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近頃「ビッグデータ時代に必要とされる人材は統計分析の専門家、データサイエンティストである」などという言葉をよく聞くようになりました。書店に行っても、統計学を取り上げるビジネス書を多くみかけます。実際、「統計学が最強の学問である 」(西内啓著、ダイヤモンド社、2013年)が40万部を突破するという異例の売れ行きを見せています。
このように、すっかり注目されるようになった統計学ですが、ビジネスパーソンにとってのリテラシーとしてどの程度受け入れられているのでしょうか。
私が企業研修や公開講座で、若手~中堅クラスのビジネスパーソン(約50人くらい)に統計学についてどう思うかを聞いてみたところ、返ってきたのは「難しい」、「苦手」、「できれば近寄りたくない」という答えでした。それでも、「役に立つと思う」「機会があれば学んでみたい」という前向きな発言をする人も、わずかですがいました。
ビジネスパーソンとひとくちに言っても、様々な職種があります。製造や品質管理のように統計学を日常的に使う仕事もあれば、営業や経理のように数字と切っても切れない仕事でありながら、統計学をほとんど使わない仕事もあります。
特に営業職は、統計学を敬遠する傾向があります。ある研修で、30代の営業担当者(男性)になぜそんなに嫌うのかを聞いてみたところ、こんな答えが返ってきました。
「統計学って数学でしょ? 自分は高校時代に数学が苦手だったので、文系の学部に行きました。文系で就職となると事務屋か営業マンしかありませんよね?それに営業は数字も大事だけれど、人と人とのつながりが基本です。お客様を数字扱いするよりも、人として良い関係を築けるかどうか、何回も会って肌感覚で理解することが大事だと思います。」(原文ママ)
人事部の研修担当者に聞いたところ、この人は優秀な営業マンだとのことでした。私も「なるほど、そうだろうなあ」と思いました。
そのとき、こういう人にこそ統計学を使ってほしいと心から思いました。
営業は人と会って、話して、説得して、お金をいただく仕事です。営業のプロセスは初回訪問から始まって、ニーズの把握、それに合致した商品の説明、試用、正式購入、定期購入・・・と続きます。この長いプロセスをスムーズに続けていくためには、ヒューマンスキルが優れていなければなりません。
そうしたヒューマンスキルに優れている人が、データを料理する力を身に付ければ、まさに鬼に金棒ではないでしょうか。
金棒(統計学)は鬼(営業パーソン)が持ってこそ意味があります。
(人材育成社)
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