中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

債務は返済しなければならない

2017年09月06日 | コンサルティング

「すみません。ここのところ残業が続いていて家に帰るのが遅いので、ずっと睡眠不足の状態です。座るとすぐに眠くなってしまうので、立ったまま受講してもいいですか?」

これは、先日弊社が行った研修で午後のプログラムが始まって少し経ったころに、実際に一人の受講者からかけられた言葉です。

研修では昼食後の時間を「魔の時間」と表現することがあります。生理学的にも睡魔が襲ってくる時間だということは、皆さんも身をもって感じていらっしゃると思います。

もちろん、研修を提供する側としても睡魔が襲ってくることのないように、演習や討議を取り入れるなどのメリハリをつけたり、早めに休憩を取り入れたりするようにはしています。

しかし、これは人間の生理現象ですから、完全に防ぎきれるものではないようです。

ところで、皆さんは9月3日が「睡眠の日」ということをご存知ですか?

「ぐっ(9)すり(3)」の語呂合わせから、9月3日を「秋の睡眠の日」としています。これは2011年に睡眠に関する知識と啓発を目的に、睡眠健康推進機構が定めたものだそうです。

日本人の睡眠不足はかねてより問題になっていますが、ここ最近「睡眠債務」という言葉を聞くことが多くなりました。ご存知の方も多いと思いますが、睡眠債務とは睡眠不足が借金のように積み重なっていく状態のことを言います。

先日のNHKの「あさイチ」でも、睡眠債務について取り上げていました。それによれば、睡眠負債とがんには非常に強い関係があり、6時間以下の睡眠時間の人の乳がんの罹患率は何と1.67倍にもなるとのことです。

さらに、睡眠が不足していると認知症のリスクが高まったり、脳卒中、心筋梗塞、肥満や認知症にもつながったりするのだそうです。

たとえば、認知症ではアミロイドβという認知症の原因の一つと疑われている物質は毎日脳内に発生しているのだそうです。本来であれば眠っている時間に排出されるものが、睡眠時間が短いと十分に排出できないために、認知症のリスクが高まるということです。

番組の中では日本人は何となく睡眠不足を自慢するような傾向があることにも触れていましたが、こうなると「たかが睡眠不足」とは言えない大きな問題です。

さて、通常、私たちは借金が増えれば返済時には利息を含めて返済しなければなりません。当然、それは大きな負担になります。同様に体も睡眠負債という「借金」をし続けると、その分の負担が余計にかかることになります。

そのために、睡眠債務をできる限りこまめに返済していかないと、健康のバランスを崩すことになってしまいかねないわけです。

それでは、冒頭の受講者をはじめとして、仕事などで十分な睡眠時間を確保しづらい人が睡眠債務をためないようにするためには、どうすればよいのでしょうか。

そこで、有効なのが「パワーナップ (power-nap)」です。パワーナップとは15~30分程度の短い仮眠のことです。睡眠の不足分を補うためによく用いられます。これが睡眠負債が蓄積してしまっている人の返済に効果的なのだそうです。

私の知り合いは、通勤の往復時は別途料金を払ってでも指定席を確保して、パワーナップを取り入れているそうです。将来も含めた自分の健康のことを考えれば、ある程度の現実の出費が発生しても、それで睡眠債務が返済できるのであれば合理的と言えます。

まずは、睡眠債務をできる限りためないようにすることが肝要です。しかし、どうしてもたまってしまったら、様々な工夫をしてパワーナップを取り入れ、積極的に返済に努めていくことをお奨めします。

人材育成のホームページ


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。