映画日記(ためし)

映画の印象を、悪い、ふつう、よい、の三段階で表現したいと思います。
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『その男ヴァン・ダム』

2009年08月09日 | Weblog
その男 ヴァン・ダム - goo 映画

よい

マブルク・エル・メクリ 監督
ジャン=クロード・ヴァン・ダム、フランソワ・ダミアン、ジヌディーヌ・スアレム、カリム・ベルカドラ、ジャン=フランソワ・ウォルフ、アンヌ・パウリスヴィック、サスキア・フランダース、ディーン・グレゴリー 出演

90年代に絶大なる人気を持っていたアクション・スター、ヴァン・ダム。しかし最近では年齢のせいかアクションを演じるのも疲れ気味。金銭トラブルや娘の親権争い、出演依頼もビデオストレート作品が続き、運にも見放されている。そんな彼が故郷ベルギーでたまたま入った郵便局は、強盗が占拠中。警察との交渉役に利用された彼は、今度は犯人と間違えられてしまう。果たしてヴァン・ダムはこの「どん底」から脱する事はできるのか。



これはおもしろい。
特に前半から独白シーンまでがすばらしい。

内輪ネタ、B級映画が好きな人がニヤリとするところが満載の前半がよく、劇中急にはいる独白シーンには迫力がある。
フランス訛りが取れない英語(今でもそうだ)のために、サイボーグ役をやったりメジャーな作品に出られないジャン=クロード・ヴァン・ダムの特性をよく理解した作品。基本はコメディである。

タクシーのおばあちゃんドライバーとの会話もよい。

『ブロークン』

2009年08月09日 | Weblog
ブロークン - goo 映画

ふつう

ショーン・エリス 監督・脚本
レナ・ヘディ、リチャード・ジェンキンス、ミシェル・ダンカン、メルヴィル・プポー、アシエル・ニューマン 出演

ロンドンの病院に勤務するX線技師のジーナと家族が父親の誕生日を祝っている最中に、大きな鏡が突然割れて粉々になる。翌日、自分と同じ赤いチェロキーを運転する自分に瓜二つの女を見かけ、ジーナは衝動的に跡をつける。すると、その女は自分とまったく同じ部屋に住んでいた。ショックを受けたジーナは誤って交通事故を起こし事故前後の記憶を失う。以降、ジーナの周りで不可思議な出来事が起こり始める。



話がまったくおもしろくなかった(笑)。
せめて、なぜ鏡が割れたのかの説明くらいはすべきではないか?

さて、話がおもしろくなくてもこの監督の映像は一級品である(カメラマン出身)。
話を無視して映像だけを楽しむことがある程度できれば、「ふつう」くらいの作品にはなる。

前作『フローズン・タイム』がよかっただけに、このデキには不満が残る。

前作のわたしの記事
http://blog.goo.ne.jp/jm131/e/d43502f87bbbc20213f0574d30e84de6

『ぐるりのこと。』

2009年08月09日 | Weblog
ぐるりのこと。 - goo 映画

よい

橋口亮輔 監督・脚本
木村多江、リリー・フランキー、倍賞美津子、寺島進、安藤玉恵、八嶋智人、寺田農、柄本明、木村祐一、斎藤洋介、温水洋一、峯村リエ、山中崇、加瀬亮、光石研、田辺誠一、横山めぐみ、片岡礼子、新井浩文 出演

「お、動いた!」小さく膨らんだお腹に手を当て、翔子は夫のカナオとともに、子を身籠った幸せを噛みしめていた。しかし、そんなどこにでもいる二人を突如として襲う悲劇…初めての子どもの死をきっかけに、翔子は精神の均衡を少しずつ崩していく。うつになっていく翔子と、彼女を全身で受け止めようとするカナオ。困難に直面しながら、一つずつ一緒に乗り越えていく二人…。



トータルでおもしろいのだが、見せ方がへたくそだ。
子どもを失った夫婦の十年にわたる再生と十年間の縁戚関係の変化(これらがメイン)と、実際に起こった重大事件の裁判での様子をポイントを絞らずに描いているために(笑)、フワフワとつかみ所がないデキになっている。

それでも、映画的に許されるふたつの大きな嘘(後述)と実際の裁判の血なまぐさいリアリティ(検証していないが、作品内で描かれた裁判のシーンはほとんど同じことが実際にあったはずである)が、この作品独自のリズムを作るのに成功している。

映画的に許されるふたつの大きな嘘とは、まず開始100分くらいで挿入される理想的な夫婦喧嘩(写真のシーン)である。
蜘蛛をプラモデルで殺したことから始まるこの喧嘩は、リリー・フランキーがどこまでも優しく、木村多江にさからわず(それはトラブルから「逃げる」ためでもあるが)、すぐに謝ってしまう。
たいていの喧嘩は、どこまでも優しくさからわずにいたら、こっぱ微塵になるまでやられてしまうことをわたしは経験により知っている(笑)。
作品はここから明るくなりさらに40分ほどつづくのだが、ここあたりでまとめていれば、話もわかりやすくなっていたと思う。

もうひとつの嘘は十年間の夫婦の見た目を古びさせていないことである。特に木村多江は後半のほうが美しい(それは再生の象徴でもあるのだろうが)くらいである。

ずうずうしい嫁の役の安藤玉恵と、喧嘩のシーンでクレームをつけにくる階下の住人役の人が出番は少ないが印象に残った。

マヌケな新人編集者と八嶋智人演じる狡猾なテレビ関係者もよかった。