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何も考えずに、でも何かを求めて、鉄道の旅を続けています。今夜もmoonligh-expressが発車の時間を迎えます。

「くりでんミュージアム」は地元の愛を感じる施設だ!

2024年07月17日 | 鉄道


「くりはら田園鉄道」。新潟に住む私にはあまりなじみのない地方鉄道だが、名前だけは聞いたことがる。長沼ダムから至近の場所に「くりでんミュージアム」というものを見つけて足を向けることにした。
宮城県の内陸の一番北にある栗原市。くりこま高原がある町で、東北本線・石越駅(登米市)からくりこま高原方面に向かう鉄路がくりこま高原鉄道(愛称:「くりでん」)だ。終着の細倉マインパーク駅までの25.7キロの路線。1921年開業、2007年廃止。
廃線となったくりでんだが、それまでの功績を称え、思い出を残そうということから、ほぼ全線にわたって市域を走っていたことから栗原市が旧くりでんの施設を使って整備したのが、今回紹介することになるミュージアムや鉄道公園ということになる。



ミュージアムは、くりでんの若柳駅(起点の石越から2つ目の駅、3.1キロ地点)の構内・機関車庫を利用して整備された。ミュージアム本体は新設された様子だが、併設の機関車庫や客車庫、道路を挟んで公園内にある旧若柳駅はそのまま保存されている。
ミュージアム内の展示品や資料が凄い!細倉鉱山線として延伸、軽便路線から改軌(762ミリ→1067ミリ)、電化、度重なる社名の変更、三セク化などなどの数々の歴史も多く、廃線間もないことから旧鉄道設備をしっかりと保存、展示している。
ジオラマがこれまた一見の価値ありですよ。25キロの営業キロをぎゅっと10数メートルに縮めて再現。それは、しっかりとした栗駒の自然風景や沿線の生活を反映しているもので巧妙かつ美しい。この路線を知らない自分が引き込まれるくらいだから、地元の人にとっては永遠の原風景となるジオラマではないのか?(写真一番上)



旧機関車庫は当時そのまま保存され公開されているといった感じ。保存状態もとてもよく、古めかしい機械類もしっかり整備されており、今でも動かせそうなものや整備員の汗や息遣いまで見えてきそうなものばかり。
車両もしっかり保存されている。ついこの間まで使用されていた気動車から、古い電車や貨車なども本物が展示され、内部も公開している。一部、旧若柳駅構内に保存されたものは動態保存(動かせる状態での保存)されているという。
くりでんミュージアムの最大の特徴は、廃線跡をも少しだけ残して、これら動態保存の車両に乗れるイベントを実施している。加えて、気動車の運転体験もできるんです(特別講習を受講した場合。廃線跡は各所で見ることができるが、体験乗車・運転体験やレールバイク用に若柳駅付近の公園内に体験専用軌道として900メートルを保存)。



東北の地方路線で、平成の合併の人口6万人弱の栗原市が、これだけの投資をして、今後の保存にかかる経費を費やす覚悟をして整備したのか?くりでんミュージアムは単に観光資源としてだけではなく、地元の人たちの愛情や熱意を感じる施設なのである。
この愛は、先に少しだけ触れたがその歴史にあると思う。多くは語れないが、旧国鉄路線でもない約100年の歴史の中に、地元民の足として運営され、宮城県や旧沿線の行政や住民、細倉鉱山を受け継いだ三菱マテリアルの数々の支援など、社名を変更してきた中にもしっかり地元に根付いていた鉄道路線だったのであろう。
ミュージアムを運営するNPO法人・Azuma‐reは、旧くりでん社員や運転士を職員として採用・雇用している、これもアッパレ!このミュージアムとくりでんを愛する人たちの愛に、これまでいくつか触れてきた廃線跡地を訪問する気分で足を踏み入れた鉄道オタクの私は、頭をぶん殴られたような気がした。

コメント
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