メキシコの隅っこ

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マヤ遺跡で大江を読む

2005-11-04 09:28:27 | 遺跡
今日は再び、ホペルチェン周辺の遺跡巡りです。

こないだのホチョブ遺跡のあと、
すぐ近くにあるタバスケーニョという遺跡を探して訪ねました。
なんだかえらく山の中の急な斜面を登っていき、
車を停めてさらに歩いて登るところにあるごく小さい遺跡で、
入場無料。そのせいか、いかにもご近所の家族連れがピクニック、
という風情のメキシコ人たちが
なんだか変な犬を連れた変な東洋人を面白そうに眺めます。
恥ずかしいので、急いで退散しました。
ここの見所は、



これ、並ぶ水道蛇口、じゃなくて雨の神さまチャクです。

そこを逃れて、さっさと行きましょ、次の遺跡。
次の遺跡は、ヴィセンテ・ゲレロという村にあるジビルノカックというところ。
トップ写真がそれです。
いや最初は見つからずに難儀しました。
この道と言われて車で進んだんですが、道はどんどん細くなり
ジャングルの中へ消えてしまう。
でも、右手にそれらしいピラミッドが見えてるよ~、
入り口はどこ~、とジープでもない車でやっこらせと戻ってみると、
なぁんだ、前を通り過ぎたのに気がつかないような地味な入り口でした。

入っていくと、枯芝が広々、受付の兄ちゃんが立っているけれど
受付の建物はなく、入場無料。
人っ子ひとりいない広場に立つと、
中央に神殿、その両側にピラミッドが立っている細長い遺跡です。
トンビかタカか、高く舞ってます。

誰もいないし、大丈夫かな、と犬を放すと、
あっという間に森の中へ駆け込んでしまった。
うあああ、イグアナとかくわえて戻ってきたらどうしよう、
イノシシなんか追い出してきたらどうしよう、
とハラハラしてたら、そのうち息を切らせて戻ってきました。ひとりで。


犬も人も、やれやれ。

ピラミッドの影になった芝生に寝転び、ちょいと昼寝。
見上げる青い空に、糸のように細い白い月が浮かんでいる。
白と金色のふくろうが森のほうから音もなく飛んできて
ピラミッドに止まり、こちらを見下ろす。
寝転んで見上げていると、眩暈の感覚。

ふくろうがまた音もなく飛び去っていったので、
静かな遺跡の前で、持っていった大江健三郎を読みました。
我ながら変な取り合わせだと思ったんですが、
これがまた意外と雰囲気が似合ってたりして。
なぜでしょうか。
大江の描く四国の深い村とはまるで様子が違うのに。

ジビルノカックは静かで綺麗で、
またゆっくり行って一日のんびり過ごしたい、お気に入りの遺跡です。