ジローのヨーロッパ考

デンマークやドイツの農家に長期(?)滞在、体験したり感じたことを綴ります。

デンマーク: キアゲハの幼虫を見つけた・・・

2016-08-05 13:51:18 | 日記
2016年8月5日(Fri.) いよいよRioオリンピックの開催ですね・・・無事の開催を祈ります。 さて、デンマークのサイトで、奇妙(?)と思われるかも知れない写真をみつけました。 それは「キアゲハ」の幼虫を写したものです。 この手の虫が苦手な方もいらっしゃるかも知れませんので、写真は小さく掲載しておきます。 (ニュースソース: CPH POST ONLINE 8月4日発 )

<原文の一部>
They thought this butterfly had flown away for good …
Natural History Museum in Aarhus calls it a “sensation”
(抜粋)オーフスにある自然歴史博物館は「センセーション」(的なこと)だと言います。


The common yellow swallowtail has been absent in Denmark for 40 years (photo: Didier Descouens)
キアゲハ(アゲハチョウの一種)は、デンマークでは40年間も見かけていませんでした。


August 4th, 2016 12:52 pm| by Lucie Rychla
A caterpillar of the common yellow swallowtail butterfly (papilio machaon), which has not been seen in Denmark for 40 years, has been found in the forest of Hodsager Plantage in west Jutland.

The caterpillar was found by Carl Johnsen and Ole Olesen, two residents of the nearby town of Aulum, who later posted photos of the larva online.

“It was an incredibly beautiful caterpillar, so I took several pictures of it,” Johnsen told DR.

Morten DD Hansen, an expert from the Natural History Museum in Aarhus, has called the find “a sensation”.

“We have been waiting for this for many years,” Hansen told DR.

“So let’s just hope they turn into butterflies!”

Earlier this summer, eggs of the common yellow swallowtail were found at Gentofte Lake near Copenhagen.

The new discovery suggests the species may have found its way back to Denmark after many years of absence.

The butterfly is widespread across Europe, but protected in many countries.

(抜粋)40年間も不在(見かけなかった)だったキアゲハのキャタピラ(幼虫の模様)が、ユトランド半島の西にある Hodsager Plantage in west Jutland の森で発見されました。 発見者(二人)の一人は、信じられないくらいに美しい模様(キャタピラ)だと言います。
そして、オーフスの自然歴史博物館の専門家は「センセーションだ、これを待ち望んでいました」と言っています。 また、この幼虫が蝶になることを期待していますとも付け加えています。
今年の初夏、キアゲハの卵がコペンハーゲンの近くにある Gentofte Lake (湖)で見つけられています。これらのことは、長年の不在(?)時期を経て、デンマークにもキアゲハが戻ったことを示しているのでしょう。 そして、この蝶はヨーロッパ各地に広がっています。そして、各国がこれを保護しています。

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恐らく、過去には見かけた種(蝶)だったものが、長年の時を経て再出現したのでしょう。もちろん、ゼロから生まれることはないでしょうから、他の生息域から移ってきたものではないでしょうか。

ちなみに、キアゲハは私達の地元(愛知県)では、しばしば見かけています。 畑のパセリに数匹の幼虫(あのキャタピラのような)を見かけています。一見、何の幼虫かと驚くことが多いのでしょうが、調べるとキアゲハだとわかりました。またニンジンの葉についていたとする情報も聞いたことがあります。

今回のデンマークの事情は定かではありませんが、農薬等で生息が困難であった環境が、減農薬や無農薬、有機肥料(化学肥料ではなく)へのシフト等で、より自然な・安全な環境に戻りつつあるエリアが存在する・・・と言うことでしょうか。

無農薬・有機栽培等の安全な方向は、昆虫だけでなく、人間自身・全ての生物にとって必要なことなのでしょう。

(写真はキアゲハです。)


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さて、蝶の話題が出たのでもう一つ、我が家での物語です(今年の夏)。

ベランダにある山椒の鉢植えに、アゲハの幼虫を見つけたのは6月下旬のこと。例年、アゲハが卵を産みつけにくることは知っているので警戒はしていました(葉を食い尽くされるので)。 しかし、気が付いた時には、既に体長15mmぐらいの黒いイモムシでした。 他にはいなくて一匹だったので処分を諦めて、育てることにしました。

アシナガバチに襲われることもあるので、逆に、そちらを警戒することになりました。そして、7月上旬には下のようなリッパな青虫状態に育ちました。おかげで、山椒の木の葉っぱは、およそ半分ぐらいは食べられてしまいました(大きな木ではないので)。

(山椒の木と青虫、「目」のように見えるのは模様であって、本当の目は口元付近にあるようです。 可愛らしく見えます・・・)


体長は5~6cmあるでしょう。次は、いつサナギになるか・・・です。毎日のように夕方頃には、サナギになるために鉢植えから脱出したかをチェックです。

7月4日、15時頃、予想に反して「いない」のです。昼間にいなくなることはなかったので不思議に思いつつ周辺をさがしました。そしてやっとみつけました。 別の鉢植えのローズマリーのトゲトゲの葉っぱの中で”もがいて”いました。「おいおい、ここではサナギになれないよ!」と声をかけ、救出作戦へ。

割り箸を1本持ってきて、青虫の足元に少し入れてやります。最初は驚いて動きを止めるのですが、しばらくそのままでジッとしていると、割り箸に登りかけてきました。そこで割り箸をユックリ持ち上げて救出完了です。 その後は、安全な場所(今回はバケツ)に移動させ、フタをしてこの中でサナギになってもらいます。

その日の夜、既にサナギになるためのポーズで自ら体を固定していました。 ・・・ 羽化までは10~12日間ぐらいの筈なので、しばらくは放置です。

10日目の朝、変化なし。 11日目の朝、変化なし。 そして翌7月15日の朝、いつもより早く起きてバケツを覗くと、羽化していました。まだ、羽根は伸びきってはいなくて柔らかい状態です。2~3時間経って、やっと羽もシッカリしてきて、羽を広げたり閉じたり。 そっと、巣立ち(?)の瞬間を待ちます。

(巣立ちが近いアゲハ)


そして、家内が何気なく近づいた瞬間、パッと飛び立ちました。 あっと言うまに視界から消え去ってしまいました。 まァ、無事に羽化して飛び立ってくれたと、安堵した次第です(夫婦で)。 何か、子供が巣立ったような気がしました。

・・・

ところが、ここで話は終りではありませんでした。 約1週間後の7月21日の朝、一匹のアゲハチョウがベランダにあるブルーベリーの木にとまっています。 卵を生みつけにくるアゲハはよく見かけますが、ベランダ内で休息するアゲハは知りません。 気のせいかも知れませんが、ここを巣立った同じ個体の可能性もあるかも知れないので写真におさめて、しばらく観察です。

昼になってもまだ休んでいます。羽を時折広げたり閉じたりしています。 そして午後2時ごろ、いなくなっていました。およそ5時間はベランダにいました。 ネットで調べても、育った場所に舞い戻ることはあまりないようですが、今回の「事実」からして、5時間も休憩(?)していったのは、ここで育った個体である可能性が非常に高い・・・と思っています。 家内も私もウレシク感じました。 家内曰く「きっと、お礼の挨拶に来てくれたんだわ」・・・です。

(ブルーベリーで休むアゲハ)


蝶の寿命は環境次第でしょうが、長くはないようです。次の世代にバトンタッチして、役割を全うしてくれたのでしょうか、それとも、まだ飛翔しているのでしょうか・・・。



この我が家のアゲハに関する話も作り話ではなくて「実話」です。


*** 下の写真は、記事内容とは関係ありません。




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