多少なりとも音楽、特に合唱をするものとしてはヨーロッパの教会音楽を見過ごすわけにはいかない。
パリで聞きたかったのは地元教会のミサであった。
ドイツやイタリアの教会で所属していた合唱団で演奏旅行し歌ったことは2,3度あるが、日曜礼拝のミサに最初から最後まであずかったのは初めてであった。
モンサンミッシェルから帰った翌日は日曜だったので大体どこの教会でもミサがささげられる。
8月26日。
10時半、セーヌ左岸(パリでは川下に向かって左を左岸、右を右岸と呼ぶ)、サンジェルマンデプレのサンシュルピス教会。
この教会にはキリストを抱くマリア像が正面に祀られている。
先入観も予備知識もなく見たので、もしかしたらそう感じたのはわたしだけかもしれないけれど、このマリア像の前からはしばらく動けなかった。
あまりにも慈悲に満ちた母子像の表情とそれを包む光、・・そこから受ける感銘は目に見えるものでなく民衆の信仰心の凝縮、とでもいうのだろうか。
ミサの始まる時間、司祭さんたちが登場。もちろんミサの最中は撮影できない。
11時半、メダイユ教会へ向かう。
ここは聖カテリーナの奇跡で名を知られる小さな尼僧修道院。
水色のさわやかな祭壇の上のアーチには、優しい天使たちの絵が描かれ威圧感もなく親近感の湧く教会。
12時過ぎ。サンジェルマンデプレ教会に行くもすでにミサは終わっていた。
が、もっとすてきなものに出合った。
教会の入口の横にある小さい扉の向こうの小さい部屋の中で幼子の洗礼式を執り行っていた。祝福の日の行事なので見知らぬ観光客が静かに同席しても咎められない。
教会の入り口の前には必ず、このようなコンサートのポスターが貼ってある。
さてこの日のお昼は、なんだかとってもラーメンを食べたくなって日本食の並ぶ裏通りまで歩いて「札幌ラーメン」と餃子を食べたのでした。わたしは外国へ出かけて日本食が食べたくなることは一度もなかったのだが、空気の乾いたパリではやたらと汁ものが食べたくなるらしい。
食べ終わってメトロでルーブルまで乗りチュイルリー公園をぶらぶら散歩してカフェで一杯。
ルーブル美術館へ。
館内はカメラで撮影OKでびっくり!
この規模の大きさにもびっくり。
で、見事な芸術品はたくさんあるのだが、人が多いのは苦手なわたし。
「モナリザ」の前のカメラマンたちに恐れをなし、「モナリザ」を撮る人々を撮って、ミロとニケとエジプトのお棺を見て途中で切り上げ次の教会へ。
「サモトラケのニケ」
ルーブルのあとはサントゥシュタッシュ教会の夕方のミサに間に合うように速足で歩く。
ミサは5時半から。
ここのオルガンは7000本のパイプを持つ世界でも有数の大オルガン。
高いドームにオルガンの重低音が共鳴して身震いするほどの音響。
どこの教会でもミサの進行表が配布される。ここではグレゴリオ聖歌の楽譜が一緒にプリントされていたので本来のミサの形のとおり祈りと呼応して歌うことができた。
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8月27日。
最終日、ノートルダム寺院。薔薇のステンドグラスは相変わらず美しい。
意外にも、ここでも月曜のミサにあずかることができた。カトリックでは聖体拝領のあとに同じミサに出席した者同士が地元の人も観光客も誰彼関係なく互いに握手を交わす。前日から4つのミサに出席したのでずいぶんたくさんの外国人と握手した。
↓ サンシャペル教会。細い螺旋階段を昇ると、一面のステンドグラスに思わず歓声があがる。
現在はステンドグラスの半分は補修中。まだ補修のなされていないグラスの色と比較するとその差は歴然。新しい技法によってまた古いものが復活してゆく。
↓ シャンゼリゼから、凱旋門、トロカデロからエッフェル塔、とセーヌ河岸を歩いてシテ島の突先でしばし休憩。
パリはシテ島から発祥したといわれている。橋をいくつかわたりながらシテ島の先頭に腰を下ろしてセーヌの流れを楽しむ。
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街角風景
人力車
ビストロ「メチュレ」という店の鴨の串焼きとキッシュ。これは絶品?
今回の旅ではいわゆるドレスコードのある高級レストランへは行っていない。カフェかブラッスリー、ビストロで十分美味しいものが食べられる。フランス料理はフランス各地方の家庭料理にテを加えたものが多く、わたしは野菜がとても美味しいと思った。
シャンゼリゼ通りにある宝飾ビーズ「スワロフスキ」のお店。なんと2階への階段がスワロフスキで飾られている
もちろんここは外から覗くだけ^^。
ノートルダム寺院前のカフェ。壁にかけられたオシャレなメニュー。
シャルルドゴール空港に向かう前、最後にカフェで一杯。
この「1664」のビールは日本人には一番合うみたい。左はビールとレモネードをミックスした「パナシェ」、あっさりして美味しい。
昼間は日差しの強かったので今回はビールを注文することが多かったが、パリではビールは高い。その次が水でいちばん安いのがワインである。(ただしワインも銘柄によっていろいろ)
ゆっくり座りながらたっぷりとパリの街角に行き交う人々の動きを楽しみ、パリをあとにしたのであった。
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