中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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第1,222話 ライバルの存在は必要か否か

2024年07月03日 | キャリア

「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「AにとってBはライバルなんですよ。たぶん双方が意識していると思います」

これは、先日弊社がある企業の中堅社員研修を担当させていただいた際に、研修終了後にご担当者から聞いた言葉です。

私は以前にもAさんとBさんにお会いしたことがあるのですが、今回研修で再会したところお二人とも実に溌溂とした表情で研修に参加し、演習にも終始前向きな姿勢で取り組んでいらっしゃいましたので、頼もしさを感じると同時に着実に成長されているように感じました。そのことをご担当者にお伝えした際にお聞きしたのが、冒頭の言葉です。

ご担当者のおっしゃるように、AさんとBさんは互いにライバルとして、日々切磋琢磨しているのかもしれません。ライバルとは言うまでもありませんが、競争相手、対抗者、好敵手という意味です。AさんとBさんが普段からお互いに相手をどのように思って仕事をしているのか、直接聞いたことはないので実際のところは定かではありません。しかし共に生き生きとした表情でリーダーシップを発揮しながらグループ演習に参加していましたので、お互いの存在が良い意味での刺激になっているのではないかと想像しています。

私は、様々な企業などの昇格や採用試験の面接官、また研修を担当させていただく中で、Z世代と言われる近年の若手社員の特徴の一つに、「競争心の低下」があるのではないかと感じていました。それは、採用試験の集団討議や研修中のディスカッションの中で、相手を気遣いすぎるあまり自身の発言を控えたり、しっかり話し合わずにジャンケンで結論を出したりするような場面を見ることがしばしばあるからなのです。

しかし、AさんやBさんのような前向きに研修に取組む中堅社員に出会い、その理由の一つにライバルの存在があるとしたら、それはライバルが身近にいることによるプラスの刺激によるものであり、とても素敵なことだと感じました。

あらためてライバルの存在について考えてみると、メリットとしては何と言っても競争心が刺激されるということがあると思います。「負けたくない」という思いが、自身が積極的に努力をする動機づけになるのであり、それによって自身の目標が明確になります。そしてそれが具体的な行動につながり、その結果としてパフォーマンスの向上に結び付いていくように考えています。

しかし一方では、ライバルのことを過度に意識しすぎてしまうと、自身との相対的な比較に囚われてしまい、相手が新たな役割を得たり活躍しているようなことを見聞きすると、嫉妬心を燃やすようなことになってしまいます。それは本末転倒な状態であり、自身のモチベーションやパフォーマンスの低下にもつながりかねないものだと思います。

ライバルの存在にはこのように多くのメリットがある一方、デメリットもあるわけです。ネガティブな感情に陥らないように意識し、ポジティブでバランスの取れた競争心を保ちながらライバルとの健全な競争関係を築き、それを自己の成長や目標達成に向けたモチベーションとしていくことが大切だと考えています。

ライバルとの良き出会いを!

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