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天国の食事、地獄の食事

2014年07月27日 | コンサルティング

「天国も地獄も、食事のときはまったく同じです。美味しそうな料理がたくさん載っている円いテーブルをみんなで囲んで食事をします。」

「ただし、私たちの食事の仕方と違うところが1つだけあります。天国も地獄も、片手はテーブルの上に、もう一方の手には1メートル以上もある長いお箸がくくりつけられています。」

「いざ食事となると、地獄ではお箸が長すぎるために、思うように食べ物を口まで運ぶことができません。必死で自分の口まで食べ物を運ぼうとするのですが、何度やっても食べ物はポロポロと下に落ちるばかりです。地獄にいる人達はいつまでたってもおなかが一杯にならず、空腹で苦しんでいました。」

「一方、天国ではいつもおなか一杯、幸せを感じながら過ごしていました。天国では、自分が持っている長いお箸で遠くにある食べ物をつまむと、その正面に座っている相手に向かって差しだし、『あなたからどうぞ』と言って口元までを運ぶのでした。テーブルを囲むお互いがみんな同じように、『あなたからどうぞ』というお箸の使い方をしています。」

「長いお箸は、自分のために使うお箸ではなかったのです。」

少し長くなりましたが、こういうお話を聞かれた方もいらっしゃると思います。出典は不明ですが、仏教の法話から来ているようです。  

実は、最近これと似たような現実(?)を見たように感じたことがありました。

ある外資系の企業での話ですが、MBAのようなハイレベルのスキルを身に付けた人は、その知識やスキルを同僚や後輩に教えたがらないそうです。「自分が時間とお金をつぎ込んでようやく手に入れた『財産』をタダで他人に渡すなんてあり得ない!」といったところでしょうか。

また別の企業ですが、研修や自己啓発で仕事に役立つスキルを身に付けることは「他人より仕事ができるようになって、ライバルを蹴落とすことだ」と言う人もいました。

いずれも、「ビジネスとはそもそも競争だ。地獄で結構!」という考え方です。

しかし、単純な競争原理が本当に絶対的な真理なのでしょうか。

ゲーム理論(の応用編)を学んだことのある方は、「繰り返しゲーム」や「進化ゲーム」においては利他的な行動、すなわちお互いに信頼し合うことが、自分も含めた全体の利益を最大にするということを理解していらっしゃると思います。

ビジネスに限らず社会は利他的行動によって安定し、進化してきました。それは数学的にも証明されています(フォーク定理)。

社会で、職場で、私たちはいつでも長いお箸を持って生きているのかもしれません。

(人材育成社)


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