ジローのヨーロッパ考

デンマークやドイツの農家に長期(?)滞在、体験したり感じたことを綴ります。

臨時: 「根(ね)」は同じ?

2016-08-03 18:10:21 | 日記
2016年8月3日(Wed.) 一昨日・昨日と激しい雷雨に見舞われたこの地方(愛知県)ですが、今朝は晴れていました。しかし、今夜も雨かも知れません、畑にとっては有り難い”天水”なのですが・・・。 さて、朝刊に某家電量販店に関わる記事があり、内容からして、以前にも類似の問題があったのではないかと思いました。



概括すると、この家電量販店が使っていた下請け会社に、契約外の行為を要求し、それに対して下請け会社が抗議したところ、契約打ち切りとなって経営が行き詰った・・・と言うものです。 下請法に反するか・していないかの前に、あってはならない行為のように見えます。 会社(家電量販店)の内部統制やコンプライアンス遵守などの点でも疑問がありますが、企業の体質(つまり、中間管理職から経営層まで)に不信感が募ります、一顧客としても。

一方、某自動車メーカーの重要データ偽装問題に関して、新入社員などからも問題を指摘されていたにも拘らず、修正等に応じてこなかった・・・と。これも企業体質でしょう。 幾人かの社員が不正行為を認識しながらも、組織(会社)としては、軌道修正しなかったと言うことでしょう。

上記の2件は、全く別の会社での出来事ですが、共通性を感じます。 つまり、やってはならないことで、しかも、それを複数人が認識していたにも拘らず、組織としての改善・修正はしなかった。 まるで、企業の収益を最優先するために、選択してはならない道を進んでしまった・・・かのようです。

企業のトップが知っていたかどうかは問題ではなく、そうした風通しの悪い風土を根付かせてしまっている責任からは逃れることは出来ません。



さらに関連して思うことの一つに「政党交付金(助成金)」の件があります。 法律に基づいて、各政党に毎年交付されるものですが、原資は国民からの税金になっています。 しかし、小額とは言えないこの交付金が「政党」に対して支払われるため、所属議員は、政党からの”しばり”を受けることにつながっていないでしょうか。

政策決定に際し、多くの場合、党則に従って、党の指示に従っているように見えてしまいます。反対票を投じれば、罰則等が待っているのでしょう。これでは、議員の議員足る仕事ができないのではありませんか。 選んだ国民を見るのではなく、”上”を見て仕事をしているかのようです。これでは、国民の負託に応えた仕事をしているとは言えないでしょう。

つまり、政党交付金などと言うお金の存在が議員一人一人を骨抜きにしていませんか。 政党による党公認の扱いも類似の制約につながっているようにも感じます。

本来、政党交付金などと言うものではなくて、直接、議員一人一人に対して交付し、逆に、議員から所属政党に対し、ルールなどに基づいて一部を納める方式が望ましいのではないでしょうか。 金のかからない選挙や政治が理想かも知れませんが、実際には、何をするにしても経費は発生するもの、それは、先ずは議員に対して交付すべきでしょう。 そうすれば、議員の「独立性」も担保されるし、「仕事」ができるのではありませんか。

また、党則で縛ることなどは、逆に、法律で禁止することも、よりよき政策を議員全体で(党を横断して)作りこむためには必要なのではないでしょうか。

そして、敢えて取り上げた「政党交付金」なる制度も、上述の企業体質云々の件と同根で、一人一人は気がついているのだけれど、組織としては「シバリ」のようなものがあって、身動きが取れない・・・。誰かが言い出さない限りは「変わらない・変えられない」し、多くの場合、上を見ているので、変わらないままが続くことになります。 これらは、風通しの悪い組織体質であり、独裁に近いものと言えるでしょう。



話を変えます。 ウィリアム・ウォレス( William Wallace )をご存知の方は多くはないでしょう。13世紀末から14世紀初頭にかけてスコットランドで活躍した人物です。時のイングランドの圧政(エドワード1世)に対して立ち上がった勇者と評されています。1298年に、エディンバラの西方のスターリング・ブリッジの戦い( Battle of Stirling Bridge )でイングランドの軍隊に勝利しました。しかし、その後の戦いで捕らわれの身(1305年8月5日)となり、ウェストミンスター・ホールでの裁判を経て、残忍な手法によって処刑(1305年8月23日)されてしまいます。これによって、彼はスコットランドの国民的な殉教者となりました。

ウォレスの言葉


スターリング等の位置


裁判の様子



しかし、その後、ウォレスの影響を受けたブルース(ロベール8世)は、スコットランド貴族たちを団結し、スターリングに近いバノックバーン( Bannockburn )の戦いでイングランドに勝利(1314年6月24日)し、スコットランドの独立を確実なものにしたとされています。

実は、今、読んでいる最中の「Isles(アイルズ)」に書かれていることの一つでもあり、映画「 Brave Heart 」(主演: メル・ギブソン)でもウォレスの生き様が描かれています。

時代が時代とは言え、エドワードの圧政と、逆らえない風土がそこには立ち込めており、それを打破しようとした一人がウォレスだったと言うことが言えるのでしょう。



上述の全てに共通していることは、自由な意見が通らない風土が、圧政や独裁を生み出し、歪んだ秩序を続けさせてしまう・・・と言うことではないでしょうか。 本当の(客観的に)”悪”であるならば排除する必要がありますが、我欲を満たさんが為の「排他的な思考」は、独裁そのものであり、人民(社員)は圧政に苦しめられることになり兼ねません。

真実かどうかは定かではありませんが、領主による初夜権( Right of the First night )などと言う行為・権利は、中世だったから許されると言うものでもないでしょう。(映画 Brave Heart に出てきます。)

トルコのエルドアン政権が推し進めている暴政的な行為も心配ですが、自国日本の政治体制は、今のままで良いのでしょうか。ウェストミンスター型行政府のあり方が「多数者の暴政」に陥っているのではないでしょうか。

まだまだ、「民主的」などとは言えなくて、逆に、為政者(経営層含む)たちは、中世の暴政・圧政時代を目指しているのではないかと思えてしまいます。



今朝、目に留まった記事が、心の整理をさせてくれたようです。


*** 下の写真は、記事内容とは関係ありません。




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