140億年の孤独

日々感じたこと、考えたことを記録したものです。

名古屋フィル#97ニーベルングの指環

2020-01-21 20:37:37 | 音楽
第475回定期演奏会
〈畢生の傑作/日本音楽財団ストラディヴァリウス・シリーズ7「ロード・アイレスフォード」〉
シューマン: チェロ協奏曲イ短調 作品129
ワーグナー: 楽劇『ニーベルングの指環』より[沼尻版]
・序夜『ラインの黄金』より序奏,「ヴァルハラ城への神々の入城」
・第1日『ワルキューレ』より「ワルキューレの騎行」,「魔の炎の音楽」
・第2日『ジークフリート』より「ジークフリートの角笛」,「森のささやき」,「ブリュンヒルデの目覚め」
・第3日『神々のたそがれ』より「ジークフリートの葬送行進曲」,終幕(ブリュンヒルデの自己犠牲)

19世紀の音楽が最も重厚長大という印象を持っている。
バロックから古典派へと時代と共にオーケストラは規模を増しロマン派では大編成となった。
その揺り戻しか、20世紀の音楽は音色を重視したものが多くなり規模は小さくなった。
現代の音楽は大編成なのか小編成なのかよくわからない。
ロマン派の作品を演奏出来る規模のオーケストラを維持するために
大編成を必要とする楽曲が作曲家に求められることがあるのかもしれない。
好みとしてはブルックナー、マーラーといった大編成の交響曲が演奏される機会を待ち望んでいる。
ニーベルングの指環は大規模編成かつ上演に15時間を要する音楽史上最も重厚な作品だが、
長すぎる上演時間と外国語が日本では敬遠される要因になる。
料金もそれなりだろうが、録音されたものを聴く機会もそうそうない。
やはり時間と言語の壁が大きい。4時間動かずに集中して聴き続けるというのも大変な労力だ。
今回のような抜粋版は少しでも関心を寄せてもらいたいという意図があるのかもしれない。
手軽に聴けるというのはメリットかもしれないが、それはやはり本編を拒絶していることになるだろう。
同じストーリーを何回も見聞きして飽きてしまうということもある。
神という地位でさえ神聖な契約によって保証されているとか、
神によって庇護された者が英雄ではなくて神を打ち倒す者が英雄に値する、
そういう教訓が含まれているのかもしれないが、それほど目新しいことでもない。
やらなければいけないこと、やりたいことがなければ、ゆっくり鑑賞する時間が持てるかもしれない。
当分そういう機会は巡って来ないような気がする。