中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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第1,030話 営業部、開発部、製造部など部門の連携を図るためには

2021年06月16日 | コンサルティング

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

製造業において営業部、開発部、製造部などの部門間の連携が図りにくいというのは、古くて新しい議論です。

弊社は製造業のコンサルティングや研修を担当させていただくことが多く、これまでに様々な企業の関連部署の人から話を聴く機会がありました。話を聴くと、自部署の前工程や後工程への要望や不満もあり、企業全体として最適の視点を持つことは必ずしも簡単な話ではないと感じています。

これまで伺った内容としては、たとえば営業部門から開発部門への不満として「顧客は値段のことを最重要視しているのに、その点をわかっていない。コストを度外視して高機能なものばかりを作っている」といったものがあります。一方、開発部門は営業部門に対し「顧客は高機能なものの方が良いと考えているに決まっているではないか。営業が顧客に製品の良さを伝えられないところに問題がある」といような不満を持っていることが多いように感じています。

こうした話は営業部門と開発部門の間だけでなく、場合によっては製造部門と営業部門の間でもあるようです。製造部門から営業部門へ対しては、「営業はコストのことを考えずに、受注を獲得することばかり考えている。売上が上がっても、利益が出なければ意味がないではないか」と感じているのです。一方で、営業部門は「売れるから受注しているのに、製造部門は自部署の視点だけで考えて会社の売上アップのことを考えていないじゃないか」といった不満を持っている例もあるようです。

では、このような部署間の溝を埋めるためにはどうすればよいのでしょうか?

日頃から、お互いが置かれている立場や自部署としての問題点などの情報を共有する機会が定期的に設けられるとよいはずです。しかしそのためには「音頭」をとる人が必要ですし、なかなかお互いの時間が合わなかったり、ましてや今のようにテレワークが導入されていたりとすると顔を合わせる機会自体がめっきり減ってしまっています。製造部門は出社していても開発や営業はテレワークという企業も多く、部署間が連携することは思っているよりも簡単ではないようです。

しかし、部署間どころか、異なる会社同士が連携して成功している事例があることを皆さんはご存知でしょうか?それは、大田区の町工場が連携する「仲間まわし」です。

大田区には町工場が、2016年現在4,229企業(ピーク時の1983年には9,190)あるそうです。しかし、高齢化などによる廃業で多くの職人が引退し、技術力が低下してしまった企業も多く、自社のみでは顧客の要望になかなか応えられなくなってしまった企業が少なくないそうです。そこで、自社でできないことを他社に回して行ってもらう「仲間回し」の仕組みができあがったということです。

たとえば、自社では「切削」作業しかできなくても、「穴あけの技術」や「研磨の技術」など自社ではできない技術を持っている近隣の工場にその工程を回すことで、顧客から発注された製品を納品できるネットワークを構築しているのです。

このネットワークが完成した背景には、顧客の要望をまとめる企業(仮にA社)があり、そのA社が顧客へ直接営業活動をし、ネットワークによって製品を完成させるという仕組みを作ったのです。そして、このネットワークを維持継続させるために企業間のコミュニケーションを図る工夫をしたり、受注に関しては契約書を作成したり、支払いのルールを徹底するなどの仕組みを作ったとのことです。やはり「音頭取り」が肝になっているようです。

このように、企業を超えて連携し「仲間まわし」を行うことができるのですから、自社内において営業部、開発部、製造部などの部門の連携が図れないことはないはずです。

ぜひ、大田区の仲間まわしを維持継続しているA社のような音頭取り(幹事)を自社内に設けて、連携が図れる仕組みの構築に向けて積極的に取り組んでいただきたいと考えています。

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