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東北随一のアーチダム「鳴子ダム」のすだれ放流裏話

2024年07月08日 | 土木構造物・土木遺産


北上川をさかのぼるのは少し後回しにさせていただき、今回宮城県に長居をしてしまったきっかけを作ったダムである「鳴子ダム」を紹介することにしたい。申し訳ないことに、ここを訪れたのは今年4月の下旬。広瀬川や貞山運河、石巻を訪れたのと前後しての話になる。(すでにFacebookには投稿済み。)
きっかけは、鳴子ダムに限ったことではないが、毎年春先にダムの水を観光放流するという情報を入手。このダムの放流は「すだれ放流」と言われ、美しいと評判。しかも、観光公社が主催する「鳴子ダム直下見学ノルディックウォーキング」というイベントに参加できることになった。
ノルディックウォーキング?まあ、片道3キロというから大丈夫!新潟からだとちょっと遠いし、午前中のイベントということもあって、前泊して鳴子に向かうことになった。まあ、鳴子ダムのあるのは江合(えあい)川(別名「荒雄川」ともいう。)といって、北上川の支流。北上川についに踏み込むことにもなった場所でもある。



鳴子ダムの完成は1957年(昭和32年)。外国人技術者に頼らず、日本で初めて日本人だけで建設をしたアーチ式コンクリートダムだ。堤高94.5メートル、堤頂長215メートル。東北地方整備局直轄の洪水調節、不特定用水、発電などを目的とする特定多目的ダムで、2016年に土木遺産に選奨。
すだれ放流は観光の意味合いが強いが、今回実施したのは3日間のみ。雪解けの水をダムにため込み、農業用水にも利用されていることから、毎年春先にか実施されている(そのほか、利水目的で自慢の斜坑トンネルの常用洪水吐からの放流ももちろんある)。鳴子ダムは鳴子峡とともに鳴子温泉郷のシンボル的なダムであり、すだれ放流は一大イベントでもある。
今回のウォーキングツアーは、ガイド付きで管理用の道路を歩いてダムの直下まで行けるのが魅力。高さが100メートル近くあるアーチ式ダムで、堤頂付近の非常用洪水吐から流れ落ちる水は、さぞ迫力があるかと思っていたら、むしろ華麗で美しい。



ところで、鳴子ダムのすだれ放流、3年前まではゴールデンウィーク中に実施され、夜のライトアップなども行われていた。観光の度合いが強いといったとおり、鳴子温泉の春の風物詩として定着していたのだが、ライトアップは2022年の開催途中で突如中止。すだれ放流も2023年からは4月中の平日開催になってしまった。
これもコロナの影響?もあるのかもしれないが、ウォーキングツアーのガイドの話では、あまりにも人が押し寄せて、温泉街を貫く国道47号にまでも大渋滞を引き起こし、警察から中止を要請されたのだそうだ。なにせ、2022年のすだれ放流&ライトアップ時には、ダム脇の駐車場までの2キロは3時間以上の渋滞だったとか。
地元の観光資源であり、住民や観光客の交流の場所でもある鳴子ダム。整備局のダム管理所が掲げるダムビジョンでも「地域の連携」を大きく掲げているが、ダム見学に関係ない人まで巻き込む大渋滞は確かに困りもの。渋滞対策などを施した計画の練り直しが必要であるとのことだが、ダム駐車場は狭く山あいの一本道であることから、根本的解決策は容易には見つかりそうもないとのことだ。





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