限定承認の申立は,毎年全国で1000件を超えることはないようです。理由として,法律には素人と思われる相続人の中から相続財産管理人が選ばれ,その者がみなし資産譲渡の規定に係わる準確定申告や債権者に対する配当手続等の法律・税務の複雑な手続きを行う必要があり,手続終了まで時間と費用がかかるためだと思われます。
事務に関し,税理士に準確定申告を依頼した際の税理士報酬は,共益費として相続財産から支払う事ができますが,それ以外の事務を他人に依頼した場合にその報酬の支払を認めることは,確たる基準がないため難しいように思われます。
また,民法933条により,相続財産を換価する際には原則競売によらなければならないのですが,先買権といって,家庭裁判所の選任した鑑定人の評価した額を,相続人が支払うことにより自ら購入することができる規定があります。
しかし,この場合鑑定費用は,購入する相続人の負担となります。依頼者も自宅を競売から逃れるため,鑑定費用と鑑定額相当のお金を支払うことになりました。
債権者に対する配当ですが,担保権者,税・社会保険料の滞納分の順に支払い,残りの金額を,届出債権者の債権額に応じた按分で支払う事になります。
依頼者は,当初他の専門化に相談して,持ち家の確保ができると聞き限定承認を選択しました。しかし,途中で事務が頓挫してしまい,会の紹介で当事務所を訪れました。
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