後の自分の姿がそこにある。

でも、このくらいは愛嬌ものだ。

ちょっと心がほころんだ銭湯だった。

 

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合歓の狂い咲き

2018-10-19 08:33:17 | おおすみの風景

数日前に東京都内の桜並木などで、桜がちらほら咲いていて話題になった。

これは台風によって葉のほとんどすべてが飛ばされたあとによく見られる現象だ。なにしろ9月の下旬から10月上旬にかけて一週間ごとに二度も台風が強風をもたらし、かねてなら10月下旬くらいまではあるはずの葉がすっかりなくなってしまった。

鹿児島・鹿屋ではよく見られるし、今年も見られたが、原因は木が丸裸になることで葉を落とした晩秋から冬の期間が再現され、なおかつ気温・日照条件が春先と同じになることで花芽の分化が促進されて咲く。

桜が咲くのは春の彼岸から下旬の頃が多く、その時の気温・日照条件に近いのは秋の彼岸から10月上旬の頃で、今回はその条件を満たしていた。

ただ、報道でも「ちらほら咲いて」とあるように、けっして満開になったりはしない。そこは桜の木自体が分かって抑制しているのだろう。

中には人間と同じで超気の早いヤツが「わあ、春が来たんだ。咲かなくっちゃいけねー」なんて咲いたりするのかもしれない。確かに「狂い咲き」だ。

鹿屋でよく見るのがやはり9月の台風のあとに咲くパターンだが、ここ数年は台風そのものが来ないのでちょっと肩透かし的だったが、今度の二週続きの到来でやっと旧に復した(!?)

ところで、今朝菜園を見て回ったら、14,5センチに伸びてやや葉を広げ始めた白菜に何やら薄紅のゴミのような物が付着していた。朝露でべたっとしていたので近くに寄らなければ分からなかったが、何と合歓(ねむ)の花だった。

あわてて上を見上げるとちょうど真上にまで枝を広げている合歓の木の、とある細い枝の先端に一輪の花が咲いていた。狂い咲きだ。下の白菜の葉の上に落ちたのはその仲間だったのだろう。

桜と同じでいつもなら10月いっぱいくらいまでは葉を落とさない合歓の木だが、やはり今度の2回連続の台風で一度は葉がすべて無くなり、条件の良かった枝だけ再度新葉を付けた。 ここ三日ほどは最低気温が12度前後と寒くなったが、日中の気温は25度から28度くらいあり、通常花を咲かせる初夏の気象を感じたのだろう。

新しい葉ではないが、庭では朝顔や鳳仙花のこぼれ種から生えてきた二世が花を付けている。これも温暖化の余興だろうが、可愛らしい。

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ノーベル平和賞

2018-10-05 22:48:42 | 日本の時事風景

今日はノーベル平和賞の発表があり、受賞者はアフリカコンゴの医師・ムクウェゲ氏と、イラク出身の女性・ナディア・ムラードさんの二人。

どちらも女性の性的被害者への救済に奔走しており、ムクウェゲ氏はコンゴの内戦で性的暴行を受けた女性たちを治療して来た。また、ムラードさんは自身がイスラム国の性奴隷として拉致された経験がある。

性的被害を訴えて今年一番話題をさらった感のある「#Me too」は受賞に至らなかった。あと2、3年運動が続けば受賞の可能性が大きいだろう。

今朝のテレビ朝日の番組では、直接対話と和解を演出した北朝鮮の金正恩と韓国大統領の文在寅が候補に挙がっているということで、かなりの時間を割いてその受賞可能性を探っており、コメンテーターの二人が「受賞したら南北和解に弾みがつく」などと受賞を支持していたが、それは無理だと思った。

最低でも「朝鮮戦争終結宣言」が必要だ。これには戦争当事国である南北朝鮮とアメリカ、中国の同意を得なければならないが、北が「核の放棄」を完全に行えば、トランプは上機嫌で宣言を受け入れるだろう。

ただその際に必要なのは、在韓米軍の撤収ないしは大幅な縮小だ。まして両国が「平和友好条約」(同一国だから条約は使えないかもしれない。平和友好宣言となるのか)を結んだら、完全撤退となる。そうした上で改めて集団的自衛権により、韓国は米軍を核とする国連多国籍軍の駐留を受け入れるのではないか。

その後のことはさておき、南北両国がもし朝鮮戦争終結を宣言し、友好条約的なものを結んだ暁には、当然、南北首脳はノーベル平和賞の最有力候補になるに違いない。その時はトランプ大統領も初の米朝直接会談により突破口を開いた功績で受賞の対象になる可能性が高い。

もし三者がノーベル平和賞を受賞したら、北朝鮮では初めて、韓国では金大中元大統領に次いで二人目、トランプは現役のアメリカ大統領としては5人目か6人目となる。

翻って日本はどうか。今年は医学生理学賞で本庶佑(ほんじょ・たすく)氏が受賞した。戦後、日本人初めての湯川秀樹博士以来、26人目となるようだが、理系の受賞者は特に21世紀になって毎年のように受賞しているが、文系の平和賞・経済学賞・文学賞の方は見劣りがする。

経済学賞はまだ誰も受賞者がなく(ほとんどはアメリカの学者だ)、文学賞は去年日本の長崎出身でイギリス在住ののイシグロ氏が受賞してこれで3人。

今回話題にした平和賞に関しては、1974年に佐藤栄作元首相が受賞しただけである。佐藤氏の功績は沖縄返還とそれに際して核兵器を米軍基地へ持ち込ませないことと、持たないこと及び造らないことという「非核三原則」を提示したことにある(もっとも米軍は沖縄の基地への核持ち込みを行っていたので、非核三原則は実質的には守られなかったのだが…)。

日本人がもし平和賞を受賞するとすれば、国連憲章の趣旨に反する日米安保という二国間軍事同盟を廃棄し、さらに非同盟中立(永世中立ならもっと良いが)を宣言し、軍事的な相互防衛などという一見正しそうな言葉だけの同盟は一切排し、専守防衛に徹する中立国構築に尽力した政治家に与えられると思う。

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沖縄県知事に玉城デニー氏が当選

2018-10-02 10:00:43 | 日本の時事風景

沖縄県知事選投票日は台風24号がようやく沖縄から抜け出た日で、投票率低下の心配があったが、期日前投票が相当な高率だったため前回の知事選と同率くらいにはなったようだ。

玉城氏は自民・公明の推す佐真喜氏より7万票も多い38万票余りを獲得して見事に当選を果たした。自民・公明という現政権挙げての大量動員があった上でのこの差は、玉城氏側の圧勝と言ってよい。

玉城氏を最初は歌手のキロロのボーカル担当・玉城千春と同じと思い「たましろ」と読んでいたのだが、「たまき」だったのは意外だった。どっちの「城」の読みが正解か正当かは知らないが、もう一つ不思議なのがキロロのピアノ担当・金城綾乃の方は「きんじょう」と「城」を「じょう」と読んでいることだ。

同じ「城」を「き」「しろ」「じょう」と三通りに読んでいるのは、さすがに困る。病院の受付の人なんかはどう対処しているのだろう。「玉城」をひとりは「たまきさん」と呼び、もうひとりには「たましろさん」と呼ぶのに何か区別の仕方があるのだろうか。

沖縄では「城」を使う姓が比較的多い気がする。「大城(おおしろ)」「宮城(みやぎ)」「南城(なんじょう)」などだが、「城」はすべて読みが違うのは他県人からすると頭が痛い。慣れるしかないのか。

まあ、今回はそんなことはどうでもよい。とにかく癌のために任期半ばで倒れた前知事・翁長氏の後継争いが焦点で、玉城氏は故翁長氏も認める正統な後継者であり、佐真喜氏は自民党現政権の推す候補者だった。

政策上の焦点は、辺野古の米軍基地新設を認めるかどうかだったが、玉城氏は翁長氏同様認めない立場、佐真喜氏は自民党現政府同様認める立場(と言っても佐真喜陣営は選挙戦でそのことを明言しなかった)だが、選挙結果に現れた民意は辺野古米軍基地建設反対ということである。

安倍政権はこの結果に動ずることなく例のアメリカへの過剰の忖度により、また、普天間基地移設のかっての自民党政権と米軍との間の確約により粛々と建設を進めるに違いないが、そもそも沖縄への米軍の駐留を許しているのは「日米安保」(及び日米地位協定)が結ばれているからである。

今、「米軍の駐留を許しているのは」と言ったが、自民党政権からすれば「(日本の安全保障上)米軍の駐留をお願いしている」というのが正確で、これに対してトランプ大統領は「一方的にアメリカが日本の安全を守るのは、片務的すぎる。逆にアメリカが攻撃されても日本は助けようとしない。おかしいではないか」と歴代の大統領にはなかった一歩踏み込んだ発言を繰り返してきた。

それはその通りで二国間軍事同盟ならそうでなければならない。つまりお互いに軍事力を行使して助け合いましょう、というのが筋なのだ。ところが日米安保に限っては成立の当初から一般的な相互防衛条約とは違っていた。

アメリカとしては国連憲章の制定当事者でもあり、戦争防止や軍事的衝突回避のために国連(安保理)が仲裁に入るのが憲章上の決まりである以上、二国間の相互防衛条約は暫定的でなければならず、双方の国内事情が安定すれば(基本的には国連に加盟し、民主主義が浸透して内戦などの危険が無くなれば)廃棄した上で、あとは国連に委ねなければならないのである。

ところが日本は国連に正式に加盟したのと同時に「日米安保」を結んだ。その理由は吉田首相によれば「荒廃した日本に再軍備にかける金などなく、そんな金があった経済復興に回す。だから独立国としては恥ずかしながら軍事的な安全は米軍に頼るしかない」と、腹をくくったわけである。

その後9年目(足掛けでは10年)、安倍首相の母方の祖父である岸首相が安保改定してまた10年延長した。この時のことを安倍首相はよく覚えているそうで「私の祖父は安保を10年限りにすると、期限付きで再契約したのです。国連加盟以前の米軍占領と何ら変わりなかった日米安保をかなり同等にしたのですよ」と誇らしげだ(『美しい日本』同氏著)。

しかし、それとてその5年前の1955年(昭和30年)に保守合同した際の最大の目的だった「自主憲法制定」とそれを担保する「自主軍備・日米安保廃棄」は1970年にも発動されず、結果としてこの63年間一度もなかったことを振り返れば、「目糞が鼻糞に誇る」程度のものだ。

要はもう「日米安保」を廃止するのが筋で、その上で「自主軍備」(国防軍、ただし専守防衛)を進め、同時にいかなる国とも相互防衛条約なるものを結ばないためにも、「永世中立国」を宣言すればよい。

永世中立国を宣言したからといってかってのスイスのように「国民皆兵」「国連非加盟」になる必要はなく、現有の自衛隊を国防軍として改組し、選挙権を得た18歳から2年間くらいの軍事を含むボランティア活動を義務付ける程度でよい。

中国にしてもロシアにしても、日本が日米安保を廃棄したからといって「さあ米軍がいなくなった、やっつけろ」などと攻めてくることはない。もしそう思う人がいたらその人は余程の「アメリカ(軍)依存症」罹っている人だ。こういう類の人はアメリカへ亡命(帰化)したらいいだろう。安全だぜ。

今の安倍首相は「日米同盟はこれまでになく堅固であり、ますますそうしたい」などと思っている人だから、全くその見込みはないが、沖縄が「永世中立県」なる宣言をすることは可能だろう。沖縄に行った時に「万国津梁」というフレーズをよく見かけた。「世界の架け橋」という意味だが、沖縄には特有の外交のしたたかさとしなやかさがある。戦災に晒されて多くの県民を失うという筆舌しがたい苦しい過去もあった。絶対平和を願う「永世中立」にはうってつけの県ではないか(ただ、米軍撤退後の米軍基地の一部が自衛隊の基地になるのはやむをえまい)。

 

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TPP・FTA・TAG

2018-09-28 11:26:10 | 日本の時事風景

TPP,FTA,TAG…と並べてみても何だかよく分からないが、すべて国家間の貿易協定である。

TPPは「環太平洋パートナーシップ」で、日本をはじめオーストラリア・インドネシアなど十数か国の参加で調印された。関税は低めに設定しているにしても、無関税というわけではなく、国々の事情を考慮し品目により高い低いがある。

FTA は「包括的自由貿易協定」で、主要品目の例外はあるが、原則としてすべての交易に関税はかからない。韓国とメキシコ・カナダがアメリカと二国間で結んでいるが、それぞれ大きな問題を抱えている。

TAGは「物品貿易協定」で、すべての交易のうち知的財産や所有権・金融などソフト品目を除いた物品に関して二国間で取り決めようという協定。

トランプ大統領は当選早々から「TPPには入らない」と言っており、もしかしたら日本への二国間協議を持ちかけてくるのではないかと危惧されていたが、その通りになった。

今度の国連総会で演説した安倍首相は、去年は北朝鮮への経済制裁一本鎗とはがらりと趣を変え、「北朝鮮との直接対話」「拉致問題の解決」にシフトした。

去年のはトランプの飼い犬のごとく、トランプの「小さなロケットマン。長距離ミサイルを打てば北朝鮮は火の海になるだろう」などという金正恩への恫喝に乗っかる形で「北朝鮮非難」に終始した。

今回のはそれに比べれば建設的だが、半年くらい前に金正恩が「日本はなぜこちらに来て俺と直接対話をしないのだ」と周辺にもらした時に、すかさず「会って話をしよう」と、答えなかったのか、残念である。やはり「アメリカへの忖度が第一」主義のせいだろう。

 

その国連演説後に会談をした結果、突然出てきたTAG。おそらくトランプは安倍首相が3選されるのを待って持ち出してきたのだ。もちろん党首選挙の前から向こうは安倍首相の当選は確実とみていて、当局筋には伝えておいたのだろうが公表はしなかった。

もし公表もしくはマスコミにリークされたら、党首選での地方票は大きく石破支持に傾き、安倍さんは危なかったかもしれない。

アメリカのこうした外交はしたたかだ。トランプの飼い犬よろしく何でも言うことを聞く安倍首相なら、トランプの最低でもあと二年ある任期のうちにTAGから入って結局は二国間FTAを結んでしまおうという腹なのだろう。

アメリカとの二国間自由貿易協定は農業分野で最大の禍根となる。絶対やめるべきだ。

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