140億年の孤独

日々感じたこと、考えたことを記録したものです。

名古屋フィル#95幻想交響曲

2019-11-21 22:49:41 | 音楽
第473回定期演奏会<破天荒の傑作/ベルリオーズ没後150周年記念>
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調 作品64
ベルリオーズ:幻想交響曲 作品14

そう言えば前回は、台風で中止になってしまった。残念。
この日、ブラボーは曲が終わってから言えと思った人が私以外にも数百人はいたのではないかと思う。
終わってからでも嫌だな。ブラボーをすべてのコンサート会場から一掃したい。なんで叫ぶのだろうねぇ。
今、目の前で起きた出来事の意味を拍手をしながら反芻するなんてことはせずに、
感動しましたという安っぽい気持ちを安直にぶつけてくるブラボーをあらゆるホールから根絶したい。
原始的な剥き出しの感情を前面に出すのではなくて、もっと内省的に今、あったことを振り返ってみるべきだと思う。
この日のメニューはクラシックの入門者向けのベスト100に入るであろう名曲だった。
あらゆるヴァイオリン協奏曲の中でチャイコフスキーと人気を二分するメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲。
そして幻想交響曲。入門者向けのベスト100には入るのだろうが、そこで行われていることは、まさに破天荒であって、
音楽という形式を拡張したくて仕方がないという感じで音の可能性がとことん追求されている。
そして時折、寒気がした。誰もが心の内に封印している狂気を呼び覚まそうとする作曲者の意図を感じて。
自身の中にある狂気に気付いてしまった者が必ず体験する寒気。
断頭台への行進も、狂気を内在する人間にとっては何処かで見たことのある風景。
その意味ではこの曲は破天荒であり、禁断であり、安心して聴けるものではない。
音楽を真摯に聴こうとする者であれば、芸術は高貴だけを目指しているというのではなくて、
人間の持つ最も根源的なものを曝け出す性格のものであることを知っている。
音の高さや長さが如何にしてそのようなものを引き出すのか仕組みはわからない。
絵や彫刻が色合いや濃淡や対象の形でそのようなものを引き出す仕組みがわからないのと同じように。
感性は、見えるものであれ、聴こえるものであれ、生命が生き延びるために必要な機能を超えて、
何かもっと別の可能性を含んでいる。

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