奈良はみどころ点在。ゆっくりひとつづつ見て歩くのがいい旅の薦め、とペンションのおばさんに言われ、数年前サイクリングで廻った飛鳥と山の辺の道はあきらめて、この季節一押しの談山神社に向かう。
実は、山の辺の道と法隆寺、どちらをとるかで悩みに悩んだ末、ちょっと強行スケジュールですがやはりあの五重塔がわたしを呼んだのでした。
11月27日(木)晴れ 談山神社~聖林寺~安倍文殊院~法隆寺・中宮寺~奈良
桜井駅8:12発コミュニティバス――談山神社―多武峰(とおのみね)バス―聖林寺―徒歩―安倍文殊院―桜井―大和八木―筒井駅バス―法隆寺・中宮寺拝観ー法隆寺前15:52分発バス―近鉄奈良駅17:00頃着―ホテルサンルート奈良―酒肆春鹿(しゅしはるしか)で夕食
朝、少し寒いが見事に青空!
朝の桜井駅をバスで発車。自転車を持った元気なおじさんに会ってちょっとお喋り。
多武峰から自転車で降りてくるのだ!と最初は息巻いていらしたが、バスが談山神社への急勾配に入ると気持ちが萎えて来たのか「こりゃ大変だ、やっぱりやめるかな~↷」なんておっしゃる(^^)
それほど山道を上った先に談山神社はある。
ここの紅葉の見事さはため息が出るほど。
十三重の塔
この裏からこのような謂れのある山の小さな頂に上ります・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・と、なんの変哲もない空き地。ま、こういうものです。
戻って本堂を拝観、ここの廻廊に下がる灯籠とモミジの赤との対比には息をのむ思い。
本堂内には大化の改新のいきさつを描いた縁起絵巻など興味惹かれる歴史資料が展示されています。
一時間ほど見て回り、帰りは歩い多武峰のバス停から聖林寺へ。
今はあまり使われない東大門への下り道は日陰で紅葉に慣れた目に深い緑が優しく感じます。
この橋を越えるとバス亭。
聖林寺まではバスで10分ほど。
田圃や畑の風景の中にあります。聖林寺門前から三輪山と桜井市を見渡す。
特別公開で曼荼羅も開帳していましたが、なんといってもここの十一面観音の慈悲溢れる柔らかな立ち姿にしばらく惹きつけられてしまいました。
さて、ここから歩いて安倍文殊院へ約4キロ。いわゆる上ツ道を歩きます。
が、なるべく車道を避けて川沿いの道を歩いていたら目印も案内板もなく道行く人もなく、なんとなく不安になってくる~。
方向は合っているようだが自信がない。
ゴミを出しているおばさんを見つけたので走り寄って道を聞くと丁寧に教えて下さる。
ほっとしながら歩いていくと、やがて大きな道路にぶつかり右折し、また右折(けっきょく同じところをグルグル廻っていたような気がする~@!)
安倍文殊院は明るく広々とした敷地と古墳を持ち、卯年の守護神「文殊菩薩」をご本尊とするお寺。
もしかしてあるんじゃないかしら?と思ったらやはりありましたね~。
↓
本堂では拝観料にお抹茶代が含まれていておいしい落雁とお茶をいただけます。
舞台からの眺めもなかなか。
文殊院を出ると陽が照ってきて暑いくらいとなりました。桜井までもう少し!
影を友にして、てくてくてくてく・・。
ようやく桜井。
ペンションにあずかってもらっていたリュックを背負って今度は法隆寺に向かいます。
(駅近くのペンションにしてよかった☆)
大和八木から筒井へ出てそこからバスで10分ほどの法隆寺バス亭へ。
もう1時なのでお腹ぺこぺこだが、乗り継ぎの時間や次の予定を考えるとゆっくり食べている暇はないので
駅で柿の葉寿司を買ってホームのベンチでペットボトルのお茶を片手に流し込む。
畑や田圃が続く沿線はのどかである。
帰りのバスの時間も確かめて(携帯に写メしたはずなのに、あとで見たら写っていなかった++)
さあ、法隆寺。
何度も来ているのに、松の馬場から五重塔が見えてくるだけで涙がでてしまいます。
なんだかここにはそういう気がある。
素晴らしい秋の青空はこのときのために用意されたかのように、薄く掃いたような筋雲をたなびかせ、九輪の上に広がっている。
廻廊は正しく四方に曲がり広がり、エンタシスの柱はその明確な直線にわずかな緩みを感じさせている。
夢殿も百済観音もうっとりするような響きがあるが、この五重塔の奢らない、しかし揺るがない自信を持つ様式美はひとつの音楽である。
四方から飽かず眺めつつ、東の院に出て中宮寺へ。
黒光りする半跏思惟像(中宮寺の弥勒菩薩)の微笑に微笑み返してこの地を後にする。
写メに失敗したもののしっかり記憶した15:52分のバスに間に合うよう走る。
乗りこんで数分で車窓から法起寺の三重塔が見える。
まわりは何の変哲もない畑。
夕陽が朱色に空を染める様も見える。
「大和は国のまほろば・・」である。
日がすっかり暮れて近鉄奈良駅に到着。猿沢の池のそばのホテルでしばし休憩し、夜の奈良の町へ繰り出す。
友人に教えてもらった「酒肆春鹿(しゅしはるしか)」でビールと日本酒で夕食。
元は置き屋さんで今は若い板前さんが包丁を握っている。
一日を振り返りながら「はるしか」を呑んでいると少し年配のご夫婦が入ってらした。
旅がお好きでおふたりであちこち廻られているらしい。
呑みかわしながら時間を忘れて話をする。
ひとり旅の醍醐味ここに極まれり。