昔はとんちゃん焼き、今は牛タン焼き |
50年近く前仙台に赴任した、会社で用意してくれた社宅は、仙台市の東外れ、市電(今は廃線になった)の終点 陸前原ノ町苦竹(にがたけ)だった、その町から200m歩けば田んぼと畑ばかり、仙台市の東外れ、警察署 東郵便局 造幣局 宮城野球場 陸上自衛隊苦竹駐屯地 なども近くにあった。 仙台でも豚足一本を丸ごと出す店は、この「アブジ」の店だけだったと思う。 |
白もつとんちゃん、味噌味 醤油味がある |
網焼きかジンギスカン鍋で焼く |
今店で出す豚足は食べ易い様に5~6センチに切ってあり味付けもしてある、一本丸ごとの豚足を食べたら、これを食べる気はしない |
豚足の蹄部分、味付けして焼いてある、少量の肉とコラーゲンたっぷり、残念ながらトン足一本の当時の写真を持ち合わせない |
食品も進化して変わってしまう |
仙台市から国道6号線を南へ下ると、名取市 岩沼市を経て、亘理町に入る、この亘理町は花や苺の栽培が盛んで、花や苺は段ボールに詰め出荷するが、出荷のための包装機材を、花業者が我が社から購入してくれて、お得意さんも多かった。 花栽培の大手の社長さんと、商売を通して懇意になり、社長宅を訪れ雑談もした。 亘理町は太平洋に面し、土地は平坦 東北だが気候温暖、阿武隈川に囲まれ、のびのびとした土地柄、人情温厚、お人好しとてもいい土地柄だ、そんな事が花 苺栽培に適しているのかもしれない。 秋から冬にかけ卵を抱き脂の乗った鮭が、産卵のため故郷の川を遡上する、住民はこの鮭を釣り上げて、独特の郷土料理を楽しんでいる。 花栽培業者の社長と会談中、「本社の社長も仙台へ来るのか」と質問、年に何回か来ると答える、「11月半ばから12月半ばに本社社長を招待したい、都合を調整してくれ」と言われた、特定業者の招待に社長を巻き込むのもどうかと、思案したが、社長に1泊2日の予定で来仙を要請した。 社長と得意先へ向かうが、招待されては酒はつきもの、社員に運転を任せた、一匹の鮭でこんなにも料理のレパートリーがあるのかと驚き、最後に出たご飯がこれがイッピン「はらこ飯」だった、鮭の旨味を凝縮した今迄味わった事がないご飯。 鮭の切り身を甘辛醤油で煮込み、煮込んだ鮭をほぐし、煮汁は炊き込みご飯の味付けにする、キノコを少量炊き込む家もある、炊き上がったご飯を桶に移し、イクラが煮えない程の温度になった時に、素早く鮭とイクラを混ぜ合わせて、はらこ飯の完成、素晴らしい伝統の家庭料理だ。 40年以上も前の話、当時は家庭料理だったが、最近は亘理町 仙台市に「はらこ飯」店ができた様だ、お客に提供するため体裁よく形を変えたのか、味付けご飯に、鮭とイクラを載せた物、偽物とは言わぬが、家庭料理とは体裁が違ってきている |
亘理町は阿武隈川の河口に面し、鳥の海には温泉もあり、平坦地で花やイチゴ栽培が盛んな土地柄 |
苺ハウスも各所に広がる |
鮭の煮汁をご飯に炊き込み、イクラが煮えない程度にご飯が冷えたら、鮭いくらを混ぜ合わせる、上に炒り胡麻か刻み海苔を少々振りかけ、亘理の伝統的な「はらこ飯」が完成 |
郷土料理も近年、仙台あたりで「はらこ飯」店が増えたようだ、客に出す為体裁を考えたのか、素朴な郷土料理とは違った形態になってきたようだ、40数年も経てば時代の流れで仕方ないか、盛り付けたご飯の上に鮭とイクラを体裁よく載せてある、偽物と言わぬが郷土料理とは違う、これを混ぜたらイクラが潰れ、ぐじゃぐじゃ飯になってしまう、其の儘食べたら郷土料理と味が違うんだなー |
椎茸にスパゲッテイだか麺を乗せたはらこ飯、偽物以外何物でもない |
白いご飯に鮭とイクラを載せた偽物、これを鮭イクラご飯と言う |
本物はらこ飯に添えるお吸い物、新鮮な真鱈の白子、好みによって2杯酢でも3杯酢でも良い、もみじ卸を添えた刺身はイッピン、白子の天婦羅も美味い、我が家の近くで新鮮なのを買えるのは、角上魚類しかない |
白子汁、白子から良い出汁が出るので、出汁はいらない、単純に葱を添えれば素晴らしいお吸い物ができる、邪魔にならない豆腐なども添えていいかもしれないが、白子と葱のシンプルが一番いい |
三陸沿岸の人以外は馴染みが少ない海産物と思う |
昭和43年に事業拡張のため、仙台へ転勤した。 こんなグロテスクな、海鞘だの海鼠を最初に食った原子人は相当勇気があったと思う。 |
茶褐色の比較的かたい殻に覆わ れ、いぼいぼが有り、頭の部分には2つの突起がある、下の方には髭だか根だか分からぬ足がある、これが岩に取り付き群れを成して生息しているようだ、自分では実際の生態を見ていないので確たることは言えぬ。 形容、味をもって地元の人は、「海のパイナップル」と言っている、パイナップルには似つかわしくない、グロテスクな生物だ。 |
違う角度から見ると上に突起が2つある、明らかに+模様を描いている、これが給水口で反対側に有るのが マイナス(-)を描いているこの突起が排水口だ 通人はこの排水口の切り口から、体液を生で飲む、これがイッピンと言うが、小生海鞘が好きでもそれはできない。 |
かたい殻を二つ割にしてもいいし、半分切って中身を出すもいい、綺麗なピンク色した肉に包まれ内臓がある、この内臓をきれいに洗い流し、適宜な幅に切ったものが海鞘の刺身だ。 |
きれいなピンク色の切り身を二杯酢に浸し、どうゆう理由か知らぬが、海鞘料理には必ず胡瓜が付く、その理由小生知らず。 |
同じように胡瓜が付く、三陸若芽が付いたり、紅葉おろしがあしらわれたり、店によって添え物も違ってくる |
海鞘も炒めてスパゲッテイの具になったり |
炊き込みご飯になったり、用途も広がってきたようだが、海鞘は刺身が一番 |
鰻 穴子 鱧 八目鰻 みんな鰻の仲間? |
以前自分では、穴子と鱧(はも)は同じ魚で、地方によって呼び名が違うのかと思っていた、だが同じ鰻目だが違う魚だった、鰻 穴子 八ツ目鰻 と同族がいるが一番獰猛か、大きな口に鋭い歯が内向きに生え、一度噛みつくと中々離さない。 鱧釣りに行く前に友から注意を受けていた、サンダル 裸足は危険長靴を履いて来いと、納得できた、大きな口鋭い内向きな歯、噛まれたら大きな怪我をする。 |
鱧の鋭い内向きの歯、小骨が多く骨切りして湯引きした鱧に梅の叩いたのか 酢味噌で食べたら堪らない、酒がすすむ |
上のグロテスクな頭からは想像できない珍味、骨切りし、湯引きした鱧 |
鰻はご存知の通り、鋭い歯もなく、蒲焼にしたら最高、鰻の血には毒があり、調理中誤って血が目に入ると、半日くらい視力減退と痛みを感じる、あとは平常に戻る、ふぐ毒ほど強烈ではないが、60度で5分も熱すれば毒気は消える。 ある文書で、毒のある鰻の刺身は何処にもないと書いていた、少し勉強不足ではないか、浜名湖周辺は鰻屋が多い、「鰻の刺身あります」の看板が目に付く、自分でも食べたが、脂がのって、肉は歯ごたえがあり、静岡産 わさびが添えられていた気がする、蒲焼と違ったうまみがある、随分昔の話 |
鰻重もこうなるとちょっと寂しい |
穴子 癖がなく煮穴子か天ぷらがうまい |
八ッ目鰻、他の鰻科と違って口は吸盤状、目の下に7つの斑点があり、目と斑点7つで八ッ目と言うのか、食べると目に効果があると聞いていた、蒲焼で食べさせてくれるが、鰻より皮が厚めで、肉は弾力があり歯ごたえがある。 八ッ目鰻の老舗が巣鴨地蔵通りに在る、戦前小生子供の頃友達と巣鴨地蔵通りによく遊びに行った、その頃から八ッ目鰻の「にしむら」が有った、100年以上の老舗だ、都内には八ッ目鰻専門店はあまりないと聞く。 店の前にガラスの水槽に八ッ目鰻を飼っていた、ガラスに八ッ目鰻の吸盤がたくさん吸い付いているのは、子供心にちょっと不気味だった |