140億年の孤独

日々感じたこと、考えたことを記録したものです。

名古屋フィル#125ニールセン交響曲第4番

2023-01-26 21:15:49 | 音楽
第508回定期演奏会〈ニールセン〉
シベリウス:交響詩『タピオラ』 作品112
藤倉大:三味線協奏曲[管弦楽版]
ニールセン:交響曲第4番『不滅(消し難きもの)』 作品29,FS.76

「不滅」「消し難きもの」「滅ぼし得ざるもの」あるいは簡単に「滅ぼせないもの」
作曲家自身が与えたという副題の意味がよくわからないでいる。
1914年から1916年にかけて作曲されたということだから、
取り返しのつかない多くの悲劇を引き起こしてしまう戦争であっても滅ぼせないものということなのだろう。
どれだけ悲惨な出来事があろうとも私たちの奥深いところにある人間性そのものは決して滅ぼされることはないということを、
はっきり示したいのかもしれない。
だが戦争ということではなくても、人間はいつか死ぬものであり、限られた時間しか存在できないのだから、
どこか心の奥底で決して滅ぼされない永遠なもの、不滅なものがあるのだと信じようとしているような気がする。
霊魂の不滅を信じる宗教はそういう性格のものだという気がする。
自分はいつか死んでしまうが、それでも滅ぼせないものはある。
そう信じることで、私のしていることは決して無駄にはならないと確信できるのかもしれない。
あるいはその気持ちは創作活動を根底で支えるものであるかもしれない。
人間性を信じていなければ、そもそも創作なんてできないに違いない。
悪意を持っている者が、産みの苦しみを甘んじて受け入れることなんてあり得ない。
悪意は常に人間が築き上げて来たものを滅ぼそうとする。ひねくれた自尊心がそうさせる場合もある。
弱者を蔑ろにしていると、無敵の人となった弱者に滅ぼされてしまう場合もある。
何が原因で、何がきっかけでということはよくわからない。ただ人間はいつも戦ってばかりかもしれない。
永遠なんて本当はないから、いつか滅んでしまうというのが真実に違いない。
でも私たちは百年も生きていないのだから、その間だけ無限や不滅を信じていてもいいのではないか、
そんな気がします。

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