遊心逍遙記

読書三昧は楽しいひととき。遊心と知的好奇心で本とネットを逍遥した読後印象記です。一書がさらに関心の波紋を広げていきます。

『日本人の知らない日本語 2』 蛇蔵&海野凪子 メディアファクトリー

2011-08-09 22:23:33 | レビュー

この本の副題は、「爆笑!日本語『再発見』コミックエッセイ」と付けられている。
至って真面目に、ホントに笑える漫画本だ。

日本語教師の海野凪子さんが外国人に日本語を教えるというプロセスで受けた「言葉」についての質問。それに何と答えて良いのか・・・日常の授業で日本語教師が悪戦苦闘する姿を漫画のエッセイとしてまとめられたものだ。この本はその2冊目になる。2010年2月発刊。
(実は、友人にこの漫画本の1冊目のタイトルを教えられて読み、2冊目も今回楽しんだ次第)

日本語教師の海野凪子さんはブログを開設されている。
「まめじゃない日本語教師がまじめに日本語を考える」
http://uminonagiko.blog73.fc2.com/
こちらをちょっと覗いて見ると、その雰囲気を味わえるかもしれない。残念ながらブログは文字での語りだけど・・・。

さて、我々は小さいときからコトバについて経験を積みながら学び理解していく。コトバは記号にしかすぎないけれど、その記号に意味づけするのは、人との関わり、集団・社会の中での関わり、学習による。経験を軸に学び、使う文脈になれて自由に使っていると、なぜそう言うのか、なぜそんな意味なのか・・・なんて普段考えもしない。

外国人に質問され、或いは日本人でも全くそのコトバを知らない人に質問され、ハタと答えに詰まってしまう。この本は日常何気なく使っているコトバを、「ああそうなのか!」と、我々自身が再発見するのに大変役立つ本だ。

コトバついてエッセイとして文章で書かれたものでなく、漫画である故に、外国人学生の質問の雰囲気や周辺状況までもがイメージしやすいし、絵の効用で直感的にわかりやすい。気楽に日本語「再発見」を楽しめるのがなんといってもいいところである。

漢字には全部ふりがながふられているので、小学生から大人まで楽しめる。いや大人こそ楽しみながら、理解を深めておくべき日本語のネタ本かもしれない。外国人でなくて、わが子や孫に質問されて、「・・・・?」戸惑わないために。

それじゃ、この2冊目にどんな珍問(?)がでているか、質問の形でピックアップしてみよう。

*なぜ緑色の信号を青信号と言いますか?
 「色の話」は広がる。
 太陽の色は万国共通に赤なのか?
 なぜピンク映画って言うのか?
*なぜ、「出れる、着れる、来れる」という「ら抜き」言葉が生まれたのか?
*なぜ「鳥居」と言いますか?
*神社にある狛犬は犬なのですか、獅子なのですか?
*「うしろ」と「あと」はどう違うのですか?
*干支って何ですか?なぜ「子」を「ね」と読むのですか?
*濁音の点はどこから来たのですか?
*「ぱぴぷぺぽ」の半濁点は誰が作ったのですか?
などなど。

この本には、「やってみよう!日本語テスト」が10箇所・各1ページ載っている。
実は、解っているつもりの日本語について、とまどうことがしばしば・・・だった。

あなたは上記質問に日本語教師になったつもりで解説できるだろうか?
出来なかった人は、この本をちょっと覗いて見ては如何?

全部説明できる自信がある方、「日本語テスト」にも100%正解できる自信があるだろうか。ちょっとテストのページを覗いて、チャレンジしてみては如何?

笑いながら、母国語の復習、再発見ができる、楽しい漫画本なのは間違いない。