昨日は、江戸東京博物館で開館20周年記念「明治のこころーモースが見た庶民のくらし」展を見てきました。
アメリカ人のE・S・モースは大森貝塚を発見したことで有名な人です。
そのモースが明治維新まもない時、来日し、通算4年間日本に滞在しました。
その折りに記した『日本その日その日』という滞日記からの言葉と、モースコレクションから選び抜かれた320点の生活道具や陶器、貴重な写真、スケッチなどが展示されています。
折り折りにはさまれた日記の言葉は、実に蘊蓄に富んでいます。
「モースという人」「日本と日本人」「モースをめぐる人びと」この3つにカテゴライズされているブースはいずれも、モースの日本人にむける眼差しにあふれています。
「人びとが正直である国にいることは実に気持ちがよい」
これがモースの日本の庶民に対する、根底を流れている思いです。
彼から見た日本、日本人は、子どもたちを愛する、子どもを大切にする、子どもに注意を払う国。
母親はいつも赤ちゃんを背中にくくりつけ、泣けばおっぱいをふくませ、赤ちゃんは安心してまた眠りにつく・・・。
また当時は、まだ行灯や提灯の時代でした。
「町を照らすのは、蛍に似た小さな蝋燭や提灯で、極めて弱い光を照らすのが関の山」
町の光景をそう綴っています。
そして庶民の祈りのところでは、「日本人の自然との折り合いのつけ方、自然への畏怖の念」について胸をゆさぶられています。
この展覧会を見ていると、外国人から見た日本のすがたや130年前の日本の庶民のくらしぶりをあらためて気づかせてくれます。
貧しいけれど、あかるく、こころ豊かに、子どもを大切に生きていたあの時代の日本人のすがた。
外国人の先入観のないまっさらなこころが、なおのこと日本人である私たちに、新鮮な眼差しで「日本」を教えてくれています。
2013年12月8日まで、両国の江戸東京博物館で開催されています。
写真は、展覧会の出口で販売している、昔の道具たち。