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第1,206話 自分とは何者なのか

2024年03月06日 | キャリア

「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「私は穏やかな性格です」

ある私の知り合いは、かつて自身の性格を評してこのように言っていました。確かにその人は普段はわりと穏やかではあったのですが、追い込まれて余裕がなくなったりすると、一転して激しく怒鳴ったりするなど、周囲はその変貌ぶりに驚かされることが度々ありました。

この例のように、人は自分のことをわかっているようで、案外わかっていない生き物なのかもしれません。もちろん人間はいろいろな面を持ち合わせているわけですから、一概に「〇〇だ」と言えるような単純な存在ではないことも、また確かだと思います。

これに関して、古代ギリシアの哲学者タレス(Thales)は、人から問われた際に「自分を知ることが一番難しい、反対に容易なことは他人に忠告すること」と答えたとのことです。また日本にも同様の意味の諺「遠きを知りて近きを知らず」がありますから、古今東西、人は「自分のことを知る難しさ」を感じてきたのではないでしょうか。

話は変わりますが、近年就職活動をしている新卒者や入社間もない若手社員から、「就職活動において最も大変だったことは何か」という質問に対して、「自己分析をすること」という答えを聞くケースが多くなってきています。

自己分析とは、文字どおり自身の性格、考え方の傾向、興味の対象や嗜好などを顕在化させ、把握・分析して強みを見出すことです。中には早い段階でできている人もいるのでしょうが、まだ20代前半とさほど人生経験が多くはない若者が自己分析をし、それを文章化することはさぞかし難しいであろうことは、想像に難くありません。

では若者に限らず私たちは、どうすれば自分のことをより深く知り、それを分析することができるのでしょうか。その答えは簡単なものではないのだろうとは思います。たとえば自分にとってあまり歓迎しないような事柄が起こったときや難題にぶつかったときなどの場面において、自らがどのように感じ、考え、その事柄に対峙するのか、そうした自分にしっかり向き合うということが大切なのではないかと私は考えています。そうすることで自分にとっても普段は見えない、意識していない自分の姿が見えてくるということがあるのではないでしょうか。そして、定期的に自己をリフレクションしたり、他者からのフィードバックや専門家の助言を得ることも、自身への理解を深めた上で分析をする際の手助けとなってくれるのではないかと思います。

このように考えると、私たちは普段あまり意識していなくても、人生のいろいろな節目節目で「自分とは何者なのか」という問いを続け、その答えを探し続けるものなのではないだろうかとも思えてきます。

話を若い人の就職活動に戻すと、受け入れ側の組織に求められるのは、応募者の自己分析はまだ人生における「発展途上」の段階での分析にすぎないことをきちんと押さえておくこと、そしてそれを踏まえてどのように育成していくかをしっかり考えて当人と共有していくことが、いるのではないでしょうか。

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