セイタカアワダチソウが咲いています。
お台場が、まだ埋立地として荒れ野だったころ。
私は日野啓三の『夢の島』(講談社文芸文庫)の世界に惹かれ、大井町からバスにのって東京湾の埋立地を通り抜けたことがあります。
あのころは、あの場所がこんな近未来都市になるなんて、夢にも思いませんでした。
あたりにはゴミが積み上げられ、カラスがそのまわりを回っています。
荒廃としたその場所に一本だけ出来ている道を、曇り空の下をバスはひた走ります。
ふと、遠くをみると黄色いセイタカアワダチソウの群生が・・・。
無機質な埋め立て地で、はじめて見た色彩でした。
そのとたん、脳裏をかすめたのがルース・クラウスと、マーク・シーモントの名作絵本『はなをくんくん』(福音館書店)です。
いまでも、セイタカアワダチソウをみるたび、絵本の、冬眠から目覚めた動物たちの顔や、荒涼とした東京湾の埋め立て地の光景を思い出します。
我が家の回りも、二年程前には牧草地が放置されっぱなしで、
一面泡立ち草の群落でした。
今は・・・お隣に住む方が草刈大好き人間で、
(というより、彼はオートバイマニアだから、
あのエンジン音にひかれているのかもしれません)
毎日刈り取るもので、すっかりゴルフ場のようになってしまいました。
ずぼらな人間には、ちと寂しい。
野の雑草にも命はある、なぁんて高尚な思いからではないですが、
あの雑然とした泡立ち草の花園も、けっこう好きだったのです。
異国の地に根を下ろし、肩寄せ合って咲いている、
それだけでも、エンジン音よりはドラマチックですよね(笑)
セイタカアワダチソウの花を埋め立て地でみて、調べたところ、外来種だそうですね。
どうやってあの場所に運ばれてきたのか・・と考えていたら、いつの間にかとても間近な植物に・・・。
りょうさんのお宅のお近くも、あの黄色い花の群落があったのですね。
なぜかあの花は不思議に惹かれますね。
でも価値観の違いで、無用の長物と思われる方もいるわけで・・・。
人間同士も共生していかなくてはいけないのでそこが、辛いところですね。
りょうさんの個展で、花器になにげなく生けられていた野の花々が頭に浮かびました。
そうした自然、大切にしたいですけどね☆