福祉吟詠の「夜墨水を下る」(服部南郭)を5回連載として、7月20日に第1回目を公開し、4回目を8月20日に公開しました。
今回、第5回目を最終回として、実際の合吟の様子を公開したいと思います。
私たちは平成28年秋季吟道大会で「夜墨水を下る(服部南郭)」合吟を計画しました。
平成28年10月22日に神奈川県横浜市青葉区の青葉公会堂で、
公益社団法人日本吟道学院公認 修神会(会長井上邦神)秋季吟道大会が開催されました。
「夜墨水を渡る(服部南郭作)」 吟者大陽日酸教場 矢崎隆洲、平原正州、小林さちこ、
日酸TANAKA教場 柳田泰吟、指方順龍です。
練習順序は、①素読、②作者の気持ち・詩の心、③吟詠の繰り返しで取り組みました。
夜墨水を下る 服部南郭
金龍山畔 江月浮ぶ 江揺ぎ 月涌いて 金龍流る
扁舟住まらず 天水の如し 両岸の秋風 二州を下る
読み
きんりゅう さんぱん こうげつうかぶ こうゆらぎ つきわいて きんりゅうながる
へんしゅう とどまらず てんみずのごとし りょうがんのしゅうふう にしゅうをくだる
詩のこころ
美しい墨田川の夜景です。作者は小舟に揺られて、波にくだける月影を追いながら、
流れを下る爽快さを味わっています。
金龍山:::隅田川のほとりにある小高い山で、聖天様が祭ってあります。
扁舟:::小さな舟
住まらず:::水の流れに従って、とどまることがなく
天水の如し:::大空もまた水のようで空とも水とも解らない
二州:::武州と総州、江戸時代墨田川は武蔵国と下総国の境界でした
以上の気持ちを持って5名で合吟に取り組みました。
では合吟の吟声・映像をご覧下さい。
私たち5名 矢崎隆洲、平原正州、柳田泰吟、小林さちこ、指方順龍の意見、反省そして思い入れは、
柳田泰吟さんに代表で書いてもらいました。
『私達は、会社OBと中途障害者(片麻痺)と現役の詩吟仲間です。それぞれ詩吟キャリアはまちまちですが、
例えば片麻痺グループ(福祉吟詠)の練習は、①発声練習《お口の準備運動/「あめんぼ赤いな・・・」北原白秋)》
➁吟道精神唱和他に時間を多く使います。
その後、詩吟練習へと順次行う方法で鋭意練習継続中です。合吟は独吟に比べワクワク感が強く有ります。
合吟特有の楽しさがあることを再認識しました。
今後合吟の機会に備えて、皆んなで総括をし、創意工夫して「進化した合吟…」に挑戦できる様に、
楽しみながら練習に精進します。【合吟やワクワク感に柿たわわ】
とにもかくにも、この度の合吟は如何でしたでしょうか?』(この『』内は柳田泰吟 記)
私たち(このブログ作者、指方順龍ほか仲間全員)はこれからも詩吟の世界を探究していくつもりです。
皆様からの批評をお待ちしております。
私が思っている福祉吟詠とは
自分のできる範囲で、
原作をできるだけ理解して
作者の気持ちにできるだけ溶け込み
自分が感じたままの朗詠(朗読・吟詠)を通して
聴く人にその感動を与えることで
周りを豊かに・幸せにしようとするものです。
だから福祉吟詠では、上手下手を問いません。
詩文、朗読そして吟詠に感情をこめた深みを、大事にしたいと思います。
福祉吟詠の「夜墨水を下る」(服部南郭)(5回連載)はこれで終わりです。
長い間お付き合い頂きましてありがとうございました。
新しいシリーズも並行しています。色々お楽しみ下さい。
ではまたお会いしましょう。