回遊魚の旅日記

時の流れる音をききながら歩いたり歌ったり
少しづつ昔の暮らしをとりもどしつつ。

秩父往還~深谷・誠之堂

2012-12-24 22:45:26 | 日帰りドライブ

寒い朝、青い空に富士山がくっきり!

こうなったら出かけなくては気が収まらない。

冬の奥秩父目指してドライブ。

荒川の源流を訪ねるような旅となりました。

関越も国道140号もスムーズに流れて1時間半で長瀞に到着。

秩父鉄道に沿って走る。

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秩父の道はとにかく長い。

そのためかトイレが道路のあちこちに整備されている。

ここから「大滝三十槌の氷柱」のある大滝村まではさらに40分ほど。

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10時を過ぎて太陽は当っているが、霜や氷がまだ溶けていない。

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残念ながら「三十槌の氷柱」はまだ時期が早く、滝は凍っていないので見ることができなかったが、「大滝元気プラザ」に寄り、山の空気を満喫して秩父湖まで下る。

↓ 元気プラザ(研修所)の前庭。

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雪の残る道路を徐行しながら140号といつのまにか別れ、秩父往還道に出る。

道の幅、曲がり、集落の様子、から見て地図が無くてもすぐに街道とわかる。

まもなく栃本村の関所

ここは全く予備知識もなくあてずっぽうに走ったら偶然出くわした場所。

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こういう思いがけないところから道の今昔を知る手がかりができるから旅は

おもしろい。

街道の途中に甲州と信濃への追分あり。

↓ 追分の道標。

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まさにここが甲州信州への大事なバイパスであったことがよくわかる

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地球の芯から湧き出すような冷たさ、しばらく歩いているとしんしんしんしんと足の裏から冷えてくる。

土地の人の話でも今日は特に冷え込んだようである。

洗濯ものをとりこむおばさんが「今日は寒いね~!!」と声をかけてくれる。

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このあたりは以前、民宿であった名残の古い家々が山肌に吸い付くようにひっそりと

立ち並ぶ。

民宿としては昭和四十年代までは湯治客や秩父霊場めぐりの人々で栄えたものの、

現在では訪れる観光客は皆無であるらしい。

ましてや、この時季に東京からやってきたわたしたちは大変変わり者らしく、道を教えてくれたおじさんも「へえ~・!東京から?!」と驚いていた。

↓ 元は民宿を営んでいた大きな民家。

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関所の前から甲州側を眺めれば山間に憧れを誘うように雁坂峠の突先が陽に照らされている。

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いつも車で東京に帰るとき(特に中央道)に秩父の峰々が関東の壁のように立ちはだかっているのを見て、いつか秩父路をゆっくり訪ねたいと思っていた。

今回は冬だからか、「厳しい土地」というイメージを強くする。

あたたかい季節ならもっと歩いてみたい。

栃本から道を下り再び140号に合流して滝沢ダムの周りを通って荒川村に戻る。

荒川村歴史資料館を見学したあと、手打ちそばの店で、かけそばと天ぷらのお昼ごはん。

とにかく暖かくて美味しかった♪

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ここから、本日のもうひとつの目標であった埼玉県の「深谷」へ足を延ばす。

深谷は「ねぎ」で知られるところだが、それにもましてこの地を有名にしているのが、

明治の銀行家、渋沢栄一を生んだ土地であることと、煉瓦工場である。

なんと、深谷の駅舎は煉瓦造り!

しかし、これは最近できたもので、煉瓦を模したパネルである。

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深谷は広々としている。美しい山並みに囲まれた田畑。

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市外の上敷免(地名)の煉瓦工場を訪ねてみたものの、すでに生産は中止され、資料館のみ残っているが、まだ生産が盛んであった頃の賑わいは全くなく、ただ一本、存在を誇示するかのように工場の煙突がひときわ大きく空に突き出している。

「起会」(おきえ)というこれまた珍しい地名の町に公民館があり、その敷地内にこの煉瓦を

使って建設された渋沢栄一の喜寿を記念して造られた建物があるというので行ってみた。

「誠之堂」と「清風堂」である。

ここは大変に興味をそそられる建造物であった。

帰宅して調べたら、この記念館の前の道はなんと「旧中山道」であった。さらに深谷の煉瓦工場で使われる窯は葛飾区の小菅で作られたもの)

最初に建てられたのは大正5年、世田谷区の土地にあったのが平成になってこの深谷の地に建物ごと引っ越して(里帰り)したそうである。

↓ 誠之堂。

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外壁も内部もひとつひとつ見事に煉瓦が積まれている。

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↑ この煉瓦の積み方はイギリス式。

積み方の違いについては富岡製糸場で見学しているので、見た瞬間にわかる。

ドアの金具も当時のまま。

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東京の古河庭園、岩崎邸のように広くはないが、と木と煉瓦の重みをずっしりと伝えてくれる。

ちなみに深谷製の煉瓦は東京駅舎や日本銀行旧館にも使われている。

↓ 清風堂の内部。

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内部外部のひとつひとつの歴史や造作について、ボランテイアのおじさんがユーモアを交えながら丁寧に説明してくれてわかりやすく楽しい。

↓ ステンドグラスはなぜか韓国や中国のイメージ。

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記念館を辞する頃はちょうど4時頃で、山並みの向こうに冬の陽が沈むとき。


冷たい一日だったが、つながる道の面白さや土地の人々との会話に体中がぽっぽと温まるような思いであった。

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箱根・大涌谷~彫刻の森~キリン「富士山麓」蒸溜場

2012-12-02 21:30:27 | 日帰りドライブ
日帰りで」箱根に行ってきました。
道が空いていて東名高速でなんと1時間半で着いてしまう。
毎年一月に行われる箱根駅伝の選手が駆け抜ける函嶺洞門を過ぎるあたり紅葉がきれい。

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今年は10月の末からずいぶんたくさんの紅葉黄葉を見てきました。
もう12月、そろそろ関東の山も冬支度です。

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駅伝コースから少し離れて強羅から大涌谷へ。
大涌谷の地表から吹き出す源泉の煙で茹でた黒卵が美味しかった。
ゆで卵の重さを全部蒸発させたような味の軽さ。

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ふだんならゆで卵をふたつは立て続けに食べられないのに、これはするすると入ってしまいます~。

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家を出るときは富士山が土手からきれいに見えたのですが、残念なことに箱根に着く頃は雲がかかって裾野がわずかに眺められるだけ。
↓ 右から伸びている枝と下の山の間に富士が見えるはず・・

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大涌谷から箱根彫刻の森美術館へ。

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ここは美術館とは言っても、屋内でひっそり保護される美術品の展示とは異なり、山をすべて庭園にして様々な彫刻を外に野ざらしに自然の中に展示してある。

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20年ほど前、子供たちが小さかった頃、ここに連れてきて遊んだ記憶があり、とても懐かしい場所。
↓ わたしの好きな作品、「山野を歩くヴァン・ゴッホ」

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ここの呼び物のひとつ、ピカソの常設展も素晴らしい。

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「幸せのシンフォニー」の塔は螺旋階段とステンドグラスのみでできているすてきな空間。

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彫刻の森から芦ノ湖に降り昼色をすませてから芦ノ湖スカイラインに乗り三国峠~御殿場へ抜ける。
芦ノ湖と駿河湾の眺めが素晴らしい。
↓ 道路の南側は沼津、駿河湾を挟んで奥に見える半島が伊豆半島。
道は違うが2年前、旧東海道を歩いて箱根から三島~沼津に抜けた行程を思い出す。

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御殿場から山中湖へ向かう途中、キリンのウイスキー「富士山麓」の蒸溜場に寄る。
サントリーの白州ほどの敷地の広大さはないが、山の水と森に囲まれて静かに熟成
するウイスキーの製造過程を見るのは楽しい。

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↓ 試飲。一口目がふわと甘い芳香。こういうところに来るとどうしてお酒が美味しく感じるのかしら^^?

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試飲を済ませて外に出ると垂れ込めた雲の間から細かい細かい雪が降ってきた。
山中湖、河口湖に寄る予定を繰り上げて中央高速で帰途につく。
帰路途中、大月~勝沼間が災害事故とのアナウンス。
帰宅したら笹子トンネルの天井落下のニュース見てびっくり。