スマート詩吟は面白い

スマート詩吟及び福祉詩吟は私の造語です。それらの普及を図っていきたいと思います。

福祉吟詠の「夜墨水を下る」(服部南郭)(5回連載の1回目)

2016-07-30 09:00:00 | 絶句

 

私たちは平成28年秋季吟道大会で「夜墨水を下る(服部南郭)」合吟を計画しています。

そこで、このブログで、その漢詩を、私の考えている福祉吟詠(私の造語)に沿って、

5回連載で紹介したいと思います。では第1回目です。

私が思っている福祉吟詠とは

自分のできる範囲で、

原作をできるだけ理解して

作者の気持ちにできるだけ溶け込み

自分が感じたままの朗詠(朗読・吟詠)を通して

聴く人にその感動を与えることで

周りを豊かに・幸せにしようとするものです。

だから福祉吟詠では、上手下手を問いません。

詩文、朗読そして吟詠に感情をこめた深みを、大事にしたいと思います。

練習順序は、①素読、②作者の気持ち・詩の心、③吟詠の繰り返しです。

では素読から始めます。

 

       夜墨水を下る    服部南郭

金龍山畔 江月浮ぶ    江揺ぎ 月涌いて 金龍流る

扁舟住まらず 天水の如し  両岸の秋風 二州を下る

読み

きんりゅう さんぱん こうげつうかぶ  こうゆらぎ つきわいて きんりゅうながる

へんしゅう とどまらず てんみずのごとし りょうがんのしゅうふう にしゅうをくだる

素読の動画をご覧下さい。

https://youtu.be/bhj99k_VIIg

 

第1回目の素読を終わります。

第2回は「詩のこころ」を記載します。一週間お待ち下さい。

 

 

 

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スマート詩吟は面白い「1.詩吟との出会い(1)居酒屋道場」5回連載の内その5最終回

2016-07-23 09:00:00 | エッセー「スマート詩吟は面白い」

 著書「スマート詩吟は面白い=趣味の詩吟が脳内出血を癒してくれた=」の最初のサワリ5回連載の最終回第5回目です。

年が明け、予定通りかどうかわからないが、昇格試験は2倍程度の競争率だったが合格した。3~4年後、私が部長と呼ばれる頃、会社の部下2名が参加し、居酒屋道場は5名で吟じていた。食堂に集合してパートさんも積極的に詩吟に参加し、その後、お酒がついているとなると足を運ばない理由は特になかった。漢詩重点の詩吟練習は、吟道範典第一巻の最初に載っている

「川中島」と「九月十日」の七言絶句を繰り返し練習した。

パートさんは当初から和歌をマスターしたいという気持ちだったので

菅原道真「こちふかば・・・」と

紀友則「ひさかたの・・・」

の二つを繰り返し練習していた。

 

アクセントについては、私は長崎の田舎の出身だったので、方言特有の強弱・調子が染みついており、どうにもこれだけは修正のやりようが無かった。簡単な文章「ニワニワニワニワトリガイル」はアクセントの取り方でいくつかの異なる文意になる。どうですか。皆さん試してみて下さい。最終的にはその個人ならではの味わいを出せば良い訳で、その方言が持つ独特な言い方は問題にならなかった。音符とか詩吟の理論的声調教育は特に無く、全てが口伝での練習なので師匠のモノマネを続けた。

 

5回連載はこれで終わりです。ご愛読ありがとうございました。

 

 

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スマート詩吟は面白い「1.詩吟との出会い(1)居酒屋道場」5回連載の内その4

2016-07-16 09:00:00 | エッセー「スマート詩吟は面白い」

著書「スマート詩吟は面白い=趣味の詩吟が脳内出血を癒してくれた=」の最初のサワリ5回連載の第4回目です。

食堂・居酒屋には週一回通ったが、私が、詩吟練習に参加するまでには2~3ヶ月を要した。つまりパートさんは積極的だったので、暫く部長とパートさんが二人で練習しているのを、見て・聴いていることにした。部長は私が居て聴いているだけで良いと黙って見逃してくれていた。しかし詩吟は聴くことも非常に大切だから決して無駄な時間ではなかった。そして、いよいよ、私も参加することになった。練習手順は、俗にいう

「あいうえお発声訓練」(アエイウエオアオ、カケキクケコカコ・・・と続く)や

北原白秋の詩「五十音」(アメンボ赤いなアイウエオ、柿の木栗の木カキクケコ・・・と続く)

を4~5回、明るく、歯切れ良く、リズム良く発することから始まった。その後、詩吟の心構えとして、正に私の好きな精神訓話と似た「吟道精神」を読んだ。当初は何回読んでも、さっぱり解らなかった。また随分後になって解ることになるが、「吟道とは何ぞや」というと、「気を養う道」であるらしい。それが「吟道精神」に宣言されている。その後、詩吟の第一歩である「川中島」をこれから師匠と呼ぶことになる部長が吟じた。弟子は私とパートさんの二人である。早く終わってお酒を飲みたいと思った。やはり居酒屋道場がきっかけで、パートさんも一緒だから楽しいわけで、詩吟をしないならば、この雰囲気はないのだから、少々は我慢して詩吟も聴いて吟じる練習をせねばと思うのは、私の性分である。それでも開始数か月間は苦痛の方が大きかった。それまで詩吟とは全く無縁だったし、「吟道精神」もお経みたいで意味を全く理解できないし、いくら「川中島」が詩吟の定番として有名とはいえ、いざ吟じるとリズムは取れないのだから当然である。サラリーマンの趣味とは所詮付き合い、または職場の潤滑油の様なもので、これも今まで参加していた登山や魚釣り、マイコンサークルと一緒ではないかと思う反面、私の周りには誰も詩吟をしている人はいないので、とても潤滑油になれるものではなかった。ところが、この生涯の趣味がこの様なちょっとしたきっかけから始まってしまった訳である。

第5回目、最終回は来週に続きます。1週間お待ち下さい。

 

 

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スマート詩吟は面白い「1.詩吟との出会い(1)居酒屋道場」5回連載の内その3

2016-07-09 09:00:00 | エッセー「スマート詩吟は面白い」

著書「スマート詩吟は面白い=趣味の詩吟が脳内出血を癒してくれた=」の最初のサワリ5回連載の第3回目です。

お酒が十分満たされた頃、ついに主題が本日核心テーマになった。私が書いた昇格論文試験の批評でも結果でもない。

「指方君、実は私は詩吟を30年間やってきたが、つい最近、師範免状をもらったのだ。そこでだ、師範になったから、君を弟子第1号にしたいと思っている。」

私はあっけにとられた。何故私にそんなことの白羽の矢が立つのか。更に部長は続けた。

「君は何にでも前向きで挑戦しているではないか。実は君がお酒好きなことも知っている。君は何にでも嫌がらないで色々な付き合いに顔を出していることも知っている。この居酒屋が詩吟道場というと君はきっと断らないと考えた訳だ。ただ、それだけのことなのだが。実は練習場にしたい会社食堂の配膳を手伝ってくれているパートさんも一緒に詩吟をすることになっているのだ。」と部長は話を結んだ。会社には昼食時だけ外食配送され各人適当に利用する食堂があり、その後は自由な場所でありいつも空いていた。また、パートさんは昼食時の配膳のみを手伝う為に近くから通ってくれる50歳代の女性で、話す機会はなかったが面識だけはあった。

「毎週1回会社の食堂に集合だ。そこでしばらく練習して、その後この居酒屋で飲んで帰ることにしよう。」

何だかすべて謀られてしまっている様で、私が詩吟を始めることはもう決まってしまっていた。詩吟と論語は直接関係ないが、と断って、部長は自分の好きな論語の一節を披露した。

「学びて時にこれを習う。亦た説ばしからずや。朋あり、遠方より来たる、亦た楽しからずや。人知らずしてうらみず。亦た君子ならずや。」

後でこっそり虎の巻を読んでみた。『学んだ後、復習すれば理解がますます深まり楽しい。また何かを学でいると、同じ道を歩む友人が出来てとても楽しい。もし自分が学んでいることを他人が理解してくれなくても怒ってはいけない。人は人、自分は自分だ。』とあった。

居酒屋で、その時は何となく解っただけだったが、虎の巻のおかげで、部長の真意を感じ取った。部長も師範取得が多分嬉しかったのだろう。

「声を出すことは良いことだと思うが、カラオケとは違うし、普段大声も出していないので、あまり自信がない。あるいは、何だか難しそうだし、ネクラでみっともない気もするし・・・。」そして「詩吟は何の役に立つの?」とか質問はいくつかした。だから、すぐに詩吟に納得して、練習を始めた訳ではない。どうしても詩吟とは縁遠いと思っていたし、そろそろゴルフも始めたいこともあり、居酒屋通いも小遣い銭のことで、早々出来ないと、いろいろ出来ない理由を挙げていた。しかし結果的に、それら質問・意見は、詩吟を始めるという結果が決まっていて、それをだめ押しすることだった。私も、『出来ない理由ばかり並び立てるべきではない。』と同僚はじめ周囲の人に良く言っていた。

第4回目は来週に続きます。1週間お待ち下さい。

 

 

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スマート詩吟は面白い「1.詩吟との出会い(1)居酒屋道場」5回連載の内その2

2016-07-02 09:00:00 | エッセー「スマート詩吟は面白い」

著書「スマート詩吟は面白い=趣味の詩吟が脳内出血を癒してくれた=」の最初のサワリ5回連載の第2回目です。

上級管理職昇格試験が10月に終わり、結果発表は翌年初めと予定されていたが、その年末に会社の大先輩から、「今晩夕食でもどうか」と突然声がかかった。その先輩は、人事・総務部門の上席部長で、年齢は一回り上なので、面識がある程度で、業務を通じてご一緒したことはなかった。とっさに『昇格試験の論文にまずいことを書いてしまったかな』と頭を巡らしたことは、私が自分の考えを主張するあまり、精神面のことを書きすぎたことを反省していたからである。

大先輩との夕食は全くかしこまったところではなく、最初から居酒屋に連れて行かれた。「君の論文を読ませてもらったよ。非常にユニークで面白かった。」と、取っ掛かりの話があったので、昇格試験の結果は気になりつつも、お酒が入るたびに私は学生時代の学寮の話から入社した以降の仕事に取り組む姿勢、プライベート生活の話をしていた。お酒が好きだった私は、どうも居酒屋という雰囲気の中で、仕事以外にどんなことに興味を持っているかという話題に仕向けられた様だ。人事部関連の部長職は、私以上に私の人となりを事前に十分熟知していた。卒業した九州工業大学は旧制高校の名残があったので、学寮時代みんなで放歌朗吟を楽しんだことも話していた。

第3回目は来週に続きます。1週間お待ち下さい。

 

 

 

 

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