50年近く前仙台に赴任した、会社で用意してくれた社宅は、仙台市の東外れ、市電(今は廃線になった)の終点 陸前原ノ町苦竹(にがたけ)だった、その町から200m歩けば田んぼと畑ばかり、仙台市の東外れ、警察署 東郵便局 造幣局 宮城野球場 陸上自衛隊苦竹駐屯地 なども近くにあった。 仙台市東端の場末の街だが、「とんちゃん屋」(もつ焼きの店をとんちゃん屋と言う)が何軒もあった、豚モツを醤油味か味噌味に付け込み、網かジンギスカン鍋で焼いて食べる、店によっては味をつけず、醤油だれ 味噌だれ両方を出してくれる、癖がなく美味い 酒は自販機にお金を入れれば、冷でもお燗でもコップ一杯出てくる、とんちゃん一人前と酒2~3杯飲んで500円くらいだったろうか。 退社時間になると飲み友達が「とんちゃん屋へあばい(行こうという意味)と誘ってくる」会社貸与の車で通勤していたが、当時飲酒運転の規制はなかった、店も社宅から僅か200~300mの近さ。 原ノ町交差点の南東角から、未開発の広い野原が広がっていた、その広場の一角にポツンとあばら家が1軒あり、夜 真っ暗闇の中に明かりがポツンと灯る、友にその店の「とん足」を食べに行こうと誘われた、友が「アブジ(朝鮮語で親父の意味らしい)に豚足と注文した、出て来たのは七輪に炭火と新聞紙そして塩、出て来た豚足を見てびっくり、豚足丸ごと一本、皮は剥いてあるが蹄はそのまま、蹄の上方には毛も残っている、なんとも野性的というか、原始的と云うか初めての経験。 太ももには肉が一杯 7輪の火にかざせば、脂身 コラーゲンが滴り落ち火がついて煙もうもう、焼き加減を見て塩を振り、50センチ以上の豚足一本を持って肉片にかぶりつく、何の味付けも加工もされてなく、単純に塩味だけこれが「絶品」原始人に戻ったような野性味だ、膝から下は肉は少なくコラーゲンたっぷり、油だらけの手を出された新聞紙で拭く、一見不衛生の様だが、この店から伝染病など出たことがない、翌朝起きると顔が脂ぎってギタギタ、コラーゲンが効いたのかその日の元気が出る。 社宅から近さもあり、結構病みつきになり、この店へ随分通った。 適当に日本酒 朝鮮の焼酎等飲むが、この脂っこさから朝鮮の焼酎が合う、他に煮込みや串焼きなどもあるが、殆どが豚足一本を注文する。 今仙台と云うと「牛タン屋」が有名だが、40~50年前は牛タン屋はあまりなく、とんちゃん屋が席巻していた。
仙台でも豚足一本を丸ごと出す店は、この「アブジ」の店だけだったと思う。
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