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資源は有効活用しなければもったいない

2015年03月11日 | コンサルティング

「26宿、56里、222キロ」 これまで私が旧東海道を歩いた距離です。このブログで何度か書いていますが、2年前の5月に日本橋をスタートし、京都に向けて旧東海道を少しずつ歩いています。

1回に歩く距離はだいたい15キロ程度で、これまでの17回で、全長約500キロの45%ほどを歩いたことになります。次回は、いよいよ全行程のちょうど真ん中に位置する袋井宿に到達する予定ですが、これまでの道のりを振り返ると実に感慨深いです。

さて、これまでの道程で、いくつもの市町を通過してきているのですが、旧東海道に対してのそれぞれの街ごとの取り組みに違いがあり、興味深く感じています。

自治体が一里塚の札をはじめサインをきちんと整備したり、街道の案内リーフレットを配ったり、宿場では旅籠屋を公開してボランティアの方が丁寧に説明をしてくださったりと、歩いている我々にとって実に有難いサービスを提供してくれるところがあります。こうしたところで建物を見て、さらに丁寧な説明を聞いていると、江戸時代に一瞬タイムスリップしたような気持ちになり、往時の様子が手に取るように想像できるのです。

特に印象に残っているのは、旧原宿(現在のJR原駅近く)にある「帯笑園」です。こちらは江戸時代後期から昭和初期まで代々伝えた庭園で、歩いている途中に声をかけていただいた現当主の植松さんから明治天皇や西郷隆盛、坂本龍馬らをはじめとする歴史に名を残している人たちの宿帳を見せていただきました。

また、旧由比宿の(埵(さった)峠の東口のふもとにある「望嶽亭」では、官軍に追われた幕臣精鋭隊長の山岡鉄舟が身を潜め、漁師に変装して隠し階段から海に脱出した部屋を見学させていただくことができました。

さらについ最近は、旧日坂宿にある旅籠「川坂屋」で、西郷隆盛の弟の従道の直筆の掛け軸を見たりなど等、旧東海道にかかる熱心な取り組みを数え上げたらきりがありません。

これまで26の宿場を通過してきて、私が嬉しく思うのは、旧東海道という「資源」を大切なものとして保管し、後世に伝えていこうという意気込みを感じさせてくれる街が多いことです。その恩恵によって、私もただ街道を歩くだけではなく、江戸という時代の一端に触れることができているのだと感じています。

しかし、中には一里塚の立札どころかここが旧東海道であったということを知らせるサインなどを全く設置していないところもあります。このようなところでは歩いていてもあまり面白くなく、単に生活道路を通過しているだけのように感じられますし、通り過ぎてから「あの辺りには一里塚があったはず」と気づくのですが、後の祭りです。

そういう時に思うことが、「資源の活用」です。同じ「旧東海道」という資源を持っていても、それを有効に活用するところもあれば、全く力を入れていないところもあります。 

あまり力を入れていないなと感じたある市では、ボランティアの方から「予算がないから、うちの市は何もしていないんだよ。残念には思っているのだけれど」という声を聞きました。

これらの声を聞くと、旧東海道というせっかくの貴重な資源が宝の持ち腐れのように感じられて、実にもったいない、お金をかけなくてももっとできることはあるのではないかと感じます。

目の前の資源を生かすも生かさないも、やり方次第。できない理由を100個並べてもできるようにはなりません。どうしたら資源を生かすことができるのか、という視点で考えることが必要なのではと、いろいろなまちの取り組みを見ながら思っています。

(人材育成社)


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