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「雑談を誤解していないか?」

2015年11月04日 | コンサルティング

 「今日はこの後、どこかにお出かけですか?」、「今度の連休はどうされるのですか?」

美容院やマッサージに行った時に、このように話しかけられると、「ぼっーとしていたかったのに・・・返事をしなければいけない?」と内心思うことがよくあります。

このブログでも3か月ほど前に雑談について書いたのですが、その後、日経新聞(9月8日)に「雑談力を上げるコツ」と題した記事が掲載されていましたので、改めて「雑談」について考えてみました。

記事では雑談について、次のような体験談を取り上げています。

紳士服店で接客をしている人は、「相手との距離を縮めるには、まず自分のことを話すことが重要になる」と話しています。

また、美容院で接客をしている人は、「ネットなどのやり取りが多くなったせいか、面と向かって話すのが苦手な人は年代を問わず多いと感じているので、気負わずに話しやすい雰囲気をつくることが会話を引き出し、信頼を得る第一歩だ」と話しています。

この記事を読んでいて、私自身の過去の出来事を思い出しました。

その昔、私がスイミングスクールに通っていた時のことですが、若いコーチが毎週のレッスンの合間に、熱心に自分のことを語るのです。

いろいろ聞いた話の中で、特に印象に残っているのは彼のスパゲッティの好みの話でした。温水プールの中で棒立ちしながら、明らかにスイミングと何の関係もないスパゲッティの話を聞かされている自分自身を、妙におかしく感じたことを今でも覚えています。

また、別の時の記憶で、ある日タクシーに乗車したところ、運転手からいきなり「さっき、乗車した女性のお客さんに話しかけたら、『疲れているので少し黙っていてもらえませんか』って言われちゃって・・・気を使って話しかけたのに、失礼なお客さんだよ」と話しかけられたこともありました。

スイミングのコーチは一方的に自分のことを話しているので、そもそも会話にすらなっていないのですが、タクシー運転手は会話に乗ってこないお客を失礼だと決めつけているように、会話はサービスの一環であり会話することが良いことという前提があるように感じます。同じように、先の新聞記事も会話をすることを前提にコツに焦点を当てています。 

もちろん、人間関係を作るにはコミュニケーションが大切なのは言うまでもありませんし、そのためには会話が大事なのは当然ですから、それ自体には何も問題はありません。

しかし、状況によっては誰とも会話をせずにぼっーとしていたい時もありますし、一人で考え事をしたいこともあります。また、人目にはわかなくても気分が良くなく、会話をしたくない時だってあるはずです。

そういうことは誰にでもあるはずなのに、あまりに会話や雑談などでコミュニケーションをとることが良いことだと大上段に振りかぶられてしまうと、何だかコミュニケーションを押し付けられているようで、ちょっと重たいなと思ってしまうことがあります。最近は言葉の量でコミュニケーションの良し悪しを測っている風潮があるような気がしてなりません。

もし、話しかけた相手が話に乗ってこないのであれば「何か訳があって、あまり話したくないんだな」とキャッチすることも大切なコミュニケーション力であるはずです。

例え会話がなくても、同じ時間を静かに共有することもコミュニケーションの一つだと思うのですが、いかがでしょうか。

 (人材育成社)


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