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回遊魚の旅日記

時の流れる音をききながら歩いたり歌ったり
少しづつ昔の暮らしをとりもどしつつ。

大和路③影と談い上ツ道を歩き斑鳩へ~談山神社~聖林寺~安倍文殊院~法隆寺

2014-11-30 14:18:16 | 一泊以上の旅行記

奈良はみどころ点在。ゆっくりひとつづつ見て歩くのがいい旅の薦め、とペンションのおばさんに言われ、数年前サイクリングで廻った飛鳥と山の辺の道はあきらめて、この季節一押しの談山神社に向かう。

実は、山の辺の道と法隆寺、どちらをとるかで悩みに悩んだ末、ちょっと強行スケジュールですがやはりあの五重塔がわたしを呼んだのでした。

 

11月27日(木)晴れ 談山神社~聖林寺~安倍文殊院~法隆寺・中宮寺~奈良

 桜井駅8:12発コミュニティバス――談山神社―多武峰(とおのみね)バス―聖林寺―徒歩―安倍文殊院―桜井―大和八木―筒井駅バス―法隆寺・中宮寺拝観ー法隆寺前15:52分発バス―近鉄奈良駅17:00頃着―ホテルサンルート奈良―酒肆春鹿(しゅしはるしか)で夕食

朝、少し寒いが見事に青空!

朝の桜井駅をバスで発車。自転車を持った元気なおじさんに会ってちょっとお喋り。

多武峰から自転車で降りてくるのだ!と最初は息巻いていらしたが、バスが談山神社への急勾配に入ると気持ちが萎えて来たのか「こりゃ大変だ、やっぱりやめるかな~↷」なんておっしゃる(^^)

それほど山道を上った先に談山神社はある。

ここの紅葉の見事さはため息が出るほど。

十三重の塔

この裏からこのような謂れのある山の小さな頂に上ります・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・と、なんの変哲もない空き地。ま、こういうものです。

戻って本堂を拝観、ここの廻廊に下がる灯籠とモミジの赤との対比には息をのむ思い。

本堂内には大化の改新のいきさつを描いた縁起絵巻など興味惹かれる歴史資料が展示されています。

一時間ほど見て回り、帰りは歩い多武峰のバス停から聖林寺へ。

今はあまり使われない東大門への下り道は日陰で紅葉に慣れた目に深い緑が優しく感じます。

この橋を越えるとバス亭。

 

聖林寺まではバスで10分ほど。

田圃や畑の風景の中にあります。聖林寺門前から三輪山と桜井市を見渡す。

特別公開で曼荼羅も開帳していましたが、なんといってもここの十一面観音の慈悲溢れる柔らかな立ち姿にしばらく惹きつけられてしまいました。

さて、ここから歩いて安倍文殊院へ約4キロ。いわゆる上ツ道を歩きます。

が、なるべく車道を避けて川沿いの道を歩いていたら目印も案内板もなく道行く人もなく、なんとなく不安になってくる~。

方向は合っているようだが自信がない。

ゴミを出しているおばさんを見つけたので走り寄って道を聞くと丁寧に教えて下さる。

ほっとしながら歩いていくと、やがて大きな道路にぶつかり右折し、また右折(けっきょく同じところをグルグル廻っていたような気がする~@!)

安倍文殊院は明るく広々とした敷地と古墳を持ち、卯年の守護神「文殊菩薩」をご本尊とするお寺。

もしかしてあるんじゃないかしら?と思ったらやはりありましたね~。

本堂では拝観料にお抹茶代が含まれていておいしい落雁とお茶をいただけます。

舞台からの眺めもなかなか。

文殊院を出ると陽が照ってきて暑いくらいとなりました。桜井までもう少し!

影を友にして、てくてくてくてく・・。

ようやく桜井。

ペンションにあずかってもらっていたリュックを背負って今度は法隆寺に向かいます。

(駅近くのペンションにしてよかった☆)

大和八木から筒井へ出てそこからバスで10分ほどの法隆寺バス亭へ。

もう1時なのでお腹ぺこぺこだが、乗り継ぎの時間や次の予定を考えるとゆっくり食べている暇はないので

駅で柿の葉寿司を買ってホームのベンチでペットボトルのお茶を片手に流し込む。

畑や田圃が続く沿線はのどかである。

帰りのバスの時間も確かめて(携帯に写メしたはずなのに、あとで見たら写っていなかった++)

さあ、法隆寺。

何度も来ているのに、松の馬場から五重塔が見えてくるだけで涙がでてしまいます。

なんだかここにはそういう気がある。

素晴らしい秋の青空はこのときのために用意されたかのように、薄く掃いたような筋雲をたなびかせ、九輪の上に広がっている。

 

廻廊は正しく四方に曲がり広がり、エンタシスの柱はその明確な直線にわずかな緩みを感じさせている。

 

夢殿も百済観音もうっとりするような響きがあるが、この五重塔の奢らない、しかし揺るがない自信を持つ様式美はひとつの音楽である。

四方から飽かず眺めつつ、東の院に出て中宮寺へ。

黒光りする半跏思惟像(中宮寺の弥勒菩薩)の微笑に微笑み返してこの地を後にする。

写メに失敗したもののしっかり記憶した15:52分のバスに間に合うよう走る。

乗りこんで数分で車窓から法起寺の三重塔が見える。

 

まわりは何の変哲もない畑。

夕陽が朱色に空を染める様も見える。

 

「大和は国のまほろば・・」である。

日がすっかり暮れて近鉄奈良駅に到着。猿沢の池のそばのホテルでしばし休憩し、夜の奈良の町へ繰り出す。

友人に教えてもらった「酒肆春鹿(しゅしはるしか)」でビールと日本酒で夕食。

元は置き屋さんで今は若い板前さんが包丁を握っている。

一日を振り返りながら「はるしか」を呑んでいると少し年配のご夫婦が入ってらした。

旅がお好きでおふたりであちこち廻られているらしい。

呑みかわしながら時間を忘れて話をする。

ひとり旅の醍醐味ここに極まれり。

 


大和路②「道との遭遇」~長谷寺~今井町~大和八木~桜井

2014-11-30 12:38:35 | 一泊以上の旅行記

今のシーズン、旅行といえば紅葉狩りを目指すのが一般的ですが、もう奈良あたりでは見頃は終わっていると思い、

期待しないで行ったのに見事に嬉しい裏切り、最後の赤い葉の輝きをあちこちで楽しむことができました。

 

11月26日(水)小雨のち曇り 長谷寺・今井町・大和八木

室生寺バス停9:50発――室生口大野10:04着10:12発――長谷寺は土日以外急行は止まらないので榛原で各駅停車を待つ

―長谷寺10:40着―長谷寺拝観―長谷寺駅13:12発―大和八木駅13:30着―今井町散策―大和八木散策―桜井―17時頃ペンション・サンチェリー着

真言宗豊山派の総本山「長谷寺」はさすがに人出が多い。近鉄長谷寺駅近辺は鄙びて、というか寂れてあまり人影もない。

たぶんほとんどの参拝客は車か観光バスか・・。

両脇に漬物屋や三輪のにゅうめんを食べさせる店が並ぶ参道を抜けると、どーんと威圧的でさえある山門。

 

ここから長い登楼を歩いて本堂まで上る。

10メートルもある威圧的でさえある大きなご本尊。実はこの大きな威圧的なのはあまり好きでないのだが、

この本堂前の舞台から見る紅葉は素晴らしかった。

紅葉は日本各地時季さえ来ればどこでも見られるわけだが、右に五重塔を望み、左に登楼を見下ろすその風景を包み込ん

なんと見事に紅葉が鮮やかなことか。

 

外に出ると地蔵菩薩様、なんだかほっとする。

人でいっぱいの登楼を避けてぐるりと裏道から参道に降りる。

ちょうど12時になったので山門近くのお店でにしん蕎麦を食べる。お蕎麦が透き通っていてつるつるしている。

名物のにゅうめんセットをたのめばよかったかな?とちょっと後悔(^^)

食べ終わりさらに参道を歩くとすぐ左に法起院。

ここはハガキの木で有名なお寺らしい。廟所の隅にはこんな木があり、葉の裏にはびっしりと便りや願いが書きつけられている。

こんなおじさん、たくさん知ってるなあ(^^)

長谷は初瀬からの転訛。

思い浮かぶ百人一首の歌

「うかりける 人をはつせのやまおろしよ はげしかれとはいのらぬものを」

 

 

さて、長谷寺駅から西の大和八木に向かい下車して今井町まで歩く。

江戸時代に作られたこの街並みを残そうと保存会が修復再建して見事に昔の面影を復活させている。

今も修復されず古いまま残る家。

 

一回りして今度は起点の大和八木の町へ戻り歩き出す。するとパンフレットにそちらにも古い街並み保存、と案内があるのでついつい探策の虫が動き出す。

駅から西に少し行くとまさしくわたしを突き動かす昔の街道の幅!地霊が心を揺り動かします。

さらにずっと歩いてゆくと角にこんな屋根に亀と龍が混じったような鬼瓦のある建物が!うーん、どうやら昔の旅籠らしい。

興味深々で眺めていると中から町会の案内係さんとおぼしきおばさまが出ていらして、まあ30分くらい説明をしてくださった。

なんとこの四つ辻は伊勢街道(横大路)と藤原京から平城京を結ぶ下ツ道との交差点、札の辻であるということ。

そして話を聞いているうちにこの伊勢街道は大坂側からくる古代の官道、竹内街道とつながるのであった。

竹内街道は10年ほど前に仲間と途中まで歩いているが、ここでその繋がりと出会うとは!まさに「道との遭遇」である。

もう夕刻、学校帰りの高校生がこの古くて歴史に埋もれた道を今日も歩いている。

ここから本日の宿、桜井のペンションまでは再び近鉄で戻る。

ペンションも気立てのよいおばさんが切り盛りしていて、彼女が作っている自然酵母の入ったコ―ス料理を堪能する。

ことに、かぼちゃのスープとデザートの大和の柿が地味&滋味あふれるお味で心を落ち着かせてくれました。

 


大和路①「きっかけは一枚の写真から」~室生寺

2014-11-30 09:43:10 | 一泊以上の旅行記

両親が50代の頃だったのか、奈良、室生寺に旅行したときに撮った写真がある。

母は和服で石組みの上に座り、その隣で父が厚手のジャケットを着てトレードマークのソフトをかぶって立っている写真。

今はすでに他界した両親もそれがお気に入りであったらしい。

で、夏すぎてからいろいろ旅の候補を探していたが、ふとその写真が頭に浮かび「そうだ!奈良へ行こう!」と思い立ったのであった。

リュック背負ってひとり旅です。

11月25日(火)小雨 室生寺

東京駅9:47発――――名古屋11:28着・近鉄名古屋11:50発――伊勢中川12:49着・12:56発―――名張13:25着・13:27発―――室生口大野13:36着・14:00バス発―――室生寺14:15着・室生寺見学―――民宿「むろう」

室生寺は、京都から奈良から、また名古屋からも中途半端な場所にあり交通手段が難しい。それがこの寺を昔ながらの静寂の中に置いているのかもしれないが。

とりあえず、名古屋からの経路を取る。

モンダイは果たして新幹線ホームから近鉄名古屋駅にスムーズに乗り換えられるかである。これはこの旅に最大の難関である、と心に言い聞かせる。

以前に東海道を歩いた時にも、ここでわかりにくく右往左往し、同行の夫と喧嘩した覚えのあるトラブルポイントなのである。

ましてや今回は乗り継ぎが20分しかない。

事前にいろいろ調査して改札出て右右!!と頭に叩き込む。

さて時は今、新幹線の改札を出る!出た!すぐさま近鉄→と書かれた案内板を右に曲がる。

するとずずーっと各方面行きに上る通路を歩くこととなる。

よしよし、と安心して早足で歩いていると、あら~?案内板がなくなっている。

ここでちょっとパニクる。

で、通路が切れたところの右を見たら改札口がある。ここは近鉄の入り口ではなさそうだけれど、とりあえず若い係員さんに聞いてみる。

すると「その通路を降りてください、ただ新幹線のここまでの切符と近鉄の乗車券が必要になりますよ~」と関西の訛で応えてくれる。

「あ~、やっぱり関西弁は柔らかくていいわあ」なんて思いながらここでハッ!し、しまった!

「新幹線の切符、改札口で出しちゃったんですけど・・++!」

「あ、それでは取りに行ってください。」

「え~!ちょっと時間がないんですけど・・」

すると係員さん慌てず騒がず、やんわりと

「じゃあ、問い合わせてデータ確認してみますからちょっとお待ちください」

と新幹線改札に問い合わせてくれる。

「大丈夫ですよ~、確認取れましたから近鉄の改札でその旨、伝えて通ってください」

きっと新幹線側でも、取り忘れたアホな客がおる~。と思ってるだろうなあ、と思いつつも

「わ~よかった、ありがとうございました」とお礼を言って近鉄に急ごうとする、

が、が、はじめにその通路を降りてください、と言ったはずの通路が見当たりません。

また引き返して「つ、通路ってどこでしょう?」と聞く、

係り員のお兄さん、ちょっとプッツンしたみたいですが、やさしい関西弁は怒ってるというイメージは少ないのでありがたい・・汗汗

「そこの階段を下りるんです」と指さしてくれました。

なあんだ~、すぐそこにあったのか、もっとわかりやすく書いといてくれないかなあ、とぶつぶつツブヤキながら階段を下るとありました在りました!!

近鉄のだだっぴろい地下ターミナル。

ようやく特急指定席に乗り込んで東京駅で買った「新幹線50周年駅弁」を広げお昼。

車窓の外は相変わらず小雨だが、駅弁を食べるとなぜか旅した気分になるのは不思議である。

通過した「津」のホーム。「?」に見えて可笑しい(^^)

2回乗り継いで室生口大野に到着。

ひっそりした駅と駅前広場が小雨にけぶっています。ここから室生寺までバスで約15分。

バスを降りるときに、おつりの小銭がなくなったとかで乗客は困惑~。でも帰りに乗った時に払ってくれればいいですと

のんびり運転手さんが言われる~。

バス亭から参道をちょっと歩いて、モミジと同じようにまっ赤な太鼓橋を渡り拝観口へ。

 

 

 

偶然に特別公開していた十二神将を拝観。

 

堂内はもちろん撮影禁止。寺入口の案内板にあった写真。十二神将はここに限らず、それぞれのフォルムやポーズが独特で面白い。

 

 

金堂を過ぎると小さい五重塔が見えてきます。

平日の雨の日なのにけっこう観光バスツァーの団体さんがいる。

 

そのあと奥ノ院へ。

ここへ行くには山の中の長い長い急峻な石段をエッチラオッチラ登らなければなりません。

幅の狭い石段はモミジと水たまりですべるすべる~~。途中で引き返す参拝客もかなり多数。

着いた~!

晴れていたらさぞいい眺めだろうと想像しますが、霧雨にけぶる山々も墨絵のようでなかなか風情あり。

奥ノ院から下るとツアーが去ったのか人がいない。もう一度五重塔を仰ぎ見る。

両親の写真はこのあたりで撮られたものか?

さて、お寺を出て参道で美味しいヨモギ餅っを買ってパクつきながら、本日の民宿「むろう」さんへの坂道を登る。

雨もあがって「女人高野」の山里の風景が心和ませてくれる。

 

 

雨漏りのする廊下やサンマの塩焼きにはちょっとびっくりしましたが、宿のおかみさん、おじさんの飾り気ない気さくな応対は心地よく

薪で焚かれたお風呂はじんわりとして水も柔らかく、このお風呂に入るだけでもここに来て良かったと思うほどでした。

独りかと思ったら、若いカップルと同席になり旅の話、出身地の話に花が咲きました。

「寒いじゃろ?」と言って薪ストーブを焚いてくれたおじさん。あたたかさが身に染みました。


まっかな秋

2014-11-07 21:34:39 | 西洋音楽・西洋文化・アート

大好きな「まっかな秋」の歌詞から。まっかなものがたくさん(^^)


つたのはっぱ もみじのはっぱ

からすうり  とんぼのせなか

ひがんばな  とおくのたきび

しずむゆうひにてらされて

ゆうやけぐもをゆびさして

おみやのとりいくぐりぬけ 

まっかなほっぺたのきみとぼく・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

薩摩忠さんの素直に物事を見る目と作曲の小林秀雄さんの旋律が重なって、

景色だけでない、身近な、少なくなったけれど今でもどこかにある日本の穏やかな

暮らしを感じます。