四季菜遊土 菜園倶楽部

週末の菜園、土いじり、採れたて野菜の料理レシピ等々、農と食と環境を考える

晴耕雨読(書評) タネ危ながい

2011-12-05 | 晴耕雨読(書評)

【 書 籍 名 】 タネが危ない
【 著   者 】 野口勲
【 出 版 社 】 日本経済新聞出版社
【 値   段 】 1600円
【 コメント書評 】 ☆☆★☆

 日本で唯一、固定種のタネのみを扱う種苗店の、三代目経営者である著者が、
 F1(一代雑種)技術の抱えるリスクを指摘し、現代農業のあり方に一石を投じた書籍です。

 生産者と消費者、双方のニーズと、研究者の努力によって進歩してきた農業技術、
 大量生産、大量消費、均質な規格に制約される流通、見た目重視の農産物市場等、
 経済効率最優先の時代のニーズに応え続けてきた、科学技術のあり方に関しても
 その光と影を踏まえ、議論の余地がありそうです。

 実際に、私の畑で育てている野菜の7割は、F1に該当します。

 私自身は、F1の反対論者ではありませんし、大学では、理学部で植物生態/生化学系を
 少しだけ学んだ関係上、研究者の方々の真摯で地道な努力の姿も見てきました。

 今日の日本の農業を支えてきた彼らの功績は、否定できないと思いますし、
 部外者が、今の農業のあり方を安易に批判するものでもありませんが、

 その上でなお、自家採取をし、伝統野菜を守り育てる大切さを訴え続ける
 著者の姿勢に感銘を受けました。

  タネが危ない


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