鴨着く島

大隅の風土と歴史を紹介していきます

梅雨明け2020

2020-07-30 10:16:12 | おおすみの風景
今年の梅雨は長かった。

5月31日に梅雨入りし、一昨日(7月28日)、鹿児島気象台が梅雨明け宣言をした。ほぼ2か月(59日間)は平年より2週間も長い。

今年の梅雨は雨も多かった。特に熊本県人吉市を中心に大きな被害をもたらした豪雨のあった7月4日から3日間は、鹿屋でも大雨が続き、雨量は1000ミリを超えた。

鹿屋市の中心部を流れる肝属川の水位が上がり、新川町という川沿いでは床上浸水があり相当数の家屋に被害が出た。

崖崩れは大隅一円でかなりあったようだが、どれも人的被害には至らなかったのは幸いだった。

一昨日の時点でこの約2か月の梅雨の期間に降った雨の量は2200ミリに達したとの報道があったが、これは年間降水量の80パーセントに近い。

よく降りにも降ったものだが、鹿屋のみならず大隅半島一円はいわゆる「シラス台地」という姶良カルデラ噴出由来の火山灰地(約25000年前)で、厚いところは100mもある。

一般には水に弱い、つまり大雨が降るとしみ込んだ水圧でがけ崩れを起こし易いとされているが、実際に間近かで見ると、垂直近くに切り込まれたシラス採取地でがけ崩れが頻発しているかというとそうではなく、案外垂直の水圧には耐えるようだ。

これが横からの水圧だと、ちょうど砂の山が横からのホースの水でどんどん崩れ去るように、シラス台地も崩れやすくなる。真っ平らなシラス台地の一部に水の道筋を切ると、そこから水圧でどんどん深くえぐれて行き、崖に到るとえぐれとともに出口の壁の部分も一緒に崩れ落ちて大きな崖崩れになる。

これが怖いのだが、近年はそれについての防災・減災技術が進んだのか、大きなシラス崩れの被害はごく稀になっている。現に今度のような大雨かつ長雨でも、人災を伴うようながけ崩れや山崩れは起きていない。


今日になってようやく夏空らしくなり、10時頃には青空に入道雲の立ち昇るのが見られた。合歓の木の上に昇るかなり大きな入道雲。

気温も10時現在で30℃になった。最高気温は34℃くらいまで上がるだろう。

しかし気温の割に過ごしやすいのは、湿度が低いせいだ。これで風があれば外に出て木陰に憩えるのだが、今のところそよかぜ程度なので「自粛」しておこう。

令和2年大相撲7月場所

2020-07-27 19:32:21 | 日記
大相撲7月場所が東京の国技館で行われている。

今日7月27日は九日目、本来なら7月6日からの2週間、場所も名古屋で開催されるはずだった。

正月場所は当たり前に国技館で行われたが、3月場所(大阪場所)は大阪で開催されたものの、「無観客」という前例のない興行だった。

続く5月場所は東京国技館で行われるはずだったが、新型コロナの「非常事態宣言」の期間が終わったばかりだったので中止になった。(※大相撲が中止になったのはかなり前になるが、「八百長相撲」が発覚した年に一度あったので初めてではない。)

この7月場所は名古屋から東京国技館に場所を移しているのだが、無観客ではなく「升席にひとり」という三密を避けるやり方で行われている。(6時過ぎに終了後はいつも通り「弓取式」があった。後ろに見える升席はガラガラである。)

取り口を見ていると、仕切りの「制限時間3分」を中止し、「仕切りは二回だけ」というルールになっている。これも力士同士の「密」を避けるための苦肉の策に違いない。

力士関連では7名の感染者を出しているので、日本大相撲協会も冷や冷やものだろう。

9月(秋)場所はいつもの通り両国国技館で行われる予定だが、11月場所は福岡でなくこれも国技館での開催となっている。

東京は三密なのに余計に密々しくならないかと心配になるが、地方で行えば力士をはじめ多数の関係者がウイルスを向こうで撒き散らすとも限らない――という配慮なのだろう。

地方場所を楽しみにしているファンにとってはちょっと残念な「配慮」だ。

邪馬台国問題 第1回(「史話の会」7月例会)

2020-07-26 14:15:10 | 邪馬台国関連
今月の「史話の会」の例会から「邪馬台国問題」を取り上げることになった。

「問題」としたのは、倭人の女王国「邪馬台国」の比定地をめぐり、江戸時代から喧々諤々の論争が続いていて、いまだに正解が得られていないという歴史学上の特異な事件(事案というより事件がふさわしい)だからだ。

昭和42年にかの有名な宮崎康平の『まぼろしの邪馬台国』が発刊されたのを読んで以来、邪馬台国論争に引き摺り込まれ、あれからもう50年余り経つが、自分としては17年前の平成15年(2003年)に出版した『邪馬台国真論』を以て正解に到達したと考えている。

わずか2600字余りの「魏志倭人伝」の解釈が人それぞれで、そのために邪馬台国がどこにあったのかという比定地に関して30も40もの場所が取り上げられてきた。

何がそこまで比定地を数多にさせたのかと言えば、結局のところ「魏志倭人伝」の邪馬台国までの行程記事をどう解釈するかの一点にかかってくる。

鹿屋市の東地区学習センターで毎月第3日曜日の午後1時から4時頃まで開催している「史話の会」ではこれまで『三国名勝図会』・万葉集・古事記・日本書紀などを取り上げてきたのだが、今回からは『邪馬台国真論』をテキストに邪馬台国について学ぶことにした。

毎月集まるのは10名ほどのこじんまりとした研究会だが、「史話の会」以前の「大隅史談会月例会」から引き続いて10年を越える参会者もいて和気藹々としている。


今日は「邪馬台国問題①」として、まず邪馬台国が記事になっっている「魏志倭人伝」をめぐってその時代背景を述べることから始まった。

「魏志倭人伝」は、正確には『三国志・魏書』の中の「烏丸(うがん)鮮卑(せんぴ)東夷伝」を構成する東夷の国々の中の「倭人」の条を指している。

今日は3枚の資料をみんなに配ったが、そのうちの1枚が当時の中国大陸と「東夷の国々」を図示したものだった。それによると「鮮卑(せんぴ)」は今日の内蒙古地区あたりにいた部族で、「烏丸(うがん)」は今日の中国東北部(旧満州)辺りの部族である。

そして「東夷の国々」だが、これは遼東半島から東の朝鮮半島および海を渡った日本列島までを含めている。

この東夷の国々について、国別に詳細を記したのが「東夷伝」であり、旧満州南部の「夫余」から「高句麗」「濊(わい)」「東沃沮(ひがしよくそ)」「挹婁(ゆうろう)」「韓」、そして「倭人」まで7種の種族グループを網羅している。

さらにこれら部族国家群を取り巻く時代背景が描かれている中国王朝の正史「漢書」「後漢書」「三国志」「晋書」の成り立ちに触れ、中でも「三国志」を書いた陳寿がほぼ同時代(280年頃)の人物であったことから、魏志倭人伝も史実に近いという点では高く評価できることも披歴した。


最後に皆で「東夷伝」の序文を読んでみた。

「東夷伝序文」で陳寿は、漢王朝時代までは主に西域の諸族(西戎)の調査によって向こうの事情が判明し、「都護府」を置いて領域化したが、東夷については三国時代になり大陸の東北半分を領域とした魏王朝の進出によって地域事情が把握できた――ことを記している。

東夷の国情は大陸とはずいぶん違うものがあって驚かされるが、意外にも「礼儀」などは十分に行われており、もし中国で礼が廃れたら東夷に求めるようになるかもしれない――などとも書いている。(※これはかの孔子も弟子に言っていることである。)


以上、今日の「邪馬台国問題①」では魏・呉・蜀(三国時代)の時代、邪馬台国を含む「東夷の国々」の置かれた時代背景を中心に講義した。

(邪馬台国問題①ー史話の会7月例会ー終わり)

GO TO クラスタ―

2020-07-24 16:18:58 | 日本の時事風景
ついに離島でクラスタ―感染が発生した。

人口5000人の与論島では22日に20代の女性の発症が判明し、濃厚接触者と思われる10人に感染が広がった。それまでゼロだった島で、いきなり二桁の感染者は大ごとだ。

案の定、他県からの5名と会食などをしていたそうだから、その線で感染したのだろう。5名は自分たちの住所に帰ってから検査を受けるそうだが、まだ今の時点で陽性かどうかは判明していない。

離島での発症が怖いのは、受け入れ先がないことだ。幸いに20代の女性の勤務先が大手の徳洲会病院だったので、治療は可能だ。しかし11名となるとさすがに同病院ですべてを受け容れるわけにはいかないらしく、7名は鹿児島市内へ緊急搬送された。

重症者は今のところいないようだが、同病院はしばらく休診することになるだろう。

鹿児島の離島ではかなり早い段階の3月末から4月初めにかけて、奄美大島で2名、沖永良部島で1名の感染が判明したが、いずれも他府県からの入込み者であった。

今度の与論クラスタ―も、おそらく他県からの5名の誰かがウイルスを持ち込んだものと思われる。「無症状感染者」が無症状であるがゆえに出歩き、発症する前に人にうつす――というのがこの新型コロナウイルスの特徴で、とにかく感染してからの潜伏期間が長い(もし疑うとすれば、遺伝子操作でウイルスの発現をわざと遅くして感染を増大するようにしたのか?)。

同じウイルス性でもインフルエンザの場合は、感染したらせいぜい2~3日のうちに高熱と悪寒で寝込むようになるから、他人への感染は限られる。(と言っても、わずか1日だが「ちょっと風邪を引いたかな」くらいな無症状に近い短い期間はあり、その時には人にうつしている。)

「GO TO トラベル」は東京都民への割引サービスは適用外となったが、サービスを受けずに旅行に出かけることを禁じられているわけではなく、「頭隠して尻隠さず」のそしりは免れまい。

海外旅行やクルーズ船や長旅はできないにしても、近隣県の温泉など行くところはいくらでもある。都民として堂々と行くことははばかられるだろうが、神奈川や埼玉の友人たちと行くのであればスルー出来る。

帰りの精算の時に都民だけはサービスなしの通常料金という不公平感はあろうが、行けないよりかはましだろう。


それにしても菅官房長官が北海道で語った「東京問題」が、面倒を起こしている。キャンペーンに待ったをかけた小池都知事への報復がキャンペーンへの「東京除外」だが、同じ東京に張り付いているのが官公庁であり政府でもあるのだ。

真の「東京問題」はだから「東京の過密問題」なのだ。このことをはっきりと示して見せたのが、まさに今度の新型コロナウイルスパンデミックだろう。

過密問題は同時に「過疎問題」でもある。東京圏ばかりに人口が集中している現状もだが、その人口集中の東京における出生率が最も低いというのも大問題だ。

ここらで本気になって東京一極集中を解消していかなくてはならないと思う。

以前にも書いたが、国民一人当たり10万円給付に要する費用は100兆円。この5分の1の20兆円もあれば大方の官公庁は地方に移転できる。私はまず第一歩として皇居と宮内庁をかっての「平安京」京都に移転(還都)するのがシンボル的に最も良い方策だと思っている。

昨日の東京での感染者数は366名、全国では990名と4月の第一波期間の最高値を超えた。4月に最高値が出た時は「緊急事態宣言」が出されていた時期であった。

今回は緊急事態宣言発出は沙汰やみになり、「GO TO トラベル」が出発進行となった。2週間後が非常に危ぶまれる。結果として「GO TO クラスタ―」や「GO TO パンデミック」なんてことにならなければいいが・・・。

(追記)7月24日、与論島の感染者がさらに11人確認された。濃厚接触者へのPCR検査の結果である。5000人で感染者累計23名は、人口160万の鹿児島県に置き換えると5300名となる。東京都の半分だ。たとえ東京からではなくても離島への旅行は控えないと危ない。

H2Aロケット発射成功

2020-07-21 21:03:32 | おおすみの風景
三菱重工業が請け負った中東UAE(アラブ首長国連邦)の火星探査衛星「ホープ」を乗せたH2Aロケット(42号機)が、昨日20日の午前6時前、種子島の宇宙センターから打ち上げられ無事にロケットから切り離された。

H2AとH2Bロケットは三菱重工業が開発したロケットで、これまで 発射された47機のうち失敗したのは1機だけの成功率98パーセントは、世界的に見て屈指のものだそうである。

外国の注文で打ち上げたのは韓国・カナダ・ドバイそして今回のUAEの4回だが、いずれも成功しており、信頼は強固だ。

ドバイにしてもUAE にしても中東の産油国で、向こうは今後豊富な資金を使って宇宙探査に乗り出すということだが、UAEは来年建国50周年ということでその記念の意味が大きいようだ。

国の威信をかけたプロジェクトに日本がその一翼を担うことができるのは、もともと日本は中東原油の上得意だからだ。古くからの友好国であり、ロケット技術も高度な日本が選ばれるのは当然と言えるのだろう。

このプロジェクトの責任者は「これまで不可能と思っていた夢を成し遂げた」と手放しで喜んでいた。

2021年には火星の周回軌道に乗り、火星の大気の状態を観測し、その成果は世界各国に共有されるという。隣の最近のし上がってきた一党独裁の「宇宙大国」とは大いに違う公平な科学的態度は非常に好ましい。

日本でも2024年には火星に向けて打ち上げの予定で、ハヤブサ2以降得意中の得意になって来た「試料採取」を火星の衛星でも試みるそうである。

小惑星イトカワなどの試料とは違い、太陽系の起源に迫る試料が齎せられるのか、注目したいところだ。