「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。
「経験のない仕事の部署の管理職になるので、少々不安です。」
まもなく4月、新年度を迎えますが、弊社が研修を担当させていただいている組織のご担当者数名から、異動の連絡を既にいただいています。多くの人が異動を前向きに捉えているとのことですが、中には冒頭のように新天地での仕事に不安を抱えている人もいらっしゃるようです。
さて、ご存知のとおり、本日ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)決勝で、日本代表「侍ジャパン」が米国を撃破し、2009年大会以来3大会ぶりに世界一になりました。熱き戦いで日本中を沸かせた侍ジャパンでしたが、私はこの勝利をもたらした栗山監督の采配に注目をしていました。
栗山監督のキャリアや活躍は多くの人がご存知だと思いますが、私自身はこれまで様々な活躍をされてきている中、プロの選手としての活躍自体は6年間と極めて短いにもかかわらず、監督としてたくさんの実績を残していることに関心がありました。栗山監督は現役引退後にまず解説者やキャスターになり、次に大学で教鞭を振るっていました。プロ野球の指導者としては日本ハムの監督がスタートですが、監督就任1年目にリーグ優勝を果たすなど、指導者として当初から目覚ましい活躍をされています。
それではなぜ、栗山監督は選手としての活躍の期間が短かかったにもかかわらず、指導者として結果を出し続けられているのでしょうか?これまでに様々なメディアで語っている栗山監督の言葉から私なりに想像すると、チームの勝利と選手の育成を同一線上でとらえていて、育成に時間を惜しんでいないように見えます。さらには、野球の技術だけでなく選手が人としても成長できるような働きかけを積極的にしているそうです。具体的には、選手とのコミュニケーションはコーチに任せずに自ら直接話をしたり、各選手に直接期待を伝えたりしているとのことです。また、自分自身の「学び」もおろそかにはしていないそうで、「人としてどのように生きるか」ということに対してはハウツー本ではなく論語等を読み、同時に選手にも「論語と算盤」を読むことを進めたりもしているのだそうです。
加えてチームとしての課題も徹底的に追及し、優勝したらそれでよしとするのではなく、さらなる高みを目指して絶えず課題の解決を図っているということです。2016年に日本シリーズで優勝した際には、「優勝したからこその課題が見えてくる」と語るなど、優勝したときでさえ、新たな課題も認識していらっしゃったのです。
こうした栗山監督の取り組みを見ていると、ビジネスパーソンが異動により新天地で管理職として新たな職務を担う際、部下よりも経験が少ない業務を担うことになったとしても、過度に不安にならなくても大丈夫と言えるのではないかと思うのです。仮に部下の方が専門業務の経験値が高く知識が豊富であったとしても、組織における管理職としての使命(目標)を達成するために積極的に部下をやる気にさせるための働きかけをする、部下を育てる、そして自らの言動に説得力を持たせるための努力を続ければ、必ずや成果はついてくると思います。
侍ジャパンの優勝をお祝いするとともに、4月から新天地で活躍される方々に対し、陰ながら心よりのエールを送りたいと思います。