ジローのヨーロッパ考

デンマークやドイツの農家に長期(?)滞在、体験したり感じたことを綴ります。

ドイツ報道: フランスでの原発事故の核心?

2016-03-04 23:17:12 | 日記
2016年3月4日(Fri.)  ドイツ・DW-DEが伝える2014年のフランスでの原子力発電所事故、その重大さが隠されていた?!

<原文の一部>
Reports: Fessenheim nuclear accident played down by authorities

An incident at the Fessenheim nuclear facility in France in 2014 was more serious than previously known. German media reports claim the authorities withheld information detailing the gravity of the situation.



Both the French nuclear authority, ASN, and the company operating the two Fessenheim nuclear reactors, French energy giant EDF, allegedly did not divulge the gravity of the incident on April 9, 2014, when one of the reactors had to be shut down after water was found leaking from several places.

Researchers from German daily "Süddeutsche Zeitung" and public broadcaster WDR claim the incident at Fessenheim, which is in Alsace near the border with Germany, could turn out to be one of "most dramatic nuclear accidents ever in Western Europe."

They are basing the claim on a document they say they have obtained, sent by ASN to the then-head of the facility on April 24, 2014.

The letter and subsequent reply reveal that the reactor could not be shut down in an ordinary fashion due to control rods being jammed. The reactor had to be shut down by adding boron to the pressure vessel, an unprecedented procedure in Western Europe, according to an expert.

"I don't know of any reactor here in Western Europe that had to be shut down after an accident by adding boron," Manfred Mertins, expert and government advisor on nuclear reactor safety, told WDR and Süddeutsche Zeitung.

The reports say the official report ASN released did not contain information on adding boron nor the jammed control rods. It was also not reported in that way to the International Atomic Energy Agency (IAEA).




(抜粋)2014年4月、フランス・フェッセンハイムの原発事故は、知られているものより重大な事故だった可能性があります。伝えられるところによると、その4月9日の事故は、数ヶ所からの水漏れによって、シャットダウンされるべき状況でした。

このドイツ国境に近い発電所における事故は、西ヨーロッパでは前例の無いほどの過酷なものだったことが明らかになってきています。

関係レポートによって明らかになった内容は、通常の動作の制御棒によってシャットダウン(原発停止)すべきところでしたが、制御棒の障害によって、それが出来ませんでした。従って、シャットダウンは、格納容器にホウ素を注入する必要がありました。専門家によると、これは西ヨーロッパでは前例のない手順(操作)だったと言うことです。

尚、このことは、事故発生時のオフィシャル・レポートにも含まれていなかったし、IAEAへの事故報告にも同様に含まれていなかったそうです。



フランスの原発事情等が上図に説明されています。フランス国内には58基の原発があり、電力の凡そ3/4は原発に頼っています。そして、2015年の8月には、2025年までに、その依存度を50%まで下げる方針が決定されています。

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制御棒がジャミング(これは”詰まり”の意味だと思いますが)・「障害」と訳しました。そのためシャットダウンができなかった・・・。そのため、ホウ素を注入することで、核分裂を抑えようとしたと言うことでしょう。そして、こうした対応に迫られたことは、西ヨーロッパでは前例のないことだと。さらには、事故当時の報告には、こうした事実は伝えられていなかったことが、「事実の隠蔽」として、事故同様に重大な問題であると追及している論調になっています。



間もなく、福島原発の過酷事故から丸5年経つことになりますが、つい先日、東電が、当時のメルトダウンに陥った客観的事実を把握しながらも、誤った(?)判断で発表が遅れた・・・と謝罪しました。一部の報道機関によると、これは隠蔽とも受け取れるのではないか・・・と報じていましたが、今日のドイツ情報に対しても共通の印象を持ちました。

事実は事実として速やかに報じるべきであり、仮に、結果論として、それに誤りが含まれていたとしても、「安全サイド」(人を安全方向に導く)に誘導することが、被害を最小限に抑える鉄則でしょう。ややもすると、行政等が誤報の責任を恐れたり、報道機関等からの批判を恐れて隠蔽に走る傾向があるのではないでしょうか。そうした批判を恐れることは、自己保身の考えに近いものがあり、本来の自分たちの役割・使命を忘れかけているに等しいのです。常に、ものごとの本質を見極めたいものです。

それにしても、原発そのものの存在が問題なのであって、安全神話に包まれていた時代は終わっていますので、速やかに廃炉・撤去に向かうのが政府の役割でしょう。鹿児島県・福井県・愛媛県などの首長も含めて、後顧の憂いを残さない判断をすべきでしょう。それができない政治家は、さっさと退陣するしかないのではありませんか。


*** 下の写真は、記事内容とは関係ありません。




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