中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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第856話 チームスポーツを企業組織に応用することはできるのか

2019年11月06日 | コンサルティング

 「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社です。 

「まず個人種目を優先しているので、リレーはその次になってしまいます」

これは先日NHKテレビで放送された、陸上の世界選手権男子400メートルリレーの特集番組の中で、銅メダルを獲得した日本チームの一人の選手が取材中に口にしていた言葉です。このレースの数か月前に行われた世界リレー選手権ではバトンパスを失敗して失格した経緯がありました。それを乗り越えて掴んだのがこの銅メダルだったのですが、選手個人としてはリレーより自分の種目が優先との率直な気持ちを示したものでしょう。

話は変わりますが、先日ラグビーのワールドカップが終わりました。日本代表の選手たちが活躍したこともあり、ラグビーが一躍人気スポーツに踊り出たように感じます。そういうこともあり、先日来「ラグビーのように、わが社も一致団結した組織にできないものか?」という相談を受けることが増えてきています。

確かに、ラグビーのように「One Team」で積極果敢に仕事に取り組み、一致団結した組織にしたいという思いはよくわかります。

では、企業(組織)をラグビーの「One Team」のようにすることはできるのでしょうか?

私は、チームスポーツのあり方をまるごと企業の組織に応用するのは、簡単なことではないと考えています。

まず、チームスポーツに限ったことではありませんが、スポーツ選手は自ら志願してその種目を行っていますから、モチベーションがとても高いのです。さらに、チームスポーツであれば試合に起用してもらえる選手になるために、日々過酷な練習もいとわないほどのモチベーションを維持しているのです。そして、チームスポーツは勝利という目標に向け、一致団結しやすいということがあります。

企業の組織はどうでしょうか。現実問題として、企業にはモチベーションが高い人がいる一方で、必ずしもそうではない人もいます。また、企業は本来、経営理念に共鳴した人が集まった集団ではあるはずですが、残念ながらスポーツほど理念の目標が明確でない場合もあります。掲げる理念や目標を始めから全員がきちんと理解できているわけでもないのです。このように考えると、チームスポーツのあり方をそのままで企業の組織に応用することは難しいと言えます。

では、どうすれば良いのでしょうか。ここで参考にしたいのがチェスター・アーヴィング・バーナード(経営学者)の言葉です。彼は、組織を成立させるための要素は

1.共通目的(組織目的)、2.協働意志(貢献意欲)、3コミュニケーション の3点であると言っています。

ラグビーのようなチームスポーツでは、まさにこの3つの要素が揃って勝利を掴んでいるのだと思います。反対に冒頭の陸上の例で言うと、あくまで個人競技では自分の勝利が目標であり、リレーのような団体戦で勝つことはその次の目標なのだと思います。

そして、同様のことは企業の組織にも言えるはずです。現実の問題として、まず個人の目標を達成することに力点が置かれてしまい、組織の目標達成は二の次になってしまっていることが残念ながらあります。

しかし、そうであっても組織である以上は「組織の目標達成のためには、チームとして何をすべきなのか、そのためにそれぞれができることは何か」を皆で共有できるようにすることが必用です。

冒頭のリレーの選手達は、過去のバトンパスの失敗はなぜ起きたのかの原因を探り、どうすればバトンパスがうまくできるのかを徹底的に話し合いをしたとのことです。次の走者が前方だけを見てスタートダッシをするタイミングをするには、前走者が必ず自分の手のひらにバトンを渡してくれると相手を信頼することが必要だったとのことです。

企業においても「One Team」として活躍するためには、各々の目標を共有したり、アドバイスをしあったり、弱点を補い合ったりする。地道なことかもしれませんが、まずはそこから始めることが必要なのです。

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