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気遣いが渋滞を解消する!?

2015年05月06日 | コンサルティング

天気に恵まれた今年のゴールデンウィーク。1ミリ以上の雨が降らなかったのは、この40年で2度目というくらい珍しいことだそうです。

そのせいもあるのでしょう。多くの人が車で出かけたのか、今年も高速道路が軒並み渋滞をしました。テレビではいつものように渋滞状況が流されていましたが、この道路の渋滞、もはや大型連休の風物詩の一つになったとさえ思えてきます。

かくいう私も、連休中に2度ほど高速道路を使いましたが、連休初日は通常1時間半の道のりが倍の3時間もかかってしまいました。

ところで、この渋滞、連休のように一時に車が集中することだけが原因ではないようです。

渋滞学を研究している東京大学の西成活裕先生によると、一番渋滞が起きやすいのは登り坂だそうです。

登り坂では車のスピードが自然に落ちてしまうケースが多いのですが、後続車が車間距離を詰めて走っていると、「前の車、遅くなった」とブレーキを踏んだりアクセルから足を離すことになり、そうするとさらに後ろの車がブレーキを踏むという連鎖反応が次々と起こり、それがどんどんエスカレートしてやがては大渋滞になるとのことです。

つまり、適切な車間距離をとっていれば、かなりの渋滞発生を防ぐことができるというわけです。

また、同じように割り込みをせず車間距離を空けて走ることも、渋滞の発生回避につながりとのことです。

先日、連休前にタイミングよく先生がテレビでこの話をされているのを見ましたので、自分でも早速、高速道路で意識的に車間距離をとることを試してみました。でも残念なことにすぐに隣の車線から割り込みされてしまい、車間距離が詰まってしまうのです。

それを幾度となく繰り返しているうちに、自分だけ車間距離をとるようにしても上手くはいかないのだと思いました。つまり、高速道路を走っている全員がむやみに車線を変えない、割り込みをしないというルールを徹底しないと、結局はうまく車間距離をとることができないということです。

そんなことを考えていたところ、昨日、京浜急行のある踏切の遮断機脇で冒頭の写真「恥ずかしくないか割り込み運転」の看板を見つけました。そこには、割り込み運転をすることで「住民迷惑」、「歩行者事故の危険増大」、「踏切通過台数の減少」、「トラブル発生」などの文字も書かれていました。割り込み運転がもたらす悪影響には、渋滞以外にもいろいろあることがわかりますね。

西成先生は渋滞にならないようにするためには、自分のことだけでなく周囲の車のことも考えましょうとおっしゃっています。

具体的には、先を急ぐからと言って後ろの車にマイナスの影響を与えるような運転はしないこと。混んでいるときは自分を含めて全員が損をシェアすること。状況を客観視して運転し、車間距離を常に空けておくこと。無理に前に詰めようとして動いたり止まったりすると、それが後ろに伝わって渋滞を悪化させてしまうので、一定の距離をとって安定走行し後ろに迷惑をかけない。これを皆でやることができれば、渋滞はなくなるとのことです。

そして、これは何も道路の渋滞についてだけでなく、何事においても言えることではないでしょうか。

自分のことだけでなく全体のことを考えることで、スムーズに物事が進むことはたくさんあります。我先にと争うことで、かえって全体としてのバランスを欠いてしまい、自分にもマイナスになってしまうわけですから、ある意味「情けは人のためならず」に通じる部分があるようにも思えます。

そして、組織においても同じことが言えます。

「部分最適と全体最適」という考え方がありますが、部分最適とは、自部署の最適化を図ることだけを目指して行動すること。各部署や従業員がバラバラに最適化されていくことです。

一方の全体最適とは、組織全体の効率や生産性を上げることを目的に、部門が業務の関連を意識しながら生産性を上げることです。

言うまでもありませんが、組織が目指すべきところは全体最適です。「木を見て森を見ず」という言葉がありますが、組織においては絶えず「木も見て、森も見る」ことが求められているのです。

さて、冒頭の道路の渋滞ですが、以前よりは減ったとはいうものの、今年もあちこちで発生しました。次回の大型連休では、割り込みをせずに、皆で渋滞解消のメリットを享受できるようになりたいものですね。

(人材育成社)


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