ウグイスぎんえい仲間で横浜市中区本牧の八聖殿への吟行シリーズも今回で最終回の5回目になりました。今回は八聖殿窓外の桜を見ながら吟じた私指方龍順の吟詠「散る日 金井直」をどうぞ。
桜の花が散る 惜しげもなく 己を捨てる すばらしさ うれい顔が それを眺める いま見たときから 散りはじめたような はなやかさ 見ている あいだに 散り果ててしまいそうな 風情 こんなに 豊かな心が どこにあろう だれにも 見られないうちから 散っているのだ そしてまた 落花に酔った者たちが 去ったのちも 最果に 向かって 散りつづけて いるのだ 散りつづけて いるのだ
八聖殿を後にして隣接している三渓園の散策をしました。横浜の住民になって長いので三渓園は何度も足を運んだ所でした。しかし三渓園に関する知識は殆ど無く、生糸貿易で財を成した原三渓の日本庭園、位なものでした。
今回の吟行は一味違いました。同行した廣岡幸吟さんは読書家で横浜歴史に詳しく、原三渓物語の抜粋と言って漢詩「大震災(仮題)」を見せてくれました。
大震災(仮題) 山傾地裂火雲流 狼藉伏屍積若丘 ・今回中略・・ 塊我非才任興復 宵宵前濁座更欄
氏は慶応生まれですから優に還暦を過ぎています。関東大震災後の横浜復興に尽力した氏の生き様にこの詩をきっかけに尊敬し、出展が「横浜王(永井沙耶子著)」と聞き、読み始めました。次回機会あればこの「大震災(仮題)原三渓」を吟じてみたいと思いました。
八聖殿吟行5回シリーズはこれで終わりです。次回は又新しく。